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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:北米 ボストン編

■ASLMS 2013 in Boston⑩ 2013年米国レーザー医学会での僕の発表演題その1 DEKA社スマートサイドスクエアでの瘢痕治療

今回ボストンで開かれたASLMSで発表した演題の一つ目は、昨年に引き続き、慶應義塾大学薬学部と米子林原医院の林原伸治先生と一緒に行った共同研究に基づくものでした。

レーザー光治療を行った後に、皮下に発生した活性酸素の種類の同定を行ったのですが、本年使用した機器は、イタリアDEKA社のスマートサイドスクエア。

RFとフラクショナルCO2(RF発振管)の複合機についてです。

Detection of the Different Reactive Oxygen Species Induced Oxidative Stress in Skin During CO2 Fractional Laser, RF, CO2 Fractional Laser and RF Combination Therapy Respectively

この機器は「マドンナリフト」という名称の下、上眼瞼の施術が話題になりましたが、実は陳旧性瘢痕治療にも適しており、こちらは林原伸治先生に素晴らしい症例写真をご提示いただきました。

鼻の上の陥没した古い傷や、口唇裂の手術の陳旧性瘢痕が、このように治療ができるのであれば素晴らしいですね。

今後、治療のために必要な細かいパラメーターなどを医学的・工学的に検討してゆきたいと思っています。


■ASLMS 2013 in Boston⑨ ボストンの米国レーザー医学会 学会会場へ

おはようございます。

今日4月15日(月)はクリニックFの診療日です。

東京は朝から綺麗に晴れましたが、ひのきの花粉が飛んでいるせいか、僕は少々鼻声です。

昨日は昼に、幼稚園~小学校卒業まで一緒だった同級生の友人とイタリアンレストランで久しぶりに会いました。

偶然にもお互い医師の道を選択し、どちらも現在は東京に住んでいますが、価値観やら何やら、そしてなにより同郷ということもあり、話が合いますね。

小さな頃にザリガニ釣りをして良く遊んだ「藤沢市鵠沼の蓮池」が、未だに残っていることを知りました。

鵠沼は人気の土地になって人口が増えましたし、当然宅地化されてしまっただろうと思っていただけに、これはちょっと嬉しかったですね。

今度見にいってみようと思います。

その後はクリニックに来て、今月中に締め切りのレーザー皮膚医療関連の依頼原稿を二つ仕上げていました。

総論の原稿を仕上げる時に色々と自分の考えをまとめるのですが、レーザーやRF治療について現象としては理解していても、理論をきちんと理解しているかどうかを再認識することになりますよね。

レーザーの生体に対する物理的作用は4つあります。

①光熱作用(Photo-thermal effect)

②光衝撃波作用(Photo-Acoustic effect)

③光化学作用(Photo-Chemical effect)

④光解離作用(Photo-Decomposition effect)

このうち、レーザー治療に用いるのは、主に①の物理的作用です。

生体の特定の物質にレーザーが吸収されると熱が発生し、数ナノ秒以内には熱化して組織温度が急激に上昇します。

だいたい1000nmを超える波長ですと吸収物質は水になります。

体内は60-70%が水分で構成されています。組織中の水の沸点(100℃)を超えると水分が水蒸気となることで体積が急増しますので、その結果、細胞膜や細胞内小器官は水蒸気と一緒に放出されます。

レーザーのフルレンス(W/cm2)と光吸収係数α(cm-1)の積が組織表面の過熱速度(W/cm3)を表しますので、この速度が組織を蒸発させるのに十分なほど長いと組織は蒸散されます。

CO2レーザーやEr:YAGレーザーは吸収係数が大きいので、表皮に近いところが蒸散されますし、反対に吸収係数が非常に小さいNd:YAGレーザーなどは、組織への光の進達長が深いので、組織の熱凝固に適しています。

これらの特定の吸収物質というのがレーザー治療の胆になるのですが、特に可視光線の近辺の波長では、波長に合わせて茶色いメラニンや、赤いヘモグロビン、黄色いキサントフィル、皮脂腺などなど、様々な要素が水以外の吸収物質になります。

これらの理論がきちんとわかっていると、どの波長(nm)を用いて、どの出力(J/cm2)で、どの様な時間(s)でレーザーを照射したら、皮下の何ミリ下のメラニンを破壊できるか?

というのことが明確に計算できるのです。

特にレーザー医療を選択する医師は、物理学や工学が好きな医師が多いと思うのですが、この辺りを何となく経験で治療するのか、きっちり予後を計算した上で治療するかということは大切な問題だと思いますよ。

さて、今日もブログ「新国際学会周遊記」は、先週帰国したばかりのボストンでのお話です。

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こちらシカゴ空港で小さな飛行機に乗り換えます。

アメリカ五大湖ミシガン湖を超えます。

ちょっと飛ぶと、この通り、地面が凍り付いているのに気づきます。

湖もこの通り氷で閉ざされていますね。

まだまだ高緯度の春は明けていない様です。今回はあまり防寒の用意をしてこなかったのですよね。ちょっと心配になってきました。

シカゴからボストンまでは2時間弱のフライト。

駐機場に着きました。

ボストンの良いところは、空港から市内へのアクセスが良いところです。

目の前にある地下鉄の駅から、一駅乗り換えがあったものの、わずか20分ぐらい。

学会会場のシェラトンホテルにある、HYNESコンベンションセンターに着きました。

日本形成外科学会に参加したためフライトが一日遅れましたので、とりあえず部屋に荷物を置くのももどかしく、学会会場に直行します。

既に始まっていますね。

レジストレーションをして今年の名札とパンフレットをもらって、まずは自分の発表を確認します。


■ASLMS 2013 in Boston⑦ 米国レーザー医学会からの帰国

おはようございます。

今日は4月12日。東京は朝から良く晴れましたね。

昨晩アメリカより帰国しましたので、本日からクリニックFの外来を再開します。

留守中ご迷惑をおかけしましたが、また多くのことを学んできました。

日進月歩のレーザー医療を学ぶためには大切な知識ばかりでした。

機会ある毎に患者さんへ還元したり、同じ業界で頑張っている方々とシェアしていけたらと思っています。

ボストンはとても寒かったのですが、ハーバード大学とMITを訪問してきましたので、こちらはまたブログにアップしますね。

今回も7日間の出張で、沢山の本を持ってゆきました。

海外出張の時には、空港の待ち時間や機内、時差ぼけで眠れない深夜など、結構空白の時間ができます。

本を読むことが出来る、貴重な時間です。

個人的には

「これが物理学だ」

「脳は美をどう感じるか」

が面白かったですかね。

前者は物理学の基礎理論、後者は大脳生理学と西洋美術の分野にまたがった知識があればとても早く読めますし、得る知識ものも深いです。

人類が作り上げた高度な文明文化の素晴らしさを享受するには、文理に関わらず、いくつかの分野にまたがった専門知識を持つために幅広い勉強をするのが良いのでしょうね。

 

 


■ASLMS 2013 in Boston④ サーマクール創業者のキースと遭遇

おはようございます。

ボストンのバーで飲んでいると偶然Keith Lear Mullowneyが通りかかり、一緒に飲む事になりました。

彼はサーマクールとクールスカルプティンブ(現ソルタメディカル社とゼリティック社)のファウンダーです。

もう10年以上の知り合いですが、元海兵隊上がりの鉄の経営者。

企画力と実行力はずば抜けています。

僕が尊敬する経営者の一人です。

彼の人柄を知るエピソードの一つに、こんな話があります。

サーマクールやゼリティックの初期株を売却していますので、この業界の誰もが知る成功者であり、地球を年間何周するのかというぐらい毎年世界中を旅している人物であるのにも関わらず、出張で使う飛行機の座席はいつもエコノミークラス。

「私は、ビジネスクラスに乗って世界を旅出来るほど、まだ成功してはいない。」

と、べンチャー精神も忘れないのです。

何年も前にそんな話を聞いて、僕も招待講演の関係でビジネスクラスを利用する事はあるものの、自分の学会発表ではなるべく初心を忘れないようにエコノミークラスを使っています。

毎月のように出張があると、時差や前後の過密スケジュールも手伝ってビジネスを使いたくなる時も正直ありますが、勉強に行くのですから修行の一環だとおもっていますし、またハングリー精神を保つ事にも役立ちますよね。

また、渡航費を浮かせれば、その分ひとつでも多くの学会に参加したり、高額な学術書も購入出来ます。

クリニックFに置いてあるレーザー機器だって、ひとターム早めに入れ替えが出来ます。

彼は今、未熟児網膜症などの疾患を診断出来る、簡便で安価な眼科機器の開発をしています。

自分の機械が、世界の子供達を救うのだと熱く語ってくれました。

今回のビジネスでは、まだ渡航はエコノミーのようですが、きっと数年後にはビジネスクラス、いやファーストクラスで世界を飛び回っている事でしょう。

 

 

 


■ASLMS 2013 in Boston③ 蘭フィリップス社と打ち合わせ

おはようございます。

引き続き、ボストンでの米国レーザー医学会に参加しています。

学会の昼休みに、今度機器の共同研究をする事になった蘭フィリップス社の研究者達と4人で打ち合わせ。

昼食をとりながら時間にして2時間ばかり。

とても良い打ち合わせが出来ました。良い商品が出来上がると思いますよ。

新しい機器を作り上げたり、臨床評価するのは僕も本当に興味のある事です。

契約期間が切れたら、次は日本の企業と是非医療機器を作りたいです。

 

 


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