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帝王切開

そういえば、紀子妃は帝王切開で出産しましたが、なぜお腹から胎児をだす手術を帝王切開と言うのかご存知ですか?

僕は医学部の学生のときに、その理由を聞きました。実は、昔のお医者さんのドイツ語医学用語の誤訳なのです。

日本語訳の「帝王切開」はドイツ語の「kaiserschnitt」の直訳です。これは、分解すると「kaiser=皇帝」と、「schnitt=手術」の訳語であるために、帝王切開と訳されたのです。しかし、「kaiser」という言葉には、「切る」と言う意味が含まれています。つまり、「kaiser」を本来の「切る」という意味ではなく、皇帝のカイザーと勘違いしたのが誤訳の原因らしいのです。

ちなみに通常医師は、帝王切開のことをカイザーと呼んでいます。カイザーにも緊急で行われるものと、予定で行われるものがあります。緊急のものは、早く胎児を出さなければならないので、おへその下の下腹部を縦に切開する場合が多いのです。一方で、今回の前置胎盤のような予定されたカイザーは、下腹部のずいぶん下の方を横にきるのです。だから出産後にビキニも着ることが可能です。

写真は皇帝ペンギンです。あんまり関係ないですけど…。可愛いですよね。


臍帯血輸血

親王が誕生しましたね。

親王の臍帯血が臍帯血バンクに登録されるということですが、臍帯血ってなんでしょうか?

臍帯血とは、胎盤と臍の緒に残った血液で、白血球、赤血球などに育っていく造血幹細胞が豊富に含まれています。赤ちゃんのへその緒や母親の胎盤にある血管中の血液には、通常の体内にある血液に比べると血液を造る能力を持つ、「造血幹細胞」という細胞が多く含まれています。

胎盤は少し前まで、医療廃棄物として処理されてましたが、現在はプラセンタとして滋養強壮・美容目的で再利用されるようになりました。

この臍帯血を患者に輸血するのが臍帯血移植です。通常、造血幹細胞の移植(骨髄移植)は、白血病の治療などに使われますが、将来的には、臓器の再生医療に使われる可能性があり、無限大のニーズがあります。

また、提供者の負担は骨髄移植とは比較にならないほど軽く、採取した臍帯血は冷凍保存が可能なので、必要な時に利用できます。臍帯血提供者が痛みを感じたり、経済的、時間的負担を強いられることはないのです。

血液の移植には、恋愛遺伝子の欄でも書いた、HLAという白血球の型の一致が重要ですが、臍帯血のリンパ球はまだ成熟していないので、「自己」と「他者」の区別を認識するシステムが出来上がっていないのです。ですから、移植した骨髄が、患者の細胞に対して拒絶反応を起こす移植片対宿主病(GVHD)が軽度で、骨髄移植に比べると、HLAが一部不一致でも移植可能なケースが多いのも利点です。

現在では、万が一、自分が血液病にかかったときに、自分の白血球のHLAに合致した臍帯血を確保しておき、冷凍してバンクに保存しておくといったビジネスも立ち上がっています。値段は保存料を含めて、一人当たり100万円前後ということですが、将来的には肝臓などの臓器再生医療にも使われる可能性もありますので、一部の富裕層には魅力的な話なのではないかと思います。こういったお問い合わせを実際に僕はクリニックでも受けたことがあります。僕に出来ることとしては、橋渡ししかないのですが…。いずれにしても、こうしたニーズは、この日本でも今後ますます高まって行くのでしょうね。


無痛分娩

今日はいよいよ秋篠宮紀子さまの出産日ですね。帝王切開による出産が医師としても気になります。今回のブログは最近日本でも増えた無痛分娩について書いてみましょう。

日本では無痛分娩を行うことがあまり推奨されていない風潮がありますが、実はアメリカやフランスではほとんどの出産が無通分娩になるといいます。

そういえば、世界で初めて無痛分娩を行った人物は誰だかご存知ですか? 実はジョン・スノウという医師が、AD 1853のビクトリア女王の出産にクロロホルムによる無痛分娩を行ったのが世界初の無痛分娩だと言われています。

無痛分娩は専門的に言うと、大きく三つに分類されます。

一つ目は、全身麻酔による分娩です。全身麻酔ですと、妊婦さんの出産の記憶が全く失われます。麻酔科医が必要であること、そして麻酔薬も胎児に移行するリスクがあることから、特殊なケース以外現在この全身麻酔による無痛分娩は適応されません。

二つ目は硬膜外麻酔による無痛分娩です。硬膜外麻酔は、脊柱のなかの硬膜という部位に、細いチューブを留置して、そこから局所麻酔薬を流し込み、子宮に関連する一定範囲の痛みをとるというものです。この麻酔は熟練した麻酔医が担当すると、非常に良い結果をもたらすのですが、少し麻酔薬が効きすぎると、痛みは取れても、運動神経が麻痺してしまうため、子宮の収縮力が落ちてしまい、出血が止まりにくくなるリスクはあります。

三つ目は陰部神経ブロックというものです。ドイツでは主流の無痛分娩法ですが、胎児の出口である会陰部の神経を支配している陰部神経を局所麻酔薬によって麻痺させる方法です。陰部神経は運動神経の支配もありますので、産道から会陰部の筋肉の弛緩作用もあり、分娩をスムーズにさせます。日本では一部の施設で行われています。

リスクから考えて、紀子さまはどの麻酔法を選択するでしょうか? 多分僕は第二の硬膜外麻酔法を選択すると思います。

無事の出産を祈っています。


汎アジア・フラクセル・レーザー・シンポジウム

今週の土曜日、9月9日に韓国ソウル・ロッテワールドホテルで行われるPan Asia Fraxel Laser Symposium に招待講演者として招かれています。このシンポジウムはフラクセルのリライアント社主催で行われますが、アジアでフラクセルの症例が多い医師が韓国、香港、台湾、タイなどから7人招待されており、僕は二人の日本人医師のうち、一人に選ばれました。大変名誉なことです。

韓国での招待講演は、今回で三度目です。発表は英語で行いますが、アジア人の英語というのは、聞き取りが難しいんですよ。発表は自分のペースで出来るので良いのですが、質問が聞き取れなくて困ったりすることが多々あります。といっても、きっと僕のジャパニーズイングリッシュも、さぞかし訛っているんだろうな。(笑)

今回は、フラクセルの、肌を入れ替えた症例、毛穴を目立たなくした症例、肝斑をほとんど治療した症例、そして肌のメンテナンスにフラクセルを使用したエクセレントな結果を出している症例を提示し、さらに患者さんが楽に施術できるように、痛みのケアにこだわった麻酔法について、発表したいと思っています。

金曜日に出国しますが。結果はまたご報告しますね。


ベンハーとスターウォーズ(ファントムメナス)

作品、監督、主演男優などアカデミー賞史上最多の11部門受賞を果たした名作『ベン・ハー』。
最近、CGの進歩により、実際の人間を使った撮影が減っているといいますが、数千人のエキストラを使ったこのような映画を見ると、映画を観た!!という満足感に浸ることが出来ます。久しぶりにベンハーを観ました。

主人公「ジュダ・ベン・ハー」の心の葛藤、イエス・キリストとの出会いによる人間的成長。当時、原作のベンハーは、聖書の次のベストセラーでした。巨匠ウィリアム・ワイラー監督は、ローマの休日も作りましたが、ベンハーはまさに代表作ですよね。

久しぶりに観ると、スターウォーズのファントムメナスと重ねてしまいますね。主役のジュダ・ベン・ハーもアナキン・スカイウォーカーも奴隷ですし、戦車シーンとポッドレースも重なりますし、卑怯な手を使ってレースを妨害するメッサラとセブルバもキャラクターが重なります。訳あって母と別れる後に、再会するところも似ているんですよね。

この物語の舞台となったローマはオクタビアヌスの治世の後、ネロなどの暴君の混乱を経て、AD96よりローマは五賢帝(ネルウァ、トラヤヌス、ハドリアヌス、アントニヌス、マルクス・アレリウス)の時代が続きます。この時代約100年もなぜ、ローマの平和と繁栄が続いたかご存知でしたか?

それは、皇帝が自分の子ではなく、優れた子弟を養子に迎え、帝位を譲ることで成立した治世だったからなのです。最後のアレリウス帝が歴代の賢帝の戒めを破り、不肖の息子コンモドゥスを帝位につけたところ、コンモドゥスはネロ以来の暴君となって、たった12年でローマは再び混乱に陥いりました。安倍さんは三世議員ですが、実力のほどは、どうなんでしょうかね??期待したいところです。

ところで、この時期広大な領土を持ったローマ帝国の末裔が住んでいる土地が東ヨーロッパにあります。どこだかご存知ですか?高校生のときに習ったのですが、答はルーマニア(ローマ人の国の意味)です。彼らはローマの血が流れているんですよ。

ちなみにルーマニアの隣のハンガリーという国は、マジャール人というアジア系の民族が主体です。他に北欧では、フィンランドがフィン人というアジア系の民族の国なのです。

そういえば、今年の2月のフィンランドのヨーロッパ皮膚科学会に参加したとき、フィンランドの国際的携帯電話会社であるNOKIAは、日本の会社だと思っていたと、旅行者によく言われると言っていました。確かに発音がアジア語っぽいですよね。


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