新国際学会周遊記 性ホルモンから見る昭和・平成・令和
──人間の内なるリズムと社会のかたち
社会の空気や人々の価値観は、経済や政治の出来事によって変化すると考えられがちです。しかし、その深層には「ホルモン」という生物学的なリズムが流れているのかもしれません。
とりわけ性ホルモン──男性ホルモン(テストステロン)や女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)は、個人の行動を超えて、社会の方向性そのものを左右しているのです。
ここでは、昭和から平成、令和へと移り変わる日本社会を「性ホルモン史観」で読み解きながら、私たちがどう生きるべきかを考えてみたいと思います。

◆昭和:テストステロン優位の拡張期
戦後復興から高度経済成長へ──昭和はまさにテストステロンの時代でした。
競争、拡張、スピード、そして「俺についてこい」という強いリーダーシップ。
テストステロンは攻撃性や競争心を高める一方で、公平感覚をも育むことが知られています。そのため、社会全体は熾烈な競争を繰り広げつつも、秩序や公正を重んじる方向にまとまり、経済的な奇跡を成し遂げたのです。
◆平成:ストレス社会とホルモン低下
バブル崩壊以降の平成は、長引く経済停滞と社会不安により、慢性的なストレスが人々を覆いました。
ストレスホルモンであるコルチゾールの慢性的上昇は、テストステロンやエストロゲンを抑制し、人々は「元気」と「優しさ」を失いやすくなった。過労死やうつ病といった社会問題は、このホルモン環境の崩れを背景に見ると理解しやすいのです。
◆令和:エストロゲンとオキシトシンの時代へ
超高齢社会に入った令和は、力強い拡張よりも「共感」と「ケア」が求められる時代です。
女性ホルモンやオキシトシンは「つながり」「持続可能性」を象徴します。研究でも、エストロゲンが感情認知や共感性に影響することが示されています。介護や子育て支援、地域コミュニティの再生といった政策課題は、まさにこのホルモン特性と呼応しているといえるでしょう。
〇性ホルモンが社会に与える影響
1. 男性ホルモンと公平感覚
競争心や性エネルギーを生み出す一方で、公平さや弱者への優しさをも育む。
2. 女性ホルモンと共感性
妊娠や育児だけでなく、共感や感情的な調和を支える。
3. ホルモンと社会設計
テストステロン優位の時代は拡張と競争へ、エストロゲン優位の時代は共感と持続性へ。社会の方向性そのものが、ホルモンの影響を受けている。
4. 現代へのヒント
ストレスによるホルモン低下は優しさを奪う。だからこそ、食事・運動・人間関係・休養といった生活習慣は、個人の健康だけでなく、社会全体の空気を変える基盤になる。
結びに──ホルモンが時代を作る
昭和はテストステロン、平成はストレスによるホルモン低下、令和はエストロゲンとオキシトシン。
この流れで時代を眺めると、政治や経済の出来事は単なる外的要因ではなく、私たちの体内リズムの反映として浮かび上がります。
性ホルモンは、個人の行動を超えて社会を形づくる無形の力。
個人の中のエネルギーが社会に波及し、社会の空気がまた個人に影響を返す。
その循環の中に、「死ぬまで元気に生きる」ためのヒントがあるのではないでしょうか。
