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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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通院の理想的頻度

クリニックFの患者さんで最も遠い場所から通ってくださる方はドバイ在住です。その他シンガポールなどアジア、アメリカ、ヨーロッパ・・・と世界各地からホームページやブログを検索してくださってメールや時に国際電話で予約を入れてくださり、毎回大変嬉しく思っています。

海外にも最新のレーザー機器を揃えているクリニックはあるのですが、やはり白人種と黄色人種ではレーザーの設定が大きく異なりますし、時には同じアジア人種でも設定を変えなければならないことも多々あります。韓国の学会に出席すると、パワー設定のアグレッシブさに驚くこともあるのですよ。やはり日本人はマイルドな繊細さを好みますので、それに適するレーザーの使い方があるのですよね。

国内で、クリニックに通ってきてくださる方々を思い返すと、沖縄の方もいますし、北海道の方もいます。九州、四国、山陰、近畿、中部、東北・・・と、これまた多地域に渡り、年に何度かいらしてくださるのです。昨日も新潟からおふたりおいでになりました。本当にありがたいですね。

こうした美容皮膚科にとって“良い患者さん”とはどんな患者さんか? と言えば、コツコツと末永く通ってくださる患者さんである、とこれは断言できます。

皮膚という、時間や環境との戦いを強いられながらも、手をかければかけただけ応えてくれ、人間の若々しさやヴァイタリティを表現する指針となる臓器を扱う医者である以上、治療に終わりはなく、経過を出来る限り見守って行きたいと思います。

「もっと向上したい」「もっと綺麗になりたい」というリクエストに、いつまでも応えられる医者でありたい。

通院は半年や年に一度でも、10年通ってもらえるなら、それがその患者さんの理想的な通院頻度。その頻度でいかに結果を出していくのか。それを頭をひねって考えるのも、僕にとっては楽しい作業なのです。


イタリア式ブランドビジネスの育て方

毎月購入している会員制で、ビジネス書誌のレジュメを掲載しているTOP POINTを読んでいて、この本が面白そうだったので買ってみました。

日本のモノ作りは、戦後、マスマーケットを前提とした

Q(品質)

C(コスト)

D(納期)

の“深化”をビジネスだと思い込み、感性がないがしろにされてきました。結果、市場では作っても売れないという現象が起こっているのです。

「日本初のラグジュアリーブランドを創造しよう」

という提案があちこちであがっていますが、これは機能(理性)一辺倒だったモノ作りの中に、美(感性)も取り入れるという、ビジネスモデルの転換をしなければならないということなのです。

1960年代後半に、東レは世界一細い繊維を開発しました。その細さは髪の毛の100分の1。この繊維をエクセーヌという名前で日本市場に投入したが、反応は良くなかった。そこで欧州市場の開拓に乗り出し、イタリアにアルカンターラ社を設立したのです。

この際に、

1)顧客をアッパー層に限定し、

2)価格は邦貨換算で二倍の価格をつけ、

3)価格を維持するために配給量を需要量より少なく抑え、市場を常に品不足の状態にする。

という販売戦略をとりました。

結果、アルカンターラ使いのコートなどはゲルマン系の国々では憧れのまとになりました。しかしながら、そのブームにも製品が市場で飽和状態になり、数年後には売り上げが減少し始めたのです。

東レでは、この危機を打開するためには販売価格を下げるしかないという考えが大勢であったのですが、イタリア人スタッフがこれに反対しました。価格を下げると需要層をロウアーミドルまで下げてしまい、汎用品となってしまうというのが理由なのです。

彼らの出してきた打開策は、顧客と価格は変えず、新しい用途を開発するというもの。家具と車のインテリア業界に参入することで、第二次、第三次アルカンターラブームを起こしたのです。すばらしいビジネスセンスですよね。

ここでわれわれが学ばなければならないのは、まさに「ラグジュアリーブランドビジネス」というものなのでしょう。イタリア人は、本当に消費者に喜んでもらえるものを作り出すためならコストをかけることを厭わない。

良いモノにはその価値をわかってくれる人がヨーロッパにはいるのです。

医療そして病院もブランディング・マーケティングが必要となる時代となりました。

クリニックFは、NY5番街やビバリーヒルズで出来るレーザー美容医療を、日本でリアルタイムに導入し、さらにそこに日本的なサービスを施しています。患者さんに新しい医療を日本的なパッケージに包んで提供していますが、それはマスマーケットに受け入れられるものではなく、顧客も自ずと限定されてしまう。

年に何回も海外の学会に行ったり、最新のレーザー機器を購入していくことは、コストがかかる作業です。それによって「販売価格」の下げ幅にも限度がある。

でも長い目で見ればこれで良いと思っています。

「世界で最高の技術を、僕のクリニックの患者さんには提供したい。」

こればかりは譲れない、僕のこだわりでもありますし、またこれこそが僕自身のブランド戦略である、と思っているからです。


乳児脂漏性皮膚炎

今日は、赤ちゃんの発疹についてご質問を頂きました。レーザーで治療をできるわけではないのでクリニックFで出来ることはあまりないのですが、状態をお聞きすると胸が痛みます。

生後まだ間もない赤ちゃんが、顔にも身体にも発疹が出て、掻きむしってしまうのだそうです。お母さんの方は赤ちゃんがこれ以上掻かないように手を縛ったりしているそうです。掻く方も辛い。縛る方はもっと辛い。

顔は真っ赤に腫れてしまって元の顔がわからないくらい、いつも膿のようなものがでている。病院に行ってもまだ小さく検査も出来ないので、ステロイドの塗り薬を週に3回ほどつけている。塗った後はすこし落ち着くが、しばらくするとまた腫れてしまう。顔だけでなく身体も炎症が起きていて赤ちゃんはずっと泣いている。赤ちゃんはもちろん、お母さんもあまり眠れておらず、心身ともにぐったりとしてしまっている・・・ということなのです。

生後まだ間もない赤ちゃんが、痒くて痛くて毎日ずっと泣いている・・・というのは、考えただけでかわいそうですね。

この状態は、専門用語を使うと「乳児湿疹」と部位によっては「乳児脂漏性湿疹」であるということが言えます。

乳児脂漏性湿疹は、首から上の頭、頬や額など汗の出やすい場所にできるとされます。頭に丸いうろこのようなものができる赤ちゃんもい ますし、頭やおでこのあたりにフケのようなカサカサしたものができる赤ちゃんもいます。

いずれも「乳児脂漏性湿疹」の症状のひとつです。

赤ちゃんは、お腹の中にいたときに女性ホルモンの影響を受けています。そのため新生児期から3カ月くらいまでは皮脂の分泌が非常に活発で、皮脂の“脂が漏れて”湿疹になってしまうのです。

これは全く正常の反応ですが、ニキビと同じようにそれが出来やすい子とそうでない子がいるのです。

「乳児脂漏性湿疹」は、どんなに長くかかっても1年くらいで治るはずです。本人の皮膚のバリア、つまり抵抗力がしっかりできてくると症状が良くなってくるのです。それまではばい菌が侵入するのを防ぐため、お風呂に入れて肌を清潔に保ってあげることが一番で、症状がひどい場合は、赤ちゃんの頭や顔を洗ってあげる回数を増やすのも良いでしょう。そして洗ってあげた後の保湿をきちんとすること。

また、温度や湿度の調整も重要です。寒くて湿度が下がっても乾燥による痒みが出ますし、逆に温かすぎても体温が上がりすぎて痒くなります。温度は高くしすぎず、でも湿度は一定を保つ、こうした工夫をする必要があります。また、アトピー性皮膚炎が混在していたり、今はそうではなくても後々移行する可能性もありますから、注意が必要です。

普通の病院では非ステロイド系のアンダーム軟膏や、弱いステロイドが処方されることが一般的です。ただ発疹が出ている部位と発疹は出ていないが乾燥している部位を見極めることはとても重要で、発疹が出ている部位には処方された軟膏、発疹が出ずに乾燥しているだけの部位には、アキエスジェルのような保湿ジェルや保湿クリームを塗る・・・という風に塗り分けることが理想的です。特にステロイドを塗る場合には、発疹が出てる場所のみにすること。そして少量を擦り込むのではなく、ぽんぽんと置くように塗るのが効果的です。すこし厚めに置くとよいでしょう。

聞けば同じような症状が出ているお子さんは多いようですね。今は季節的にも厳しく、一番つらいときだと思いますが、早く良くなることを心より願っています。


米国レーザー学会の演題

4月にフロリダで行われる米国レーザー学会(ASLMS)の演題提出が9日に迫っていました。

ここ最近はその締め切りばかりが頭にあり、夜中ずっと作業をしていたのですが、なんとか今日やっと終わりました。ぎりぎりですね。

今年は三つも演題が通過したので、演題の組み方も大変でしたが、アメリカやシンガポールから、

「もし必要なら、最後に英語の文章のネイティブチェックをしてあげるよ」

なんていう心強い国際電話をもらったりして、とても嬉しく思いました。

持つべきものは友ですね。

今夜はやっとゆっくり眠れそうです。スーパーマリオ・ギャラクシーでも仕上げるかな(笑)。


アメリカン ギャングスター

映画好きなスタッフから薦められて、昨日診療の後映画「アメリカン ギャングスター」を観てきました。自宅でDVDも良いですが、大きなスクリーンで観客に混じって映画を観るというのは、気分転換になりますね。

この話は1960年代、NYの麻薬販売に関わった実在の人物の話です。

当時アメリカで蔓延していた麻薬はイタリア系マフィアの独占市場ともいえました。

ところが、ハーレムに住む一人の黒人が、このビジネスモデルを崩壊させるのです。デンゼル・ワシントン演じるフランク・ルーカスという男。なかなかビジネスがうまく知的です。

彼はNYのディスカウントショップで見つけたソニーやトウシバなどの輸入電化製品にヒントを得て、東南アジアから直接質の高い麻薬を買い付け、中間業者を抜くことを思いつきます。

当時はベトナム戦争の真っただ中でしたので兵士にも麻薬が遷延していました。輸入には、ベトナム戦争中の兵士の棺を入れて帰国する米軍機を利用して麻薬を隠し、大量輸入に成功します。

さらに彼は、流通コストの圧縮で手に入れた高品質で低価格の麻薬に「ブルーマジック」という名を付け、ブランド戦略をとるのです。ブルーマジックに混ぜ物をして純度を落とす販売人に、「質を落とすなら薬の名前を変えろ!」と怒るシーンも出てきます。

ルーカスは高い倫理観とリーダーシップを発揮して麻薬王になってゆくのですが、当時は、まさか黒人がNYの麻薬を仕切っているとは考えられない。なかなか捜査線上に浮かびません。

ラッセル・クロウ演じる麻薬取締官がデンゼル・ワシントンをどう追いつめるのか?ちょっと長い映画ですが、見ている時間、ずっと興奮してハラハラして楽しめますよ。


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