さて、美術館を巡っているうちに夜も更けてきました。
スカラ座に向かいます。
この日は「ジゼル」の初日。
以前バレエをやっていたのかな?
と思わせるスタイルと姿勢の良い女性がたくさんいましたよ。
初めて行く劇場は、中がどんななのか、とてもわくわくします。
赤い色が映えていますね。
舞台は統一されています。
スカラ座のエンブレムです。
イタリアっぽくて、なんともいえない雰囲気ですよね。
シャンデリアもしゃれています。
僕がこの歌劇場を気に入ったのは、照明が落ちるこの瞬間です。
一斉に照明が落ちるのではなくて、客席照明だけがしばらくの間残ってから余韻をもって消えてゆくのです。
バレエ「ジぜル」は「白鳥の湖」と同じぐらいの頻度で公演される最も有名なバレエの一つですよね。
ジゼルは突然村にやってきた高貴な雰囲気を持つロイスと恋仲になります。
ジゼルに想いを寄せる森番のヒラリオンは、ロイスが何か隠し事持っているのではないかと疑っていました。
ロイスの正体は貴族の青年アルブレヒトという人物。元々婚約者がいたのですが、ジゼルと恋に落ちてしまったのです。
狩の途中で村に立ち寄った貴族の一行の中に、偶然にも彼の婚約者がいたためこの秘密は二人の女性に露見します。
元々心臓の弱かったジゼルはショックのあまり正気を失いそのまま息を引き取ってしまいます。
ここで第一幕が落ちます。
さて、第二幕です。
この地方にはお嫁に行く前に亡くなった娘はウィリと呼ばれる精霊になるという言い伝えがあります。
ヒラリオンとアルブレヒトはジゼルを失った悲しみのあまり、ジゼルのお墓参りに行きますが、真夜中にヒラリオンはウィリ達に捕まり、踊らされ続けてついに死んでしまいます。
後悔に苛まれるアルブレヒトも同じようにウィリ達に捕まりますが、新参のウィリになったジゼルの懇願もあって踊る時間を引き延ばす事ができます。
アルブレヒトが夜通し踊り続けて、ついに力つき、ちょうど倒れたところで夜が明けます。
日の出とともに魔力を失うウィリ達が朝闇の中に去ってゆき、バレエは終わります。
初日でしたので、スタンディングオベーションもすごかったですよ。
もうひとつ、このスカラ座で感動したことが帰り道です。
スカラ座を出ると、空を見上げると満月でした。
スカラ座の目の前からヴィットーリオ・エマヌエーレ二世のガッレリアを歩いて帰ると、ドゥオーモに出るのですが、
これがまた高揚した心に、とても心地よいのです。
目の前に忽然と現れる夜のドゥオーモ
そして振り返るとガレッリアの正門が見えます。
満月と合わせて、思い出に残る写真が撮れましたよ。