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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:化粧品

リポフラーレンジェルその後

先月末から本格的にリリースしている、リポフラーレンジェル。お蔭様で大変ご好評を頂いています。

クリニックにすべての原料を取り寄せ、院内でスタッフ皆で手作りしているこのジェルは、予約表で患者さんの数を確認しながら作成しているため、出来立てほやほやのものを処方させて頂いています。本当は一度に大量に作ってしまうほうが手間もコストもかからないので楽なのですが、出来るところまでこのやり方で頑張ってみようと思っています。その方が患者さんにお渡しするときも、自信を持って気持ちよくお渡しできますからね。

そして僕はこのジェルの主原料であるフラーレンの学会が開かれている、ロシアはサンクトペテルブルクに今来ています。初めてのロシアで感動を味わっていますが、写真がまたうまくアップできないようなので、帰国してから改めて出張報告を書きますね。


リポフラーレン

今回新しく作っているジェルの処方がやっと決まりました。

新しいジェルの主成分は、僕がずっと研究で関わってきたフラーレンを、植物性スクワランに溶解したLipoFullereneです。

一般に効力の強い物質を多く混ぜると、逆にテクスチャーは悪くなって使いにくくなってしまいます。効能と使い勝手は相反する関係にあるのです。

今回新たに発表されたリポフラーレンは、高機能のフラーレンと、原料としてすでに定評があり、効能も優れているスクワランと合わせた事で、相乗効果を狙ったわけです。

フラーレンの研究では、今まで僕は、2008年4月フロリダの米国レーザー医学会2008年10月パリの欧州皮膚科学会2009年4月ワシントンDCの米国レーザー医学会と、世界を代表する医学会で、三つの研究演題を発表してきました。

さらに今年の10月のベルリンで行われる欧州皮膚科学会でもフラーレンとレーザー治療についての演題が再び通過したという連絡が先月ありました。

フラーレンとレーザーの研究では国際医学会通過率は4連勝で、しかも現在まで演題通過率100%。フラーレンなどの新たな抗酸化物質の研究は、多くの査読者の興味のある内容なのでしょう。

フラーレンの医学的応用は、僕の専門分野の一つになりつつあります。

そもそもこのフラーレンという物質は、レーザー皮膚治療ととても相性が良いのです。

リポフラーレン。C60というサッカーボール型の炭素60個からなる構造を持つフラーレンの骨格を維持していますが、原料は淡いピンク色の上品な色彩です。

なぜ、この原料を新しいジェルに混ぜたかというと、答えは紫外線対策です。

これからの季節、紫外線が強くなりますよね。

紫外線といえば、メラノサイトを活性させてシミのもとになる、いわゆる「色彩的老化」に対する弊害ばかりがクローズアップされてきました。

しかしながら、近年、紫外線(UV)によって表皮に分泌された皮脂が、過酸化脂質という、毒性の強い油に変性し、皮膚を、「シワ」ができたり、「毛穴が開く」といった、いわゆる年老いた状態にしてしまう、「形態的老化」 の原因になっているのが明らかになってきました。

この過酸化脂質は、周囲の細胞膜やタンパク質、さらにDNAまでも傷つける毒性の強い物質ですが、肌の表面に分泌されている皮脂が変性してしまうと、油の特性でもある「自動酸化」によって、連鎖的に真皮内にある皮脂腺まで酸化させてしまうのです。

紫外線は、波長の特性上、真皮のように深くまで浸透しないので、物理的には「形態的老化」には関連が低いと考えられていたのですが、

油の自動酸化という、化学的要因によって、間接的に真皮に影響を与えていたわけです。

こうした酸化反応を抑えて、過酸化脂質の発生を防ぐ物質としては、ビタミンEのような脂溶性の抗酸化物質があげられるのですが、これらの物質は紫外線によって分解されてしまいます。

フラーレンには、もともと強い抗酸化能力(ROS・フリーラジカル除去活性)がありますが、この原料の抗酸化力は紫外線照射下においても安定していることが、最も際立った特徴であると言えます。

クリニックFでは、このリポフラーレンにいくつかさらに原料を加えた形で作ったジェルを今週から患者さん向けに院内処方を始めました。

その他加えた材料はアスタキサンチン、リコピン、TPNa、トコフェロール、トコトリエノール、ホホバ油、エキストラバージンオリーブ油、エゴマ油、パーム油、βカロチン、ヒアルロン酸、などなど。

保湿力が高いのに、肌にすっとなじむ感触は新鮮で、素晴らしい商材ができたとスタッフと喜んで使っています。

名前はベタですが「リポフラーレンジェル」 6300円

今後この新規原料を採用する企業がどんどん出てくると思いますよ。


今週の僕 20090613

この写真、何をしているところかわかりますか?

料理で使うような器具の中にあるのは、ジェルの基材。

今週は、院内でレーザー治療後のホームケアに処方しているジェル作りにはまってしまっているのです。

配合する有効成分は決めているものの、テクスチャーにこだわると処方がなかなか決まりきらず、あれやこれやと試し続けてもう何日経ったことでしょう・・・。

これまで「アキエスジェル」という名前で、黄色セリシンを主成分とした保湿ジェルを出していたのですが、最近これを改良したくてうずうずしていたのですよね。

クリニックFでは、元々ローションを院内で毎日、その日の患者さんの数に合わせて作成しています。

お菓子と一緒ですね。砂糖や保存料の力で何ヶ月も持つような焼き菓子もありますが、果物や生クリームをふんだんに使い、その日中に食べないといけないケーキもある。

どちらの方が他方より良い、というわけではないと思っていますが、院内で出していくものに関しては、限りなくフレッシュであることにこだわりたいというのが、僕の考えです。そこで、女性の患者さんだけでなく、男性や小さなお子さん、赤ちゃんにもファンがいる現在のジェルを、より有効成分の濃度と効能を上げるために、院内でこれも作れないかと試行錯誤している、というわけです。

ローションよりも配合がさらに難しいのですが、何度も試作を繰り返して、なんとか来月くらいからお出しすることが出来そうです。

肝斑治療や毛穴治療にはもちろん、ニキビ跡、アトピー性皮膚炎の改善にも良い処方になりそうです。

スタッフにプロのアロマセラピストもいるので、香りのブレンドにも少しこだわりたいと思っています。

楽しみに待っていてください。


Dr.フェルナンデスとの再会

日曜日は、朝5時半に家を出て羽田空港に向かいました。

大阪で行われた日本美容皮膚科学会に日帰りで参加してきたのです。

一つの目的は、Dr.フェルナンデスとの再会でした。

医薬化粧品であるエンビロンの創始者として講演をするために来日されたのです。

ケープタウンでDr.フェルナンデスとディスカッションしてからもうずいぶん時間が経ったように感じていましたが、あれは7月のことだったので、まだ2ヶ月余りしか経っていませんでした。

今年は時間の流れが速いような遅いような(苦笑)。

講演の内容は、肌を維持するためには三種のビタミン、つまりビタミンA・ビタミンC・ビタミンEがきわめて大切である。

パルミチン酸レチノール(ビタミンA前駆体)を肌に使用し続けると、紫外線に当たりダメージを受けた肌を再生できる。

紫外線によって老化した肌に対しても、効果的である。

・・・といった「今となっては」基本的な話でしたが、紫外線の強い南アフリカで医学の研究をして、紫外線の害にいち早く着目した彼がこの理論を提案し、それによってこの日本でも今のように常識化・一般化したとも言えるのです。

Dr.F

講演の後、挨拶に行きました。

挨拶もそこそこに

「スククーザ国立公園(ケープタウンの後に、僕が訪れると伝えていたのです。)はどうだった?」

と聞かれたので、

「素晴らしくて、興奮して、カメラのメモリがいっぱいになるまで写真を撮ってしまいました。」

と答え、そのあとは南アフリカ談義や抗酸化剤の話題などに花が咲きました。

別れ際

「わざわざ東京から来てくれてありがとう。」

なんて言われたので、

「ケープタウンから来てくれた先生に比べたら、東京なんてすぐですよ!」と言ったのですが、本当に日本贔屓なナイスガイですね。

スケジュールが大変だったのですが、大阪まで会いに行ってきてよかったです。

 


日焼け止めの選択

夏が終わろうとしています。

この夏南の島にバカンスに行かれた患者さんも多かったのですが、日焼け止めを塗っていたのにもかかわらず、夜になって顔や手が真っ赤になって腫れ上がり困った・・・なんていう相談をよく受けています。

肌のタイプは日光にあたって色が赤くなるか、そして日焼けの後に黒くなるか、などによって人種によって6種類の分類があります。その他に、敏感肌や脂性肌・・など肌質の違いも加味しながら、日焼け止めを選択しなければなりません。

ここで、今一度「日焼け」についての常識を整理してみましょう。

まず、だいぶ聞きなれてきた感のある、紫外線、そしてUV-AとUV-Bの違いについて。

紫外線(Ultra Violet)とは、波長が10 – 400 nm、すなわち可視光線より短く軟X線より長い“不可視光線”の電磁波です。

なぜ「ヴァイオレット=紫」という言葉が使われているかと言えば、光のスペクトルは赤から紫に分かれるのですが、紫外線はその紫よりも外側になるため、「ウルトラ(ラテン語のultraは英語のbeyondの意味もある)ヴァイオレット」=「紫より外」「紫を越えた」という名前がつけられたと言われています。

(ちなみに、「赤より外」の赤外線は、英語で「Infrared」=「赤よりインフラ(下)」という言葉が使われます。)

そして外国人がよくやるように「Ultra」と「Violet」の「頭文字」のみをとって、「UV」と呼ぶわけですね。

赤外線が熱的な作用を及ぼすのに対し、紫外線は人体に化学的な作用を及ぼします。どんな作用かと言えば、

殺菌消毒

ビタミンDの合成

生体に対しての血行促進

新陳代謝の促進

皮膚抵抗力の亢進

・・・などを挙げることができるでしょう。

こうして見てみるとわかるように、紫外線は決して「悪いもの」ではないのです。

太陽光には、紫外線の中でも、A~Cまでの波長が含まれます。その内A波=UV-AとB波=UV-Bはオゾン層を通過します。

UV-Aは、皮膚の真皮層に作用し蛋白質を変性させ、細胞の機能を活性化させます。また、UV-Bによって生成されたメラニン色素を酸化させて褐色に変化させる。UVAによる日焼けは、「Suntan」と呼ばれ、A波のAは「Aging=老化」のAと言われます。

UV-Bは、表皮層に作用します。色素細胞がメラニンを生成し防御反応を取るのです。B波のBは、「Burn=火傷」のBと言われ、B波による日焼け「Sunburn」は発癌性を指摘されています。

老化は病気ではありませんが、癌は病気です。そのため以前はUV-AよりもUV-Bをいかに防ぐかが世界的な課題であり、日焼け止めにも「SPF(Sun Protection Factor)」と呼ばれる「UV-Bをいかに長時間カットするか」という機能が求められてきました。

SPFの数値が1上がるたびに、日焼けの抑制効果が20分長くなるので、塗り直しの回数を考えれば、SPF値が高い方が便利だと、どんどん数字も高いものが市場に出回るようになっていったのです。

しかし、80年代頃から、アンチエイジング=抗老化に対する意識が高まり、それに伴う形でUV-A波のカット=PA(Protection grade of UV-A)が日焼け止めの機能として求められることになります。

数字で表したSPFと違って、PAは、「+」「++」「+++」という三つの指標で表示。この内医学的な視点で見れば「+」がひとつではあまり意味がなく、日常生活を送る上でも最低「++」=ふたつ、屋外スポーツやリゾート地など非日常的な場所では「+++」=みっつ以上の抑制力のあるものを使用してほしい、とお願いしています。


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