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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

カテゴリー:医療

3年前 コロナ2019が流行し始めた時

3年前の今頃といえば、コロナ2019が流行し始めた時。

50歳の誕生日のために、両親も招待して新宿初台のオペラシティでやったラフマニノフのピアノ協奏曲第2番の指揮。

一年半前から企画して、集中してプロに指揮を1年間習いました。

本番1週間前のこの日、生まれて初めての本物のオーケストラの指揮の練習もしなければならない中、
ロシアでゲルギエフ指揮で演奏していた藤田真央くんと、
第一部での対談をお願いしたニューヨークにお住まいだった和央ようかさんの安全な帰国を待ち、
開催1週間前にたった19名の感染者情報に悩み、6kgも痩せて本番を迎えたのを思い出しました。

タイでもマスクをしていた人は殆どいませんでした。

3年間の長いトンネルでしたが、ウイルス弱体化によって、ようやく終わりを迎えそうですね。

https://takahirofujimoto.com/blog/blog/diary/post_26998/


皮膚浸透に関する常識

表皮から真皮へは分子量500ダルトン以下の物質しか通過しません。

これ医学の常識。

それって直径1.0‐1.3nm。よくある「ナノ化した粒子」って直径10‐60nm。

何が言いたいかわかりますね?

本当に色々な方々が営業に来ます。

中にはお医者さんも…。スイカが鼻の穴に通りますか?マスクでウイルスが防げると言ってるのと一緒。ザルに砂ですよね。

疑問に思ったら調べてほしいものです。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10839713/


仏門学校での勉強始めました

【神学、仏道について、今年は仏門学校で勉強始めました】

以前記事に書いたこともありますが、明治生まれの僕の祖父は身延山で日蓮宗の僧侶の資格をとり、門下の子供を教えているうちに、頭が良いので医師になれと言われ、旧制一校を経て医師になった人です。

ハンセン氏病の研究で九州大学で医学博士をもらい、戦中は沖縄のハンセン氏病施設に赴任されて院長をしており、この時の話は以前テレビでも取り上げられました。

https://youtu.be/v3CsUoGA1Zs

(写真は1945年当時の祖父で、沖縄県公文書館からお借りしています。)

その後、静岡県三島市に居を移し、朝4時に起きてお経をあげ、日中は医院で外来をする生活を続けていました。

僕が物心ついたときには医院は辞めていましたので、将棋やオセロをした記憶しかないのですが、ちょうど僕の大学受験期の昭和の終わりに亡くなったため、それまで外交官を目指して文系の勉強をしていた僕は、この日を境に医学部併願を考えるようになり、10月に願書を取り寄せることになるのですが、まあそれはまた別の機会に。

そんな僕も、あと数年で医師免許を取得してそろそろ30年目の節目を迎えます。最近になって祖父の考えをもう少し深く理解してみたいものだと思うようになりました。

医師になった僕が初期に選択したのは、麻酔救急の分野でした。

急性期医療はまず手を動かせなければなりません。

点滴やIVH挿入、挿管などやらなければならないことがある程度決まっていて、「救命のためにルーチン通りのその作業を素早くすること」が求められていました。

両親も高齢になり、様々な医療相談を受けるたびに、高齢者医療の難しさは、経験ばかりで補えるものではないのだなあと思うようになりました。日本の国民皆保険の保険診療ができたころと比較して、疾病構造が大きく変化していますし、病状も複雑化しています。

人間70歳を越えたら体のどこかに不調を持っているのが当たり前で、がん細胞ともいくつも共生しているものです。

さらに、自分の身体の不調に対するセンサーの感度も落ちています。もしもガンを外科医が見つけたら、相手がたとえ100歳でも健康状態が良ければ切りたくはなりますが、切らない選択肢が良い場合ももちろんある。

多くの病状を想定して、その人の生活習慣や社会的なバックグラウンドや本人と家族のインテリジェンスなどを考慮したうえで、より包括的な最適解を求めるアドバイスが必要になってくるのです。

そのアドバイスや最適解を求める際に、僕は今まで、主に応用科学の世界を扱う、いわば「実態のあるものを対象」とする形而下学に根拠を求めてきました。 物事を考える根拠として、医学(生物学)、工学(物理学)、薬学(化学)の、僕の取得した三つの博士号の分野の研究立証方法を利用すれば、最適解にたどり着けるものだと。

確かに50歳までに、それまで人生の目標としていた「医師としては国際学会100回招待講演」、「研究者として工学部の教授の職を得る」、「経営者としては株式上場に関わる」ことを達成するまでは、その方針で良かったのではないかと思います。

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しかしながら、今後、自分の思考根拠をサポートする上でどうしても必要だなと思うのは、神学、仏道などの「実体のない原理」を研究の対象とする形而上学なのですよね。

人間が生まれて20万年。意味がある文字をもって記録が残るようになってからは1万年余りと言われていますが、実際のところ、ほんの100年前までは、医学も栄養学も進歩しておらず、病気は祈って治している場合が多かった。

この分野を一度きちんと学ばないと、先にはいかせてもらえない。そんな気持ちになりました。

得度を目指して頑張ります。


医学と人体の複雑さ

僕が医学部にいっていた80年代から90年代は、細菌も、ホルモンも、解剖も、遺伝子も、心電図や脳波も発見され、目に見えるものに関しては、医学が万能感に満たされた、わかった気になっていた時代だったのではないかと思います。

解剖学上で機能がわかっていなかった虫垂や脾臓を、炎症や外傷が起こったので乱暴にとってしまったりしたわけです。

しかしながら、この30年で医学には飛躍的な発見や進歩が起こりました。

例えば、チンパンジーと97%も同一であるDNA遺伝子は、ごみの様な無駄な情報ばかりだと教科書にも書いてありましたが、今ではそのゴミだと思われた部位にたくさんの情報が書き込まれており、唾液からDNAを取得すると、あたかもモンタージュ写真に近いような顔写真が合成できるような時代になったのです。

脂肪細胞や筋肉細胞、さらには腎臓の細胞に至るまで、体内の多くの細胞が、気の遠くなるほどのメッセージ物質をやり取りしていることがわかってきましたし、60兆の体内の細胞に対して100兆もの腸内細菌が独自のネットワークで生体の感情までもコントロールしている可能性があることも明らかになりました。

つまり、人体は、人間が想定していたよりもはるかに複雑であったという事なのです。

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例えば、日本は、山中教授のiPS細胞のノーベル賞により、国策の一つにしようと思ったのでしょう。幹細胞系の治療に対する基準が他国に対してとても緩くなっているのです。

本来であれば実験検証レベルの事が、臨床利用されてしまっている現状があり、世界トップの科学雑誌から名指しで指摘されているような現状があります。

肌の再生の分野であれば、幹細胞系の治療を行うことで、若返りを期待できると、多くの施設がこの治療を推奨しています。

しかしながら、生物学の常識からすると、皮膚や神経組織などの外胚葉由来の細胞は、基本的に幹細胞が末梢に出ることはなく、再生しないもの。

万が一、角膜や網膜を怪我してしまったとして、この幹細胞点滴治療で視力が回復しますと言われ、その治療を信じられるでしょうか?

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やはり生物学に属する医学は100%正しい解法はなく、多くのケースを想定して総合点で高い解法を選択する学問。

多くの事象を予想できるかどうかは、医師であることは関係ない。全く予想を反した動きが出ることもあります。最新治療のエビデンスを取得するという事は、かくも難しく、複雑なことだなあと思うのです。

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人間を取り巻く環境はあまりにも複雑になり過ぎていると考え、「シンプルな人生を生きたい」と思う人は少なくありません。

しかし、シンプルになってしまうことは「老化の兆候である」と、ハーバード大学医学大学院で老化について研究するLewis A. Lipsitz氏が述べています。

Did Henry David Thoreau Know the Secret to Eternal Youth, Or Was He All Wrong?

http://nautil.us/…/the-real-secret-of-youth-is…

若々しさと健康は多くの点で「複雑性」と関連しているとLipsitz氏は主張しています。

例えば、骨の強度は結合組織の精巧な足場からなり、脳の働きは複雑なニューロンの網から構成されます。また、心臓の鼓動のように一見するとシンプルな身体機能でさえ、代謝や神経の伝達、遺伝子のスイッチ、概日リズムといった要素の相互作用からなっているとのこと。

Lipsitz氏は老化によって人体からはこれらの複雑さが失われてしまうと、老化や病気などにつながると述べています。

人体の複雑さを理解するには、「複雑」という言葉が科学的にどういう意味なのかを理解する必要があります。

複雑でないものの例として、Lipsitz氏はピタゴラ装置を例に挙げています。いくつもの仕掛けからなるピタゴラ装置は一見すると非常に複雑なものに見えますが、実際には特定の入力パターンに対して特定の出力を行うだけであり、科学的に考えると振る舞いが予測しやすく、複雑とはいえません。また、途中の1箇所を切断するだけで装置が機能しなくなるため、システムは脆弱であると。

一方で「科学的に複雑なプロセス」では、多くの機構が空間や時空において複数のスケールで相互作用します。相互作用は非線形なものであり、特定の入力が特定の出力につながるとはいえず、不安定で予測不能なものとなります。

たとえば、人間が足を上げるためには感覚器官が周囲の状況を把握し、神経が筋肉へシグナルを発します。このとき筋肉は足を動かすためにタンパク質を作り出し、エネルギーとなる糖が必要な場所へ送られるといった複雑な相互作用が発生することになります。このような人間の働きは科学的に複雑だと。

つまり、複雑さが、人間が人間たる所以であり、社会的なつながりも複雑であればあるほど、つまり広範で多様なネットワークを維持している人ほど健康と幸福が得られるという研究結果もあります。

畢竟、人間がより人間らしく若々しく生きるためには、体内体外共に、複雑性が必要なのです。

あと数年後の次世代の科学は、分析ツールとして量子コンピューターを手に入れることができるわけですし、AIもさらに発達するでしょうが、果たして神の造りし人体の複雑性に対応することができるのでしょうか?

科学者として楽しみです。

この写真は本文とは関係無いのですが、何を見ているでしょうか?


世界の富裕層が集まるスイスの滞在型健康施設

世界の富裕層が集まるスイスの滞在型健康施設。Clinique La Prairie。

https://takahirofujimoto.com/blog/blog/business-overseas/post_63270/

※2016年に訪れた時のブログです。

こうした企画を日本に作りたいと何度か相談受けていますが、実際の施設をみると、日本での運営はかなり難しいでしょうねえ。

保険診療に慣れている日本人は医療の情報や予防がタダで手の入ると思っている。

実際には我々医師は日々勉強してますよ。

最低でもネットサーフィンで診療最新情報を集めて、気になったものは英文論文を検索もしくは購入し、エビデンスを拾います。


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