TakahiroFujimoto.com

HOME MAIL
HOME PROFILE BOOKS MUSIC PAPERS CONFERENCES BLOG MAIL CLOSE

BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

BLOG|ブログ

レーザーの歴史 その六 サーマクールの登場

形態的老化(たるみ、しわ)へのアプローチ R F の登場

2002年にはラジオ波(Radio freaquency)という電流を使用した治療法がASLMS(米国レーザー学会アトランタAtlanta)で発表されました。光やレーザーを利用するのではなく、電流を使用する治療を提示したのです。この治療はたるみに代表される「形態的老化」に効果を発揮します。単極(モノポーラ)RFであるサーマクール(ThermaCool)がカルフォルニア州のサーメージ(Thermage)社より発売され、話題騒然となりました。

サーマクール(ThermaCool)は、電気メスのRF技術を利用した、顔のたるみを治療するために作られた機械でした。

キースというアメリカ海兵隊上がりの50歳過ぎのCEOが、何年という開発期間を経てこの機械を市場に出したのです。
サーマクール=サーメージには、大きく分けて二つの効果があります。
ひとつは、しわやたるみを改善し、肌を引き締めながらリフトアップする効果です。

真皮層内のコラーゲンがRF(高周波)の熱により収縮することで、即効的に引き締め効果が現れます。

もうひとつは、コラーゲンの活性化による美肌生成。

RFの熱で壊れたコラーゲン繊維が修復される過程で、大量のコラーゲンが作られ活性化していきます。

施術を受けた患者さんの感想は

・肌の張力を感じる

・頬が痩せたような気がする
・頬に張りが出てきた
・額に張りが出てきた

・鼻唇溝(ホウレイ線)が浅くなった感じ
・皮膚の内側に張りがある感じ
・額がつるつるした感じ

・2週間後から毛穴がしまった感じ

・子供から皮膚感が違うと言われた

・痩せたと言われた
・アゴのラインがきれいになった

・直後からピーンと張った感じ

・1~2週間で効果が出てきた

・頬からアゴにかけて小さくなった

・頬の小じわが改善されてきている

・眉が上がって目が大きくなった気がする

・皮膚にツヤが出てきた

・自分自身でも頬の変化を感じる

・痩せたと言われる

・口角が上がったと人に言われる
・・・というように上々でしたが、反面決定的な弱点として施術中の痛みがあり、これが特にクローズアップされることになります。

痛みを軽減すべく多くの医師たちの努力によって、サーマクールの施術方法は下記のように毎年変わってきました。

2003年 アトランタ開催の米国レーザー学会(ASLMS)サーマクール・デビュー 全顔ハイパワー照射法が奨励されました。

2004年 ダラス開催の米国レーザー学会(ASLMS)ルイスエスパーザー医師によるアンカリングメソッド法の発表。痛みの少ない照射法が検討されました。

2005年 オーランド開催の米国レーザー学会(ASLMS) 全顔マルチプルパスおよびベクトル法の発表。アンカリングメソッドを生かして、患者さん個々に合わせた、テーラーメードの照射法が検討されました。

2006年 ボストン開催の米国レーザー学会(ASLMS)

照射面積3cm2 従来の三倍のビッグチップ

照射面積0.25cm2 のまぶたスモールチップ
2つのチップの登場により、顔だけではなくて、ボディーに対しても効果的な治療法が検討されました。

2007年のAAD(米国皮膚科学会)ではより進化したThermage NXT (サーマクールネクスト) が登場し、照射スピードと操作性が格段に上がりました。

 

さらにサーメージ社は、2008年12月にフラクセルを開発したリライアント社を吸収合併し、ソルタメディカル社に社名を変えます。

2009年11月には、痛みを抑制した第三世代のThermage CPTを発売。

クリニックFに日本の第一号機が導入されたことは記憶に新しいです。

 


上原彩子のラフマニノフ

先日から書き始めたレーザーの歴史シリーズの中で、ちょっと閑話休題、音楽の話です。

上原彩子は2002年の第12回チャイコフスキー国際コンクールで、女性として、そして日本人として初めてピアノ部門の第1位に輝いたまさにクラシック界の天才です。

このコンクールで 弾いたラフマニノフの”パガニーニの主題による狂詩曲”は、今まで聞いたCDの中で最も素晴らしい演奏で、スタジオではなく、コンクールの演奏と言うのが信じられないぐらいの演奏でした。

何度も聞かせてもらいましたよ。

今日、横浜のみなとみらいホールでロシア・ナショナル管弦楽団とのカップリングで、ラフマニノフのピアノ協奏曲三番の演奏会があったので、ほぼ1年ぶりにコンサートに行って来ました。

ラフマニノフのピアノ協奏曲3番は、僕が多分千回以上聞いている、最も好きなクラシックの曲の1つなのですが、技巧と表現力に長ける上原彩子さんのカップリングは本当に楽しみでした。

いやしかし、今回の演奏は、聴いていて涙が出るぐらい感動しました。なんというか、適切な言葉がまったく思い浮かばないのですが、彼女は日本の宝ですね。

技術力を持った演奏家は今までにもいましたが、あの表現力は、トリノで金メダルを取った荒川静香さんのスケートの演技に匹敵するような、聴衆を引き込む吸引力を持っていました。皆さん本当にお勧めです。


レーザーの歴史 その五 スキンリジュビネーション(肌質の若返り)のためのレーザー

スキンリジュビネーション(肌質の若返り)のためのレーザー

もともとレーザー光線には、肌の下のメラニンやコラーゲン、ヘモグロビン、水に作用する効果があります。IPLが開発されて、施術後すぐにメイクをして帰れるという「non-ablative skin resurfacing」の治療が始まって以来、レーザーを低いパワーで顔全体に照射することで、スキンリジュビネーション(肌質の若返り)を行なう治療が始まりました。この治療法は、Laser facial と呼ばれています。

Laser facialは通常のシミを取るレーザーに比べて低出力ですが、顔全体に数百ショットの照射を施すことで、痛みなく肌の茶色いシミや赤みが減少し、さらにテクスチャーでも「肌の張り」が出るため、非常に人気のある施術になりました。CUTERA社のジェネシスや、CYNOSURE社のEliteなどを使用したロングパルスのレーザーフェイシャルは定評があります。

2002年にJMEC社が日本にディストリビュートしたMAX engineering(現Lutronic)社のQスイッチNd:YAGレーザーであるSPECTRA VRM を使用し、マックスピールと呼ばれる黒いカーボンローションを使用したレーザーピーリングを紹介しました。

この手法はGoldberg Dermatol Surg という雑誌に2001年に発表した方法を参考に開発されました。当初は世界的なスタンダードだったQスイッチNd:YAGレーザーはHOYA社のMEDLITEという製品でしたが、もともと、QスイッチNd:YAGレーザーはアメリカで刺青をとるために開発されたものでしたので、それに適したように、安定した出力と5mmのスポット径、さらにビームプロファイルが山のような形をしたガルシアンと呼ばれるモードになっていました。

レーザーピールという観点では、SPECTRA VRMには、MEDLITEを上回る性能が二つありました。ひとつは照射径の大きさが大きいこと。もう1つはレーザーのビームプロファイルがトップハットと言われる出力が均等なものであることでした。

レーザーのスポット(照射半径)に必要なエネルギーは、その半径の二乗に比例します。すなわち、7mm の径と5mmの径で、同じパワーの出力を求めたい場合、半径を二乗しますと一方では7×749 5×5255mm径を7mm径にするためには機械的には、ほぼ倍(2549に)の出力を持つ製品でなければならなかったのです。SPECTRA VRMは当時のQスイッチNd:YAGレーザーとしては珍しく、7mmの径の照射が可能でした。同時にレーザーのビームプロファイルも、先端のパワーが均一のトップハットのものでした。

このレーザーは当時としては「なすすべがない」と言われていた毛穴の治療に効果があったためマックスピールの名前で広まり、私も何編か論文を書かせていただきました。


レーザーの歴史 その四 IPL(フォトフェイシャル)の登場

画期的な色彩的老化(シミ、くすみ)の治療法 

IPL(フォトフェイシャル)の登場

1999 シモン=エックハウスが提唱した光治器=intenced pulsed lightフォトフェイシャルが米国ルミナス社で発売されました。 レーザーのような単一波長ではな く、カメラのフラッシュに似た、ある程度の光のバンドを持った治療器です。照射直後からメイクができるというコンセプトの元、かさぶたを作らないノンアブレイティブ治療というあらたな概念を作り、日本でも一世を風靡しました。

いわゆる「フォト治療」や、「フラッシュランプ治療」というのはこのIPLを指します。フォトフェイシャルというのは、戦闘機の塗装をはがすために発明された軍事機密の一つだと聞いたことがあります。戦闘機やジェット機は機体が大きいため、塗料の重さもずいぶんと多くなってしまうようなのです。当初この治療機が紹介された時は、医師の間では全く効果がないといわれていましたが、効果は医師ではなく世の中が判定します。エックハウスはこの発明によりビリオネアになりました。

2002年には、オーロラ(現e-light SR)という、IPLの技術と双極RF(後述)技術を合わせたイスラエルのシネロン社elosシステムが開発されました。

シネロン社のオーロラ(Aurora) は、シモン=エックハウスが技術者 としてスピンアウトし、カルフォルニア州の開業医であるパトリックビターJr.医師が開発にか関わりました。私自身も日本におけるもっとも初期のオーロラユーザーの一人ですが、シミだけが浮き上がり、ぼろぼろととれてしまう仕組みに感動し、患者さんにより満足できる施術が開発されたと、感心しました。日本では300台以上が売れたヒット商品となりました。

光治療機はシミを消すために様々な機器が開発されてきましたが、2004年にシネロン社から発表されたオーロラプロ(スーパーオーロラ、オーロラ SRAともいわれます)は、それまでのオーロラの波長を100nm紫外線域に振り、パルス幅を半分にすることで、シミへの効果をあげたものでした。今までのオーロラを“やすり”と表現すれば、オーロラプロは“ナイフ”のようにシミを切り取る効果がありました。使用方法に気をつけなければ、火傷のリスクも上がるのです。今までのオーロラでは取れなかったシミが浮かびパラパラと落ちていく様は、まさに驚きでした。

ちょうど同じころ、カルフォルニアのCUTERA社ではアキュチップ(AcuTip 500)という直径6.35mmのチップを使用したフラッシュランプのシミ治療器を開発しました。小さい径ですが、非常に切れ味のよく、使いやすい治療機となりました。

2006年には同じCUTERA社よりライムライト(LimeLight)という光治療機が登場しました。この治療機は、520-1100nmという、赤いヘモグロビンにも、茶色いメラニンにも反応する波長を使用し、より改良したIPL です。

 

オーロラ(現e-light SR)、オーロラプロ(現e-light SRA)、ライムライト、アキュチップは、それぞれ効果も得意とする分野も違います。患者さんのシミの特性を見ながら、それに合った施術を選択する必要があるのです。

クリニックFは、色素系疾患へのアプローチとしてオーロラ(現e-light SR)、オーロラプロ(現e-light SRA)、ライムライト、アキュチップのすべてが選択できる数少ないクリニックとなっています。


カテゴリー