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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

BLOG|ブログ

2012年米国レーザー医学会の演題

こんにちは。

今日は10月12日。クリニックFの診療日です。

朝から医学雑誌に依頼された原稿の執筆や、来年の学会の抄録の作成などの作業に追われていて、まだブログがあげられないでいました。

毎年欠かさず参加している米国レーザー医学会。

来年はフロリダでの開催ですが、今年も演題抄録の締め切りが17日に迫ってきました。

今回僕が発表する演題は、以前よりある大学の薬学部と総合理工学部の研究室と共同実験をさせていただいている、レーザー照射後に皮下に発生するラジカルについての研究です。

このESR(Electron spin resonance)という機器を使用するとレーザー照射により皮下に発生した5種類のラジカルが定量測定できます。

フラクセル3DUALは、1927nmと1550nmのレーザー光を発生できますが、今回この2波長を肌に照射すると、それぞれに特徴のある異なるラジカルが発生することが分かったのです。

異なるレーザー波長により、皮下に発生するラジカル種の違いについて、過去発表された論文はありません。

今回の研究結果は、異なるレーザー波長が誘導する固有のラジカル種への、個別の対策により、レーザー処置時における痛みや副作用をより軽減できる可能性を示唆するもので、非常に興味深いものなのです。

ハーバード大学のウェルマン光医学研究所、ロックスアンダソン教授の指導の下、物理学と工学の発達で進化してきたレーザー機器も、リーマンショック後の不景気で研究開発費が出ず、進化が足踏みしている状態。

今後は皮下の反応を、化学的な分析で判断する時期に来ているのかもしれません。

興味深い発表になりそうですよ。

 


2011年レーザー治療機器総括その5 まぶたの周囲の施術

おはようございます。連休明けの10月11日。

今日もクリニックFの診療日です。

連休中に、ある企業からの依頼で急遽、来週ポルトガルのリスボンで開催されるヨーロッパ皮膚科学会(EADV)へ出席する予定が決定しました。

今回は日程的にもぎりぎりですが、20日に出発。24日の午前中の便で帰国。そのままクリニックで診療という日程で行くことになりました。

ポルトガルはまだ行ったことのない国ですが、やはりジェロニモス修道院はこの目で見ておきたい。

そして、オペラファンとしては、18世紀に建設されたサン・カルルシュ国立劇場 (Teatro Nacional de São Carlos)にももちろん是非とも行ってみたいですね。

学会会場の近くなのです。

さて、2011年レーザー治療器総括のブログをあと2つ。仕上げてしまいますね。

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2011年、施術の点での二つ目の進化は、眼瞼(まぶた)まわり、特に上まぶたのレーザーによる施術方法です。

特に昨年末ぐらいから、ヨーロッパ皮膚科学会誌(JEADV)や、米国皮膚科学会誌(JAAD)などで、まぶたの上のレーザー照射により、まぶたのたるみを改善する施術の論文が数多く出てきました。

通常の脱毛レーザーや、色素を取るレーザー機器は、メラニンに吸収される1200nm以下の波長を使うことが多いため、いわゆる黒目や、網膜のある目の上にレーザーを照射するのは非常に難しいことでした。

しかしながら、フラクショナルレーザーをはじめとした1400nm以上の波長のレーザー光や、RF(ラジオ波)は、メラニンに吸収される率が低いため、まぶたの上のレーザー照射が可能となってきたのです。

サーマクールアイや、フラクセルアイなど、特殊なコンタクトレンズを使用した、まぶたの上の施術が紹介されたのが、2006年ぐらいだったでしょうか…。

特にまぶたの上は肌がデリケートで、表皮も薄いため、レーザーの精度が高くなければ施術はしにくいのです。

僕の記憶では、初期にレーザーによる施術が発表された時には、いくらコンタクトゴーグルをするとは言え、レーザーの深達度が安定していないのに、ずいぶん野蛮なことをするものだという印象を受けたのを覚えています。

しかしながら、5年もすれば新しい施術も市民権を得て、多くの工夫もされてきます。

特にCO2フラクショナルレーザーを、上まぶたに使用した、イタリアDEKA社のスマートサイドドットを使用した「マドンナリフト」は、米国でも欧州でも注目の施術ですね。

目の周りだけはレーザー治療が苦手とした治療部位。

クリニックFでもマドンナリフトの施術を始めましたが、まぶたの弛みに加えて、目の下の細かいしわには、非常に強力なツールになりつつあります。

今後も適応が増えてゆくと思います。楽しみですね。


電子ブロックEX-150

小学生の時に学研の「科学」と「学習」という雑誌をとっていました。

雑誌の後ろにある広告で、最も欲しかったものがこれ。

電子ブロックEX-150です。ご存知ですか?

子供のおもちゃにしては高額だったので、数年に渡って親を説得して、二人の弟と共同のクリスマスプレゼントということでようやく買ってもらった記憶があります。

理科が大好きだった小学生の僕にとっては、宝物の一つでした。

このような電子部品の入ったブロックを説明図の通り組み合わせると、電子回路になって、ラジオやメトロノーム、金属探知機などになるのです。

この機器は、150の電子回路のブロック図が付属しています。

ここ数年この玩具の復刻版がでていたのは知っていたのですが、夜中にお酒を飲みながらネットをやっているときに、限定品ということに惹かれて、ついついポチッと注文ボタンを押してしまいました。

届いてみると、これは大人でも結構楽しめるのです。

小学生の当時は全く分からなかった回路図の意味も今では分かりますし、ブロックをくみ上げて、チェックをしてスイッチを入れラジオの音が鳴った時とか、童心に戻ってドキドキしますね。

僕が子供のころには150回路のものしかなかったのですが、現在は三原色のLEDを含めた拡張キットの光実験60回路が新たに加わっています。

この光拡張キットで、感動したのがこれ。

こんな円盤を取り付けて、モーターで回転させると、色が浮かび上がってくるのです。

見てください。赤橙黄緑青藍紫の虹の7色が

赤、青、黄の色の三原色の組み合わせで見事に出来上がるのがわかります。

写真だとうまく映らなかったのですが、同じように、赤、青、緑の発光ダイオード(LED)の光の三原色を使って発光時間を変え、好きな色を光で作る実験も出来ます。

ブロックと電子部品を組み合わせるという発想。

今考えても世界に誇れるすごい教材です。

誰でも遊べるブロックと、電子部品を結びつける玩具を思いついた人は、本当に天才ですね(笑)。

 


2011年レーザー治療器総括その4 ニキビ跡の治療法の進化

おはようございます。

今日10月7日はクリニックFの診療日です。

香港ブログ、博多ブログと続いてしまいましたが、書き始めていた2011年レーザー治療器総括のブログの続きを上げてゆこうと思います。

ちょっと時間が空いてしまいましたのでおさらいしますと、

2011年のレーザー光治療機器の分野では、3つの進化があったと思います。

●フラクショナルCO2レーザー機器の世代交代

●フラクショナルなRF機器や付随した新技術

●赤み(ヘモグロビン)に効果のある機器の世代交代

そして、施術の点では

●ニキビ跡の治療方法がほぼ完成/確立

●眼瞼(まぶた)まわり、特に上まぶたのレーザーによる施術方法の進化

●脂肪溶解のための、レーザー/冷凍凝固/RF施術方法の進化

・・・という点に論点がまとまりますので、その説明をさせていただきますね。

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特にここ数年

「ニキビ跡の治療法は、もはや完成した」

と発言する医師が増えてきました。

CO2フラクショナルレーザー機器や、よりダウンタイムが短く、より進化したフラクショナル機器の「フラクセル3DUAL」や「e-マトリックス」などの機器開発が、この発言の根拠となる機器として挙げられます。

CO2フラクショナルレーザー機器は、2007年以降、今までも数限りなく機種が発売されてきました。

以前のブログでも書いたのですが、萎縮性のニキビ跡の場合、治療をする以前にどのタイプのニキビ跡なのかを診察することが大切です。

ニキビ跡は、形態的に4種類(ヨーロッパでは3種類)に分類するのが一般的です。

それらは

①Rolling ローリング型

②Ice-pick アイスピック型

③Shallow box-car 浅いボックスカー型

④Deep box-car Type 深いボックスカー型

と、呼ばれています。

①ローリング型とは、丘のようにうねって平らな部位が少ないニキビ跡(Rolling scars are gently undulating, appearing like hills and valleys without sharp borders.)のことを指し

②アイスピック型とは、表面が広く深くなるに従って細くなる円錐状のニキビ跡(Ice-pick scars, also known as pitted scars, appear as round, deep depressions culminating in a pinpoint base; in cross-section, they are shaped like a “v”.)

③浅いボックスカー(箱形の車)型(Box-car scars have a flat, “u-shaped” base. Broader than ice-pick scars, they are round, polygonal, or linear at the skin surface)と、

④深いボックスカー型(Shallow box-car scars terminate in the shallow-to mid-dermis, and deep box-car scars penetrate to the reticular dermis.)

ヨーロピアン・アクネ・グループ(The European acne group (ECCA) )では、

◎ローリング型を「W-shaped」

◎アイスピック型を「V-Shaped 」

◎ボックスカー型を「U-shaped」

と分類しています。

クリニックFでも、これらの機器を実際に使用して、ニキビ跡の治療を続けてきました。

2011年現在では、アジア人を対象とした場合、上記のどのタイプのニキビ跡治療でも、

「フラクセル3」

がファーストチョイスになりますね。

強いCO2フラクショナルレーザー機器を最初から使用してしまうと、ダメージが多すぎて、その後の治療に結びつきにくい場合があります。

フラクセル3で数回治療したうえで、残存した深いニキビ跡には、フラクショナルRF機器であるe-matrixやイントラセル、フラクショナルCO2レーザー機器を照射するのがよいと思います。

そしてもう一つの論点は、治療時におけるパワー設定です。

一見すると、パワーが高い方がレーザーの治療効果があるように思われる方が多いと思いますが、フラクショナルレーザー機器の場合は、パワーよりも照射密度のほうが大きな影響を与えるパラメータになります。

一般的なフラクショナル機器の場合、パワーを上げると深い部位までエネルギーが入ることになりますが、その分、レーザー光の周りに熱だまりができますので、火傷を防ぐため、機器によっては密度が自動調整されて照射している場合もあるのです。

たとえば上図の場合、右と比較して左の図は、10倍のパワーで照射された時のモデル図です。

しかしながら、上部の大きさのシミ(時によってニキビ跡)への実際の治療効率は、パワーが低いほうが照射密度が高くなり、治療効果が高かったりするのです。

機械の工学的特性を知った上で、さらにパラメータの設定には診断の経験が必要であり、この診断のフラクショナルレーザーの治療の難しさでもあり、楽しさでもあるのです。


日本美容外科学会ブースで見つけた面白いもの

おはようございます。10月5日今日もクリニックFの開院日です。

昨日の快晴に対して今日は雨。

しかも寒くなって来ましたね。

さて、先週訪れた博多の美容外科学会。これが最後のブログです。

明日からは2011年レーザー機器総括の続きをご報告しますね。

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今回、展示企業のブースにあまりいけなかったのですが、その中でも興味深かったのがこれ。

名古屋のSantecという会社の作った機器です。

何だと思いますか?

これは以前のブログにも書いた覚えがあるのですが、レーザー光を使用して超音波エコーやCTスキャンの様に、継時的に観察することができるOCT(Optical Coherence Tomography) という技術を、皮下に応用した診断機器です。

1300nm前後のレーザー光を利用したもので、僕の手をスキャンしていますが痛みも何もありません。

驚くべきはこの解像度で、皮膚の汗腺の観察ができるほど優れています。

臨床利用可能なレベルとしては、この機器ですと5ミクロンぐらいではないでしょうか?

1300nmの光を利用する方式ですと、二点を判別する分離能力はおそらく0.5ミクロン(500ナノ)メーターぐらいが限界だと思います。

面白いので、CO2フラクショナルレーザーを照射して直後、この機器を使ってみました。

照射して蒸散された表皮が見られます。

蒸散された皮膚が空胞化しているので、その下の部位がシャドウになっています。

照射径の測定値は理論通りでしたよ。

これをCTと同じ技術で三次元化するとこのようになります。

色素斑やがん細胞など、正常細胞と違った組織の深達度が見えるようになると格段に便利になりますが、現状の状態でもフラクショナルレーザーが、皮下深い部位まで均一に照射されていることがわかります。

治療機器の世界では、こうしたより高度な診断装置が開発されると、機器開発も同時に進化します。

以前、レーザー治療をより一段進めるのは、レーザーによる診断能力を治療機器に組み合わせた場合であろうと、このブログでも書いたことがあるのですが、こうしたことがより身近になりそうですね。

表皮のメラニンへのレーザー照射直後の肌の経時的変化など、より高いレヴェルの診断が、この機器で可能になるといいですよね。

今後の機器開発が、楽しみです。


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