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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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医療機関の株式会社化のススメ

国民医療費は2005年で35兆円を超え、対国民所得比でも上昇を続けている。これは、近年の医療技術や医療用設備・機器の進展、またIT化による情報装備の必要性に伴って、医療機関における資金需要は大幅に拡大していることも大きな原因になっている。

現状では、初期投資額がどんなに多額であっても、医療機関の資金需要は医療法人か、個人病院院長個人の債務としてしか吸収できない。経営のうまく行っていない、または新規参入の病院は、債務超過のため、最新鋭の機器を導入できないということになる。これはサービスを受ける地域の住民の不利益につながる。以前に自分が経営していたクリニックチェーンの新規機器購入のために資金調達を考えて、株式公開させようと算段したことがあるが、残念ながら現法制下では不可能であった。法が制定された当時には、十億円規模の投資を医療機器に行うことはあまり想定されていなかったということである。

日本においては、“営利を目的とした”医療機関の開設は認めておらず、剰余金の配当も禁止されている。しかしながら、医療の分野でも、経営、資金調達、サービスの提供のノウハウに長けている株式会社の参入させ、医療費の削減を目指すべきであるという議論がなされて久しい。医療機関経営の効率化を促し、またそれに触発された非営利法人が効率的な経営ノウハウを積極的に導入することによって、医療分野に競争を促す。営利・非営利の違いにかかわらず、医療機関間の競争を促進することは、患者本位の医療サービスの実現につながるはずである。

株式会社等による医療機関経営は、政府の規制緩和・民間解放推進会議の答申をきっかけに盛んな議論が行われているにもかかわらず、構造改革特区において認められたものの、参入が可能とされる対象は自由診療(保険外診療)だけで、しかも高度な医療等に限定されたものに留まった。また、その後の規制改革・民間開放の推進に関する第2次答申(平成17年12月21日)においては、株式会社等の医療機関経営への参入に関しては削除されており、議論は先送りになってしまった。非常に残念なことであると思う。

株式会社の病院経営参入を巡る主張
(出典)日本経済新聞(平成16年8月14日)

厚生省
利益追求の結果、医療費の高騰を招く恐れがある
利益が上がらない場合の撤退で医療の継続的な確保に支障が生じる
非営利原則の下で病院経営を効率化し、質の高い医療サービスを提供すべきだ

規制改革・民間開放推進会議

多様な競争が生じれば患者の選択肢が広がる
現行の医療法人でも経営が悪化する例があり、株式会社と違いはない
経営、資金調達などに長じた株式会社の参入で病院経営を効率化できる

岡部(文献参照)は2002年に株式会社病院に対する批判とその妥当性について、以下の3点のように検証しているので引用する。

第一の批判は、「株式会社は営利を追求するための組織であるため、暴利をむさぼり、質の悪いサービスを提供するおそれがある」とする点である。しかし、このような企業は消費者の支持が得られずに短期的にはともかく、長期的には市場から追放されている。そもそも、医療行為の適切性は経営主体の違いとは無関係であって、医療に従事している病院経営者や医師・看護師など個々人の倫理感の問題である。

第二には、「株式会社は利益が得られなければ、市場から安易に撤収する」という点である。利益が得られなければ存続できない点は非営利病院も同様であって、株式会社に特有の弱点とは考えられない。逆に、わが国に残存する株式会社病院の過半は赤字経営を続けているが、本業(収益事業)からの支援によって生き延びており、資本力のある株式会社は創業期には赤字覚悟で新規分野への進出を試みるケースが多い。

第三には、「株式会社は儲かる分野のみを手掛けて不採算分野は敬遠するため、救命救急部門などが不可欠な医療には適さない」という、いわゆるクリーム・スキミングの非難である。これはわが国においては、病院全般にそのまま当てはまる非難である。救命救急医療などは採算性の問題もさることながら、公的病院においても定員制や勤務条件などの硬直性がネックとなっているので、これらの点について柔軟に対応できる株式会社病院が手掛けるのに適しているのではないかとの見方もある。

非営利性と公益性は必ずしも同一のものではない。株式会社であっても、事業法により公益性を担保している電力会社、ガス会社なども存在する。株式会社が出資した医療法人であっても、医師の応召義務やカルテ公開等の医療行為に関わる規制を全ての医療機関について強化することで、公益性を担保することは可能と思われる。

実際には現行の医療法施行前に設立された株式会社病院が日本国内で62機関も存在しており、経営状態も、地域住民の評判も良い。当然、欧米諸国においても、医療機関経営への株式会社の参入は原則として認められている。

医療の分野に経営、資金調達、サービスの提供のノウハウに長けている株式会社の参入を許可し、競争をさせることが、結果的に医療費の削減と患者サービスの満足度の上昇をにつながると考える。一刻も早い法改正を望む。

参考文献
岡部陽二、2002、「病院経営への株式会社参入の是非を問う」、金融財政、第9463号、12月5日号、pp. 2-8


医療の進化

「賢者は歴史に学び、愚者は体験に従う。」と言います。古くより、歴史より包括的な知識を学び、現実に応用する能力のあるものは大成し、経験による成功に溺れ、失敗を恐れる人は一時の成功のみで没落するのです。ヨーロッパにおいても、ビジネスにおけるもっとも大切な資料は、失敗の蓄積の資料であるということだときいたことがあります。孔子の古い言葉ではあるが、温故知新(故きを温(たず)ねて、新しきを知ること)が現在でも必要だということだとおもいます。

医者の業務というものは、記憶力を頼りにする業務が多いのです。患者さんを診察し、症状を自分の記憶の本から呼び出して、本に書いてあった治療を提供する。この業務の繰り返しなのです。普遍的は歴史のデータ(つまり医学書、論文、学会)に学び、医療を実践するものがいる一方で、長い間の体験が、かえって治療方針を偏らせてしまう医師も多く目にしてきました。

 
西洋医学が優れている点は、以前に感染症や交通外傷などの初期治療だと話したことがだとおもいますが、もう一点、他の医学に比べて、統計解析の技術が優れていると思います。博士論文を書くときには、その実験結果が、他の条件のデータ集団と違いがある(有意差といいます)ことを証明する技法を学ぶのです。

たとえば風邪の人に砂糖水を、これはとてもよく効く薬だと言って飲ませる。これで40%ぐらいの人は実は治ってしまいます。これをプラセボ効果といいます。だから、薬を開発するときに、このプラセボとの違いを科学的に検証することが大切な業務になるのです。

どんなにゴルフが下手な人でも、18ホールも回れば、必ず1度はナイスショットがあると思います。コースをまわり終わったらそれしか覚えていないでしょう。人間は調子の良かったもの、嬉しかったものを忘れないものなのです。ガンの治療でも特定のキノコを食べていたら、ガンが治ってしまうなんてこともまれにはあるのかもしれません。でも、それは単なる体験に従うことです。最初からこの単なる体験に従って治療をすべきではありませんが、特定の医療分野が学問として成り立つときには、このクリエイティブな努力の体験の過程が必要なのです。

今の美容皮膚科の世界は、顔に施術できるレーザーが開発されて24年。体験に従う学問から、歴史に学ぶ学問に変化しつつあります。今年もいくつかの学会に参加しましたが、参加する海外学会の進化の早さは、美容の世界がいよいよアカデミックな学問として確立しつつあることを意味しているのだと痛感します。今の我々のクリエイティブな体験による努力が、統計的手法にて歴史となり、次世代の教科書を作っているのですね。 


スタンフォード大学訪問

サンフランシスコの最後の日には、心臓外科医の友人が留学しているスタンフォード大学を訪問しました。スタンフォード大学は1891年に設立され、カリフォルニア州にある、東のハーバード大学と並ぶ全米トップレベルの大学です。7つの学部と65の学科、そのほか30以上の付属の研究機関及び研究所を持つ私立大学です。数多くのノーベル賞・ピュリッツァ賞受賞者を多数輩出し、ヤフー、ヒューレット・パッカードの創始者やクリントン前大統領もスタンフォード大学で学びました。いわゆるシリコンバレーの発祥の地ですね。

学内で記念撮影です。僕は大学の医局時代に目標とした3つの夢がありました。1つは臨床で専門医をとること。1つは研究で博士号をとること。もう1つは留学することでした。そして、留学だけは大学に在籍したうちには果たせないで終わってしまったので、未練があるんですよね。アメリカでは社会的に成功した後に、50代で大学に戻るなんて事はよくあるので、まだまだチャンスはあると思っています。

学内で最も高いタワーであるフーバー(元アメリカ大統領寄贈の)タワーより学内を望みます。このあたりは牧草地だったようですが、キャンパスの周辺には、スタンフォードリザーブと呼ばれる、見渡す限りの広大な遊休土地があります。こんなに土地があれば、この大学はいくらでも成長できるでしょう。

留学中の友人の話によると、この大学は、大陸横断鉄道の建設者リーランドスタンフォードが15歳で病死した一人息子を追悼するために設立したそうです。彼は当初、ハーバードに校舎を1つ寄贈するつもりだったらしいのですが、その見積もりを見て、あまりの安さに、これなら大学を全部作れると言って、この大学を作ってしまったそうです。なんともスケールの大きな話です。

キャンパス内にはこのように大きな教会もあります。ステンドグラスが美しかったです。

これが医学部の研究棟です。僕の大学院の研究室は、地震で倒壊しそうな古い建物だったので、その違いに驚愕しました。こういった恵まれた施設の中で、多くのノーベル賞の研究がなされたのでしょう。

そうそう、国が滅びる前に、文化の爛熟期がおこることを以前、ブログに書きましたが、国が滅びる前にノーベル賞が増えると聞いたことがあります。確かにそうかもしれませんね。


全米皮膚科学会AADにて

サンフランシスコで行われた全米皮膚科学会AAD に参加してきました。

CYNOSURE

CYNOSUREの米国本社社長の清水さんと写真を撮りました。

CYNOSUREはこの学会でNd‐YAGを使用した、フラクセルに近いプロファイルを持つレーザー機器を発表しました。

製品化が期待されます。

一緒に写真に写っている、ダラスで開業しているこの医師は、昨年日本で講演をしたときに挨拶しました。

ナイスガイでしょう?


全米皮膚科学会AAD

サンフランシスコで行われた全米皮膚科学会AAD に参加してきました。

この学会は全米でもっとも大きな皮膚科学会で、毎年2月の終わりから3月の頭に開催されます。

ニューオリンズ、ボストン、サンフランシスコと順番に会場が回されていたのですが、昨年はニューオリンズでした。

ちょうど洪水の前だったので開催が出来ましたが、次回の開催は難しいかもしれませんね。

この学会には全米どころか世界中から皮膚科医とその関係者が集まるため、会期中はなんと25000人も街の人口が増えるそうです。

お約束のゴールデンゲートブリッジです。

車内から撮りました。霧の多いサンフランシスコですが、晴天になりよかったです。

学会会場外観はこのような感じです。

大きなコンベンションセンターを南北貸し切って行われました。AADのフラッグが街のいたるところにあります。

レジストレーションが終わった後、会場の中で撮りました。

この写真を撮ってもらっていると、通行人のおばさんに突然話しかけられました。

あまりに多い人出で何の会かと思ったら、表示から皮膚科学会だと分かって驚いたようなのです。

“Are you all dermatologists??”

“Most of them are yes,dermatologists.Myself is a LASER specialist”

すると

“ So what should I do for my face?”

とニコニコと顔を近づけて聞いてくるので、“ Lasers!” と答えました。

彼女は親指を上げて、”I’ve got it!”(分かったわ!)と去ってゆきました。

こういったアメリカ人の陽気なところ、好きだなあ。

会場の中です。

中はこのようにごった返しています。

 

 

全米皮膚科学会は64回目。

なんと1938年から開催されているのです。

第二次世界大戦前ですね。

CYNOSUREの米国本社社長の清水さんと写真を撮りました。

CYNOSUREはこの学会でNd‐YAGを使用した、フラクセルに近いプロファイルを持つレーザー機器を発表しました。

製品化が期待されます。

一緒に写真に写っている、ダラスで開業しているこの医師は、昨年日本で講演をしたときに挨拶しました。

ナイスガイでしょう?

会場も初日は閑散としていますが、二日目となると、このように混んできます。(写真をクリックしてもらえれば分かります)

1つのお祭りですね。

一日の講演を聞き終え、外に出るともう薄暗くなっていました。

ふと目の前を見ると、なんだかかっこいい建物があります。

SFFDと書いてあるのですが、少し考えると、え?

San Francisco Fire Department (サンフランシスコ消防局)ですね。

なんてセンスがいい建物なんだ!!

学会会場を出た外の風景です。

この道路を挟んで、南北にコンベンションセンターがあります。

サンフランシスコに来たことのある方は分かると思いますが、この電線の下を路面バスが走ります。

それにしてもカルフォルニアの空はいいですね。


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