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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:ニキビ跡

AADの記事より フラクショナルレーザーによるニキビ跡/傷跡治療

こちらは僕も所属しているアメリカの皮膚科学会 AAD American Academy of Dermatologyの記事より。

Dermatologists are now using fractional lasers to improve the appearance of acne, burn, surgical and traumatic scars

フラクショナルレーザーでこうした皮膚の凹凸を改善出来るということが皮膚科医の間でも常識となり、そこにレーザーの歩んできたここまでの道のりを思います。

英語で様々な情報を読むのは簡単ではありませんが、やはりこの世界は欧米主導な部分が多いですから、勉強になりますよ。

機会がありましたらぜひ読んでみてくださいね。

※AADの記事:https://www.aad.org/stories-and-news/news-releases/popular-anti-aging-treatment-emerges-as-effective-treatment-for-difficult-scars


2015年 ニキビ痕治療に効果のあるレーザー

来日中のルミナス社の副社長 Roy RamatiがクリニックFを訪れてくれました。

来年のレーザー動向についてもいろいろディスカッションできましたよ。

新たな機器発表もあるようで、来年は一度イスラエルの本社も訪れてみようと思います。

※※※

今日はニキビ跡治療に使用するレーザーについて、触れたいと思います。

以前にも何度か書いていますが、ニキビ跡を治療することとニキビの治療は似て非なるもので、大きく異なります。

クリニックFではニキビ跡の治療を主に行っていて、こちらは10代の方から50代近くの方まで非常に好評です。

ニキビ跡については長年悩まれている方も多いので、少しでも前進すると皮膚だけでなく表情まで明るくなるのです。

これは治療を担当する僕としても、とても嬉しい患者さんの心の変化です。

光で皮膚にアプローチしているつもりが、その光は皮膚のさらに奥、心にまで届いているのだなあと感慨深い気持ちになりますね。

さて、専門的な話をしますと、ニキビ跡は形態別で4種類(ヨーロッパでは3種類)に分類するのが一般的です。

それらは

①Rolling ローリング型

②Ice-pick アイスピック型

③Shallow box-car 浅いボックスカー型

④Deep box-car Type 深いボックスカー型

と、呼ばれています。

①ローリング型とは、丘のようにうねって平らな部位が少ないニキビ跡(Rolling scars are gently undulating,
appearing like hills and valleys without sharp borders.)のことを指し

②アイスピック型とは、表面が広く深くなるに従って細くなる円錐状のニキビ跡(Ice-pick scars, also known as
pitted scars, appear as round, deep depressions culminating in a
pinpoint base; in cross-section, they are shaped like a “v”.)

③浅いボックスカー(箱形の車)型(Box-car scars have a flat, “u-shaped” base. Broader
than ice-pick scars, they are round, polygonal, or linear at the skin
surface)と、

④深いボックスカー型(Shallow box-car scars terminate in the shallow-to
mid-dermis, and deep box-car scars penetrate to the reticular dermis.)

ヨーロピアン・アクネ・グループ(The European acne group (ECCA) )では、

◎ローリング型を「W-shaped」

◎アイスピック型を「V-Shaped 」

◎ボックスカー型を「U-shaped」

と分類しています。

2014年末現在では、アジア人を対象とした場合、

クリニックFでは以下のようにレーザーを使い分けています。

ローリング型には ヘイロー(サイトン社)

アイスピック型には スターラックス1540XD(サイノシュア社)

浅いボックスカー型には フラクセル3DUAL(バリアント社)

深いボックスカー型には スマートサイドスクエア(DEKA社)

といったフラクショナルレーザー機器が、それぞれファーストチョイスになりますね。

そうそう、昨日訪れてくれたルミナス社にもアンコアという素晴らしいフラクショナルレーザー機器があります。

こちらはまだクリニックFにはありませんので、来年は要注目です。

患者さんのニキビ跡の症状は、すべての人が同じではありませんし、また複合的にいくつかの種類のニキビ跡が混在している場合も多くありますので、これらを組み合わせて治療してゆくのが適切です。

また、必要に応じて、肌の中のコラーゲンやエラスチンを増加させてからでなければフラクショナルレーザー機器の効力が落ちることもありますので、他のレーザー光治療の加療後に治療をする場合もあります。

フラクショナルレーザー機器の場合、肌に均一にレーザーを照射することが目的ですが、どこまで重複照射するかによって、またどの頻度で治療をするかなど、施術をされるドクターの経験によって治療結果は大きく左右されます。

施術の前に、よく話を主治医に聞かれ、納得してから治療に入られた方が良いと思いますよ。


ニキビとニキビ跡のご相談 

クリニックFでは、メールでのお問い合わせにもご対応させて頂いていますが、ここへきてまたニキビやニキビ跡についてのご相談が増えています。

春と秋はホルモンの状態も一時的に通常より不安定になりますから、夏が終わって一気に悪化してしまう人も少なくないのです。

以前にこのブログでも何度かお話していますが、ニキビの治療とニキビ跡の治療はふたつの別のもの、一緒に行うのではなくひとつひとつ別にアプローチしたほうが得策です。

ニキビは病気の一種であり、ニキビ跡はその病気が収まった後に残る「傷痕」です。

顔にできたニキビを見て、自分はどこか体調を崩しているのだ、病気にかかっているのだ、という認識を持つのはなかなか難しいことと思いますが、皮膚は内臓の鏡ですから、事態を重く見て早期の段階で専門医の指示を仰ぎ、生活習慣の改善や現在置かれている環境を見直してみることが肝要です。

その上で、病気が改善した後皮膚に残ったニキビ跡と呼ばれる傷痕は、レーザーによる治療が有効です。レーザーで傷痕を治療していく過程で皮膚も強く丈夫になっていきますので、ニキビができにくい皮膚にもなっていきます。

ニキビとニキビ跡は、その凹凸や赤み、腫れに悩まれている方も多くおいでになることと思いますので、深刻な事態になる前に、一度しかるべき医療機関でご相談ください。もちろん当院でもレーザーによるニキビ跡治療のご相談にはいつでも乗らせて頂きます。


フラクショナルレーザー機器 波長の性質の違い にきび跡治療に対する機器の使い分け

突然ですが、これはなにかわかりますか?

現在、来週シンガポールで開催されるIMCAS(International Master Course on Aging Skin)の講義にむけて、フラクショナルレーザー機器の比較についてプレゼンテーションを作っています。

2004年より、世界各国でも数多くのフラクショナルレーザー機器が開発され、市場に出ていきました。

◎ソルタメディカル社 フラクセル フラクセル2 フラクセル3DUAL

◎サイノシュア社 アファーム アファームマルチプレックス

◎ルートロニック社 モザイク eCO2(エコツー)

◎パロマ社 スターラックス1540 2970 1540XD

◎DEKA社 スマートサイドドット スマートサイドスクエア

・・・などなどを僕自身も臨床の場で使用してきました。

それではどこが違うのでしょうか?

レーザーで肌をリサーフェシングしようと思うと、下図左の図のように表皮最下層の基底細胞が障害されてしまい、治癒に時間がかかっていたのですが

レーザー径を右図のように櫛状にすることで、皮膚の再生に関わる表皮基底細胞を温存しようという考えから、この治療法は開発されました。

この考え方は画期的で、この10年間のレーザー治療を一気に進化させたといえます。

ただし、あまりに数が出てしまい、機器間の差がわからないという声があることも確かです。

フラクショナルレーザー機器は機器によって性質が異なるものの、そのポイントは4つあります。

1)波長選択

2)ビームモード進達度およびフォーカス

3)ビーム系に対する熱変成比率

4)スキャナの方式

です。

まず第一に波長選択なのですが、フラクショナルレーザー機器で使用される波長は、特に水に対する吸収率で機器の性能が変わります。

1320nmから10.6μmまで数多くの機器が登場しました。

レーザービームは

■加熱され細胞活動が活性化される(図オレンジ)。

→加熱され蛋白変成がなされ、壊死する(図赤)。

→加熱され皮膚が蒸散され穴が開く(図白)。

のように変化します。

例えば、こちらの図はフラクセル3DUALで照射した時の皮下の変化の組織像です。

1550nmで照射した場合と、1927nmで照射した場合では同じ20mJのパワーでも皮下の進達度が全く変わります。さらに、組織は蛋白変成はしていますが、蒸散はしない。

一方、こちらの図はフラクセルリペアで照射した時の肌の変化を表しています。

フラクセル3DUALの場合と皮下のほぼ同じ深さまで照射していますが、10600nm水の吸収度の高さから、組織の蒸散が起こっているのがわかりますよね。

にきび痕など深い組織の治療は、CO2を利用しなければならないことがわかります。

さらに、こちらの図は同じC02レーザーを使用した際に、ほぼ同じパワー設定の機器で、異なる機器を、肌に照射したケースです。

ビーム系や照射密度がずいぶんと違いますよね。

同じCO2レーザーでも、ビームの径のフォーカスポイントがどの深さに設定してあるかによって効果が全く異なることも、お気づきになるのではないかと思います。

フラクショナル機器の治療方法にも、疾患により最適解というものが存在します。

幾つかの波長と機器を使い分けることが、疾患の解析及び治療のスタートとなるのです。


にきび跡治療と肌質改善に必要なレーザー/光機器の選択 照射順序の重要性

おはようございます。

今日12月10日(月)もクリニックFの診療日です。

今日も快晴の東京。視界も良いですね。

しかしながら週末は大変寒く、日本海側や、名古屋、京都など各地で雪が観測され、こちらでも大きなニュースとなっています。

東京でも初氷が観測される様になりましたが、それでもまだNYやロンドン、ミラノ、北京などの世界の大都市に比較して、東京の冬は暖かいですよね。

よく言われることではありますが、実際海外に在住したことのある人、海外を良く旅行する人と話をすると、安全面、清潔面、料理のおいしさ、自然の豊かさ、文化度の高さ、そして天気などを考えると、東京ほど暮らしやすい都市は数少ないのではないかと必ず話題になります。

とはいえ、冬の間にこの日本で大きな事故がないよう願うばかりです。

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「永遠のゼロ」を読んだばかりですが、同じ作者(百田尚樹)の最新作、「海賊とよばれた男」を読み始めました。こちらは永遠のゼロよりも先に買っていたのです。

戦後の動乱期から現在の日本を作り上げてきた人の物語ですが、僕もこうして40代も中盤に差し迫ってくると、日本の歩んできた歴史と、先輩達の努力に真摯に耳を傾け、次の世代にどのような日本を残していくか考え、国益のために自分の出来る努力をしなければならない世代になったのだなあと感じます。

西洋的に言えば、ノーブレス・オブリージュ(noblesse oblige)の考えですよね。

 

今年も工学部大学院に通ったり、30都市以上の海外出張をこなして、レーザー光治療に関して知見を深めてきたつもりですが、そろそろこのブログでも2012年のレーザー医療総括を行ってゆきたいと思っています。

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既に今世紀に入って丸12年。

レーザー光治療が肌に及ぼす影響についての研究がさらに進みました。

10年前までのレーザー機器は、シミやアザを取るための、あくまでも部分治療の領域の機器でした。

しかしながらこの10年間に、肌全体に高出力の電磁波であるレーザーや光を照射することにより、肌質を改善する治療が多くなりました。

肌は加齢によりコラーゲンやエラスチン、ヒアルロン酸などの真皮構成成分を減らしますので、時間の経過と共にハリ・艶がなくなっていきます。

さらに、表皮の入れ替わり回数(ターンオーバーサイクル)が遅くなりますので、メラニンなどの排出が遅くなり、くすみが出る様になります。

こうした肌質の加齢要素をレーザーと光治療で改善することが可能になったのが最も大きな利点だったと言えます。

加えて、肌全体を入れ替えるリサーフェシングという施術がフラクショナル技術により一般化したため、今まで治療が難しかったにきび跡治療が可能になってきたことも、大きな進化の一つです。

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以前もブログで話題にしたことがあるのですが、「ニキビ跡治療」と「ニキビ治療」は似ている様に見えますが、全く違うものです。

にきび跡治療は肌を平らにするために多かれ少なかれ、肌を削る作業をしなければなりませんが、元々ニキビが出来る人の肌を削ってしまうと、肌が乾燥し→その乾燥を防ぐために皮脂分泌が増え→ニキビがさらに悪化するという結果を招くのです。

過去、グラインダーやディープピーリングなど、にきび跡治療のために肌を削る治療がありましたが、これらは長いダウンタイムがあったにもかかわらず、治療効果が上がっていたとはとても言えないものでした。

にきび跡治療をする前に、まずはニキビが出来ない肌を作らなければ治療が進められないのです。

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にきび跡治療に「フラクセル3」、「eマトリックス」、「スターラックスXD」、「エコツー」、「スマートサイド」、「サイトン」などが良いと聞き、他の病院で治療したけれど、全く効果が感じられず、むしろニキビが悪化したと、相談にいらっしゃる方がいます。

そうした方々の肌を診察してみると、9割は、肌を削る治療をする前に、肌質を改善させる治療など、事前に他の治療が必要であった人で、非常に残念に思います。

本来ならば最新レーザー治療機器を大学病院で購入し、治療方法が検討された後に学会で治療方針を発表するのが医療の原則なのです。

特にこの10年間で急速に進化してしまったレーザー光治療という分野で使用する機器は、日本の厚労省では認可に時間がかかるため、未認可機器が多く、また高額であるため、日本の大学病院などで機器を揃えることが出来ず、学術検討が遅れる場合が多いのです。

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日本の開業医はこれらの最新機器を個人輸入という形でいち早く手に入れることが出来ますので、新しい機器であればあるほど、海外で取得されたパラメーターをそのまま応用して利用することになります。

ところが、実際に治療してみればわかりますが日本人の肌は、同じアジア人の韓国や中国人の肌よりも遥かに繊細です。日本の温暖湿潤の気候が肌に良いのだと思いますが、この気候のおかげで、日本人の肌は本当に救われているのですよね。

日本人が米国や中国、ヨーロッパなどを旅行するとなぜか肌荒れするというのは、そうした理由もあるのです。

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日本人特有の肌に施すレーザー治療には独自の技術と治療経験が必要です。

クリニックFは「肌質を改善するレーザー治療の専門クリニック」という軸をぶらさずに、最新鋭の機器を導入してきました。

特ににきび跡治療で、レーザー治療を考えるのであれば、使用するレーザーには順番があり、その人の肌を実際に診断しなければ、選択するレーザー機器は決定できないということを覚えておいていただきたいと思います。


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