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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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顕微鏡の神秘

クリニックFの院長室には一台の顕微鏡があります。実は顕微鏡は、僕を科学の世界に引き込んだ、きっかけの光学器機です。

僕は藤沢と鎌倉で育ちました。祖父母の家が由比ガ浜にあり、特に祖母は僕が初孫だったのもあって、本当にかわいがってもらいました。

その祖母が僕が小学校2年生になった時に、「二年生になったから、顕微鏡を買ってあげようね。」といって、鎌倉のデパートまで連れて行ってくれたのです。僕は顕微鏡というものが一体どんなものなのか全く知らなかったし見たこともなかったのですが、分からないながらもその名前にわくわくし、「何を買ってくれるんだろう??」と、デパートまでついていった記憶があります。

確か1980円という当時としては高額のプレゼントだったと思うのですが、その後、僕は身の周りの自然のものを顕微鏡で眺めて、スケッチをするという、ミクロの世界に魅了され、はまってしまいました。顕微鏡熱は小学校の高学年になるまで続きました。医師だった母方の祖父の家に遊びに行き、病理の顕微鏡スライドを見せてもらったり、顕微鏡を使った研究職についていた叔父の研究所を見学させてもらったり、いっぱしの研究者気取りで毎日顕微鏡に向かっていたものです。

今思うと、不思議ですね。でも、物事に集中する性質は子供のころからあったのでしょう。今レーザー機器のおたく?マニア?になっている自分を見ると、三つ子の魂百までと言いますが、不思議に思います。

医師になる遠因を作ってくれた祖母は83の時に大腸がんの手術を受けなければならなくなりました。その時手術部にいた僕は、祖母を東京の病院に連れ出して、信頼できる医師に手術をお願いし(教授や准教授が手術がうまいわけではないのです)当時麻酔科にいた僕が麻酔を担当し、最高の環境で手術ができるようにアレンジしました。祖母は90歳を超えて、今だに健在ですが、少しでも恩返しができたとうれしく思いました。

今回備品として購入したのですが、顕微鏡を見ると、研究者として初心に戻る気がしますよ。


アメリカ CUTERA社の CEO来たる

先週の話になるのですが、米国カルフォルニアに本社のあるレーザー会社CUTERAのCEOであるKevin Conorsが クリニックF を訪ねてくれました。

クリニックFにはキュテラのXEOという最新鋭のレーザーが導入されており、その効果と、評判、さらには日本のレーザー医療の市場について聞きに来たのです。

このXeo という機械は、タイタン(リフトアップ)、ライムライト(ホワイトニングや肝斑)、アキュチップ(しみ取り)、ジェネシス(目の下のたるみやクマ)、プロウェイブ(脱毛)などのすべての症状に対応できる機械です。

この機械は元来青い色の機械なのですが、クリニックFには日本で初の、米国仕様のグレーとグリーンの機械が導入されています。


レーザーの歴史 その拾 最新のミニマムアブレイティブのレーザー

このフラクショナルレーザーリサーフェシングの市場で、私が注目するのは、やはり2007年の春にデビューした本家本元のReliant 社フラクセルⅡと、Cynosure 社のアファームです。

フラクセルⅡとアファームは両方使わせていただいていますが、全く違った機械と考えてよいと思います。

今までのノンアブレイティブの治療では満足できない方に、数日間なら赤みが残ってもよいという、ミニマムアブレイティブなレーザーのニーズがあり、これらの機種は、ちょうどそこの枠にきっちりとはまったレーザーだと思います。
1550nmのフラクセルⅡに対して、1440nmのアファームは、光の浸透の深さが違います。

両者の波長の、水に対する吸収率が違うからなのです。アファームの採用している波長は水の吸収率が高いので、お椀のようななだらかな浅い熱変性を起こしますが、フラクセルⅡは逆に、組織が針や鉛筆のような、細長く深い熱変性を起こします。毛穴はアファーム。アクネスカーはフラクセルⅡが効果的でしょう。

フラクセルⅡはフラクセルⅠよりも痛みが少なくなり、施術の深さも深くなりました。また青い色素も必要なくなり、ニキビ跡のような、深い皮膚疾患には効果が高いと思います。

スタンフォード大学(Stanford University)の皮膚科の女医であるZakia Rahmanが日本に来日した時のフラクセルの講義は素晴らしかったです。

講義の後に、ディストリビューターであるJMEC社の好意で一緒に会食をしましたが、彼女の研究熱心さが非常に伝わりました。

フラクセルを体のどこにどのくらいの深さで、どのくらいの密度で打つかを全て調節できるようになっていて、現状のフラクショナルレーザー市場では明らかに一歩先んじています。

Affirm アファームは1440nmの近赤外線および、CAP(The Combined Apex PulseTM)システムを使用した、最新フラクショナル・レーザー・リサーフェシング機器です。

1440nmという光は、その水への吸収効率から、光老化の対象である300μm以下までしか届きません。その点痛みも弱いし、効果も浅いと言えるのですが、一般的に紫外線の効力のある部分の肌の入れ替えは出来ます。

さらに米国ではランチタイムリジュビネーション(ランチタイムを使った肌の若返り)と言われているほど、約15分という短期間に施術を終えることが出来るのが魅力です。

アファームには1330nmの赤外線を同時に照射するアファームマルチプレックスという新機種が近々デビューする予定です。この機器はアファームの能力にプラスして、さらにたるみ引き締め効果を取り入れた機器で、大変期待が持てます。現在ワシントンDCのロバート=ワイス(Robert Weiss)医師、カルフルニア州サクラメントのエミル=タンゲッティ(Emil A. Tanghetti)医師、ロサンジェルスのロナード=モイ(Ronald Moy)医師、テネシーのブライアン=ビースマン(Brian Biesman)医師、ニューヨークのブルース=カッツ(Bruce E. Katz)医師の5人の医師(彼らは米国レーザー学会で私ともよく話をする仲です)が選ばれ、治験をしているところです。

クリニックF院長の藤本は、フラクショナルレーザーの経験が日本で最も多い医師の一人であるため、日本で一番最初のアファームマルチプレックスをクリニックFに導入することを米国サイノシュア社から約束されています。

※ FDA(Food and Drug Administration of the United States Department of Health and Human Service)米国食品医薬品局=日本の厚生労働省


星に願いを

10日前に作曲家でピアニストの羽田健太郎さんが亡くなりました。死因は肝細胞癌。58歳という若さだったそうです。

僕は羽田さんが司会を務めるテレビ朝日系列「題名のない音楽会21」が大好きで、毎週録画予約して必ず観ていました。「渡る世間は鬼ばかり」や「西部警察」などのテーマ曲を作曲したことでも知られる羽田さんは、音楽家としての腕や知識も秀逸なものがありながら、声や表情、ゲストを立てながらも締めるところは締める抜群のバランス感覚など、名番組の司会を務めるにぴったりの人だといつも思いながら観ていました。「シェルブールの雨傘」やガーシュインの「ラプソディー・イン・ブルー」、フジコ・ヘミングが番組内で演奏したリストの「ラ・カンパネッラ」、ラヴェルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」などは、コンサートで聴いたことがなくとも、番組で聴くことで、まるでコンサートに行ったような感動を味わいました。

肝臓は「沈黙の臓器」と言われていて、多少おかしくなったとしても、初期には自覚症状はほとんどありません。予備力が非常に高い臓器なのです。肝臓の予備力が減って症状が出てくるときには、全身倦怠感や、食欲不振、黄疸、発熱などが起こります。肝細胞癌はウイルス性肝炎にかかっている人がほとんどなのですが、ウイルス性肝炎を持つ人が10年単位で肝硬変になり、そのうち数パーセントが肝細胞癌を発症するという経過をたどります。しかし、58歳は若すぎますね。

羽田健太郎さんは、アンコールでよく「星に願いを」を弾かれたそうです。星の上で安らかに眠られていることを祈っています。


レーザーの歴史 その九 Fractional Laser Resurfacing

Fractional Laser Resurfacing 

2004年、ダラスのASLMS(米国レーザー学会American Society for Laser Medicine &Surgery)で、カルフォルニアのリライアント社が発表したFractional Laser Resurfacingは画期的な技術開発でした。ちょうど初めての技術発表のそのときに私は学会会場にいて、この講演を聞いていました。肌に細かい穴を開けて(正確には1550ナノメーターのエルビウムグラスレーザーを使用してミクロン単位で上皮を凝固させるのですが)肌を入れ替えるという全く新しい考えで、会場内に衝撃が走ったのを鮮明に覚えています。色素沈着が起こりやすいアジア人にとって、リサーフェシング(肌を入れ替える)施術ができることはまさに福音でした。私は日本の一台目のフラクセルを輸入し、多くの患者さんに使用し、とても感謝されました。

翌年の2005年以降、このフラクショナルリサーフェシングの技術を応用した器械が多く発売されました。基本的な情報と、FDAでの認可された適応疾患を書きますと

 

       Fraxel SR Laser:          

      1550nm Fiber Laser

      IOTS

      FDA: Pigmented lesions, resurfacing, melasma, periorbital rhytides, acne scarring and surgical scarring, coagulation of soft tissue.

       Affirm Laser:

      1440nm

      CAP, not fractional

      FDA: Periorbital wrinkles, pigmented lesions

       Lux IR Fractional:

      IPL 850-1350nm

      Stamping

      FDA: Coagulation of soft tissue

       Lux 1540nm:

      1540nm

      Stamping

      FDA: Coagulation of soft tissue

       Pixel Laser:

      2940 ablative Erbium

      Stamping

      FDA: Wrinkles, Skin resurfacing, epidermal nevi, spider veins, keratoses

       Mosaic Laser:

      1550nm

      Stamping (1 tip), Stationary Scanning [CHAOS] (3 tips)

なります。

(写真はMosaic)私も20075月のオーストリアで行なわれたヨーロ ッパ皮膚科学会に参加しましたが、イスラエルのシネロン社も、フラクショナルなポラリス(e-laserWR)を発表していました。多くのフラクショナルレーザーの販売が、この市場を作っているといえます。


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