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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:技術/テクノロジー・AI・エレクトロニクス・光学機器・PC・インターネット他

ChatGPTの進化が著しい

ChatGPTの進化が著しいのでそのまま回答を貼り付けた投稿も増えましたが、あくまで道具なので、どう質問するかで回答の精度が大きく変わりますから工夫して欲しいですね。

今後は会議も自分AIでの音声チャットに変わると楽で良いですが、ぶっちゃけ今の国会もそれで良いんじゃないかな。


【知性と無意識の統合】 生成AIは、「文章の続きを予測する」ことから始まった──

【知性と無意識の統合】

生成AIは、「文章の続きを予測する」ことから始まった──

この単純な原理が、21世紀の知能の定義そのものを変えつつある。

知能とは何か。従来は、記憶・推論・判断などの能力の集合体とされてきた。だが近年、脳科学や人工知能の研究から浮かび上がってきたのは、「知能とは、未来を予測する能力である」という再定義だ。

◆ 脳は“予測装置”である

人間の脳は、ただ反応しているのではない。
世界の構造を学び、次に起こることを先回りして予測している。
「予測符号化理論(Predictive Coding)」によれば、脳は常に仮説を立て、現実の感覚と照合し、ズレ(予測誤差)を最小にしようとする。
つまり、私たちの「知覚」とは、未来の先読みなのだ。

◆ AIもまた、“予測”のかたまり

ChatGPTを含む現代のAIは、膨大な文脈をもとに、「次に来る語を当てる」よう設計されている。この構造こそ、知能を“予測の精度”として捉える考え方を裏付けている。

◆ 乳児もまた、予測することで世界を理解する

赤ん坊は、他者の表情や動きから「次に何が起こるか」を学ぶ。それはまるで、未知の世界に対して小さな予測モデルを作っていくようなものだ。ここに、知能の本質を見ることができる。

◆ 知能=予測能力──その利点

環境適応性:未知の状況でも、予測ベースで対応できる
学習可能性:誤差から学び、モデルを更新できる
抽象化力:経験から世界の構造(因果)を内面化できる
そして、この予測力が研ぎ澄まされたとき──
そこに現れるのが「知性に裏打ちされた第六感」である。

◆ それは“剣豪の一太刀”にも似て

剣の達人は、「考えている暇があるなら、もう遅い」という。だが、その“無意識の剣”は、無数の稽古と経験に支えられている。つまり、極限まで鍛えられた直感は、もはや高度な知性と同義なのだ。

◆ 医療の現場でも、芸術の瞬間にも、スポーツでも

たとえば、名医が患者の些細な表情から異変を察する。
熟練の経営者が、市場の雑音の中から“兆し”を聞き取る。音楽家が一瞬で、ホール全体の空気を変えてしまう。大谷翔平が球速と球威を予想して打球をホームランに繋げる。
それは、意識と無意識、知と感性が融け合った瞬間──
「ロジックで鍛えられた直感」が発動する場面である。

◆ AIとの違いは、“未知”に強いかどうか

AIは過去のデータに基づいて予測を行うが、その文脈が訓練データにないと、脆さを露呈する。一方、人間の“第六感”は、過去の経験を抽象化し、まったく新しい状況にすら直感的に適応できる。
つまり、最強の判断力とは、論理と直感の融合にある。
医療、経営、教育、そして芸術──
これから求められるのは、「考える力」と「感じる力」の架け橋だろう。
知性とは、未来を感じ取る“静かな力”である。
その力が、未踏の領域を切り開いていく。


【“数式嫌い国家”の政治家たち─早慶文系エリートと理系リテラシーの断絶】

【“数式嫌い国家”の政治家たち──早慶文系エリートと理系リテラシーの断絶】

ニュースを見ていたら、ある政治家がAI規制の議論で「ChatGPTはインターネットを検索しているだけ」と発言していた。

もちろん間違いではないが、生成AIの原理や応用倫理への理解には到底及ばない。こうした“理系リテラシー不足”は今に始まったことではない。

◆“科学を知らない政治”の危うさ

COVID-19の対応では、専門家会議と政治判断の間に深い溝があった。今後AI、合成生物学、宇宙安保といった超技術社会を迎える中で、政治家が理系リテラシーを欠くことは、国家存亡の危機に直結しかねない。

◆日本の政治家は理系出身が少ない

OECD比較でも、日本の国会議員における理工学系学位保持者は10%未満とされ、ドイツ(約40%)、韓国(約35%)、中国(約50%)と比べ極めて少ない。

日本の政治エリートは法学部出身が圧倒的多数を占め、政策立案も法律解釈や制度設計が中心で、科学的エビデンスや技術選択の基盤理解が弱い。

◆「理科や数学は不要」という受験構造

早稲田政経、慶應法や経済など、日本の伝統的“文系頂点ルート”には理科がない。数学も数IAのみ、場合によっては不要。つまり、彼らは中学理科と高校初級数学で受験を終える。

そうして“知のエリート”として政治家となり、科学技術立国ニッポンの未来を議論しているのが現実だ。

◆法律と制度設計の限界

政治は法律を作る仕事だ。だから法律学部出身者が強い。それ自体は問題ない。ただ、現代社会のあらゆる問題は科学技術の理解なしに語れない。

AI規制法も、量子暗号通信網整備も、バイオセキュリティ法も、科学的知識なしに条文を作れば、無意味か危険か、どちらかだ。

◆本当の意味での“文理融合”

僕は思う。

「理系科目ができる政治家を増やせ」と言いたいのではない。

必要なのは、“理系的思考”を持つ政治家だ。

理系的思考とは、

• わからないことを放置しない
• 仮説を立て、検証する
• 数字と現象をセットで理解する
• エビデンスで意思決定する

この思考法は、政治家だけでなく全ての文系エリートに必要なリテラシーだ。

◆数式嫌い国家の行く末

江戸期、蘭学を学ばぬ政治家は無能とされた。明治期、工部大学校を作れぬ政治家は国賊と罵られた。

21世紀の今、AIもゲノムも量子も理解できぬ政治家が、この国の未来をどう語れるだろう。

僕は願う。

日本が再び、“文理融合の叡智”を誇れる国家となる日が来ることを。

◆理系リテラシー向上の処方箋

1. 理系基礎教育の必修化
文部科学省の科学技術白書(2021)でも、STEM教育の強化は提言されているが、政治家候補者の研修には反映されていない。英国のように、全政党の候補者スクールでサイエンスコミュニケーションを導入すべきだ。

2. 科学顧問制度の拡充
英国にはGovernment Chief Scientific Adviser制度があり、各省庁にChief Scientific Adviserを置いている。日本では総合科学技術会議(CSTI)があるが、政治家個人が科学顧問を任用する仕組みはない。

3. 政界とアカデミアの人材交流
韓国はKAIST(韓国科学技術院)と政治家を結ぶ短期集中プログラムを設け、ナノテク、AI、バイオ倫理を政策決定者向けに教育している。

4. 理系人材の政治参画促進
長期的には、理系博士課程修了者が政治に参加しやすい制度改革が必要だろう。日本の博士人材は企業就職率が高く、政界進出は稀である。


MACHINE LOVE展を前にして──あなたの心は機械に恋をするか?

MACHINE LOVE展を前にして──あなたの心は機械に恋をするか?

森美術館のエントランスに掲げられた一枚のポスター。

そこには、都市の残像を背負いながら、どこか生身のようで、どこか無機質な人物が、ゲートのようなフレームを通過していく様が描かれていたのです。

タイトルは「MACHINE LOVE」。副題に「ビデオゲーム、AIと現代アート」。
まるで、「あなたは機械を愛せますか?」と問いかけられているかのようでした。

機械に感情はあるのか?──神経科学とAIの狭間で
近年の脳科学研究では、感情とは扁桃体・前頭前皮質・島皮質などのネットワークによって生み出されるとされています。一方で、AIもニューラルネットワークによって「判断」や「選好」を示すようになりました。

しかし――AIに「情動」はあるのでしょうか?

もちろん、AIはオキシトシンもアドレナリンも分泌しません。ですが、我々がそれに「感情を投影する」ことで、擬似的な共感が成立してしまうのです。

これは心理学でいう「擬人化(personification)」の一種であり、ある種の脳内報酬系の活性と関係しています。

「感情を持っているように見える」ことが、私たちにとっては時に「感情がある」にすり替わってしまう。そこにこそ、人間とAIとの未来的な愛の予感があるのではないでしょうか。

https://www.facebook.com/1486146253/videos/pcb.10237808045168764/644773808601589

アートとしてのビデオゲーム──能動性と共感の融合

ビデオゲームは、もはや「遊び」だけのものではありません。プレイヤーは選択をし、感情移入し、時に自分の倫理観を問われる。これは、芸術でいう「没入」と極めて近い体験です。

近年ではゲームセラピーも注目されており、PTSDや社交不安に対する介入法としても用いられるようになってきました。つまり、ゲームは心を癒し、再構築するメディアになり得るということ。

この展覧会では、そのようなヒーリングと葛藤、共感と異化が、AIという「第三の意識」として登場しているように感じます。

https://www.facebook.com/1486146253/videos/pcb.10237808045168764/10016028281753800

「愛」の定義が変わる時代へ

この展示の最大の問いは、もしかすると「人間にとっての愛とは何か」という根源的なテーマなのかもしれません。

感情とは脳の演算の一種であり、愛とは神経伝達物質の複合的な現象である。

であれば、その構造を模倣する機械が「愛」を演じることに、果たして何の違和感があるのでしょうか?

むしろ、我々人間がそれを「愛として受け入れる柔らかさ」を持てるかどうか――それこそが、未来の社会の医療や福祉、コミュニケーションにおいて決定的な鍵となるのではないかと思うのです。

六本木の高層階で行われるこの展示は、ただのアートイベントではありません。それは、「医療と芸術とAIの交差点」であり、そして「僕たちの感情の再定義の場」、「人間性とは何か」を問い直すものでした。

とりわけ、生成AIが創造の領域へ踏み込んできた2020年代後半、我々はアートの主体を機械と共有するようになった。アートは感性の表現であるはずだが、その感性が機械に代替されつつあるという事実には、どこか背筋の冷たさすら感じましたね。

出展作家には、Beeple(NFTアートの旗手)やAnicka Yi(AIとバイオアートの境界を超えるアーティスト)といった国際的な名前が連なっていますが、注目すべきは佐藤龍太郎(Sato Ryotaro)や藤倉麻子(Fujikura Asako)といった日本人作家の存在感です。これは単なる海外アートの輸入展ではなく日本発のメッセージも強く内包していることが伺えます。

本展は、未来に向けて「感性の座標」を更新する、そんな試みなのかもしれませんね。

会期:2025年2月13日(木)~6月8日(日)
会場:森美術館(六本木ヒルズ森タワー53階)
主催協賛:楽天モバイル、大林組など
併設展覧会:MAMコレクション各種


「どんな音も波の足し算」 人類史上 最重要方程式ベスト10 その2

「どんな音も波の足し算」

人類史上 最重要方程式ベスト10 その2

フーリエ変換は複雑な波を単純な周波数成分に分解する技術

フーリエ変換(Fourier Transform)は一見難しく感じますが、イメージさえ掴めばとても直感的で「音楽や光を分解する魔法の道具」のようなものです。中学生向けにやさしく説明します。

■ フーリエ変換って何?

一言で言うと:
どんな波でも、「いろんな高さの音の組み合わせ」に分ける方法。

分野  使い方の例
音楽  曲の中の音の高さ(周波数)を調べる
画像  写真のぼかしや鮮明化(MRIやCTスキャンも)
通信  スマホやWi-Fiの信号を分解して復元
地震  地震波を分析して、どこが揺れたかを見る
宇宙  星や銀河の光を分けて、何でできているか調べる

■ たとえば「音」を考えてみよう!

ギターの音やピアノの音を録音すると、波みたいな形が見えますよね?
でもその音は「いくつかの音(周波数)」がまざったものです。

フーリエ変換を使うと、
• この音には「ド(261Hz)」が何%、
• 「ミ(329Hz)」が何%、
• 「ソ(392Hz)」が何%入ってるか
というふうに、「音の成分表」みたいなものを作ることができます。

■ たとえるなら…

● フーリエ変換は「プリズム」
光 → 白いけど、プリズムに通すと「虹(赤・青・緑…)」に分かれる。
音 → ゴチャっとした音をフーリエ変換にかけると「ド・レ・ミ・ファ…」に分かれる。
つまり「混ざったものを、きれいな材料に分ける」のがフーリエ変換!

■ 中学生向けまとめ

音や光などの波を「材料(周波数)」に分ける技術
プリズムが光を虹に分けるように、フーリエ変換は波を音に分ける
身の回りの音楽・画像・スマホ・宇宙にまで使われる


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