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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:欧州 イタリア フィレンツェ編

今度はイタリアのレーザー医学会から

一夜明けて、イタリアのフィレンツェのレーザー学会の演題のお誘いが届きました。

11月5-6日ですから、時期も場所も一緒ですね。

トスカーナは良い思い出がありますし、この学会は昨年参加したことで知り合いの先生もできました。

特に今年は医療レーザー分野50周年という区切りの年です。

1960年に、アメリカのTHメイマン博士がルビーの結晶を使ってレーザー発振器を作ったんですよね。

このあたりは僕もクリニックのホームページの、レーザーの歴史の欄で詳しく書いています。ご興味があるかたはどうぞ。

10月にはスウェーデンのヨーロッパ皮膚科学会(EADV)の本会が開催されます。韓国のマイクロサージャリー皮膚科学会の招待講演もあります。

ぜひ行きたいのですが、調整が必要ですね。とりあえず、演題だけは出しておこうと思います。


フィレンツェからローマへ

再び11月初旬に訪れたイタリア出張記に戻ります。

フィレンツェSMNの駅に戻り、ユーロスターのローマ行きチケットを買います。

時間が少し余ったので、駅名にもなっている、駅からすぐのサンタ・マリア・ノヴェッラ教会に行きました。

この名前のついた、香水のお店もあるそうですね。

礼拝堂は決して豪奢ではなくこざっぱりしたかんじでしたが、とても広く、聞けば奥行きが100m近くもあるのだとか。

こちらのステンドグラスも印象にのこりましたよ。

駅のすぐ前にあるこの教会を出て、ローマまで一直線。

雄大なトスカーナの風景を楽しめる、約2時間の旅です。

ローマ・テルミニ駅に着きました。ローマは二年ぶりです。

 

 


レーザーフローレンス参加証

クリニックFのカウンセリングルーム(診察室)の壁には、僕が持っている海外の学会で頂いた専門医証や、参加証をレイアウトしています。

患者さんとの話がこれで弾むこともあるので、カンバセーションピースとしても役に立つのです。

今回ここに、レーザーフローレンス2009 学会発表でいただいた参加証が加わりました。

 

Speaker(講演者)と書いてありますが、さすがイタリアだけあって、とてもデザインがきれいですよね。

今まで、この場所にはポーランドでの学会の招待講演感謝状があったのですが、こちらのがきれいだったので替えましたよ。

いらした方は、今度ご覧になってください。

 


ドクターのティータイム、イタリア製のリュック

レーザーフローレンス2009では、講演の部屋が二つあり、二つの部屋で講演が続いていきます。

写真で左側のドクターが黄色のリュックサックを背負っているのが見えますか?

これは、この学会の参加者たちがもらえる“コングレスバック”。

他の学会でもらうものよりも、デザインや使い勝手がよく、「さすがイタリア」と、感心しました(笑)。日本に持ち帰りましたが、気に入って今も使っていますよ。

休み時間にはドクターが集まって歓談する時間があります。

こんな風に、専門の給仕の方がコーヒーやワインを出してくれます。

レーザー企業の展示はほとんどないに等しいくらいでした。

ふと視線を感じて振り返ると、僕を見ている人を見つけました。

グレン・コールダーヘッド博士

海外の様々な学会でよくお会いする大先輩です。

前回お会いしたのは、数年前のシンガポールの学会だったでしょうか?

僕のブログにも何度か登場していますよね。

実はここ数年ちょっと体調を崩していたようでしたが、この日はとてもお元気な様子でほっとしました。日本語も堪能なので、「グレンさん!」と声をかけたら、「タカちゃーん」と呼んでくれました(笑)。

しばし、お互いの近況を語り合いましたよ。

窓から見えるこの美しいフローレンスの街を眺めながらの歓談。

なかなか得られない、楽しい体験でした。

 


フラクショナル・レーザーの比較演題

ちょっと緊張した顔をしていますね。

僕の演題はフラクショナルレーザーの比較演題でした。

「アジアンスキンにおける、CO2 (10600nm) フラクショナルレーザーとエルビウム・グラス (1550nm) フラクショナルレーザー治療の比較検討」

つまり、フラクセルⅡ(リストア)とeCO2(エコツー)をはじめとしたフラクショナルレーザー機器の比較検討を含めた研究発表。

まずはフラクショナル・レーザーが市場にもたらした意義について、まとめたスライドを用意しておいたのです。

フラクショナル・リサーフェシング・レーザーが開発された事は、レーザー照射後に色素沈着症を起こしやすいアジアンスキン治療にとってはパラダイムシフトに相当する大きな変化で、その登場によって、治療できるものが明らかに変わったと、まずマーケティング的な視野のスライドを挿入しました。

さらに、スライドの内容も文字よりも図を多くして、世界のレーザーマーケットを比較、そして認識できるようなものに変えました。

僕は、ニキビ肌や毛穴といった治療には、治療する過程において、数種類のフラクショナルレーザーの「併用」が必要だと思っています。

組織のどの深さにどの程度のエネルギーが入り、組織温度が変化したかによって、

生体の反応が

熱刺激(コラーゲン・エラスチン増成)

凝固(組織変性および壊死)→日単位の組織の入れ替え

破壊(蒸散)→週単位の組織の入れ替え

と大きく変わるのです。

凝固変成をうまく使ったものがフラクセルⅡ

蒸散破壊をうまく使ったものがeCO2

ということになります。

そして、実際の組織の再生に役立つのは熱刺激部位です。

この三つの反応のバランスをいかにうまく調節して治療に結びつけるかが重要となります。

そのため、どの波長のどの種類のフラクショナル・レーザーが、どの深さの治療に適しており、どの様な頻度で治療を加えるべきかの考察を加えました。

さらに、クリニックFでは、フラクショナル・レーザーを治療に使用する前に、主に光治療器により肌のコラーゲンやエラスチンを増やして肌密度を上げるという、

「肌の基礎工事」

を行っており、事前に、一見遠回りのように見えるこの作業をする事により、治療効率が著しく向上したと発表しました。

そして何よりも目に訴えるものをと、症例写真を沢山揃えたのです。

これは、口演としてもとても興味深い内容だったようで、講演し、いくつかの質問に答え、席に帰るとき、予想外の拍手喝采と温かい言葉を贈って頂きました。

日本から遠く離れた異国の地で、他の演者の方より大きな拍手を頂けるとは、研究者としても大変嬉しく光栄なことでした。

 


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