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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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傷の残りにくい、新しい創傷治療

そういえば、創傷治療について書こうと思っていたのを思い出しました。

最近、出来た傷は消毒せずに、ラップのようなものでカバーをして治したほうが傷口が綺麗になるという考えが出てきました。夏井 睦先生という人が提唱を始め、数冊本が出ているのです。

今までは「傷の治療は、毎日消毒をしてガーゼを当てる。」「消毒の時しみるのは、細菌が死んでいるから。」「傷は乾かせばよい。」などを、古くからの伝承文化のごとく、多くの医療従事者が盲目的に従ってきました。先輩の医者からそのように言われていますし、子供の時からそうやっている。今更その常識を、辞めようなんて、出来ないですよね。

消毒剤は、確かに、細菌を殺すという作用があります。しかし、考えてみれば、一旦消毒しても、皮下より湧き出す皮膚常在菌によってあっという間に汚染されます。それどころか、皮膚の上皮化をつかさどるケミカルメディエーターを一緒に殺し、組織も破壊してしまいます。功罪のうち、罪の部分もあったのです。

夏井先生の本を初めて読んだときには、新しい治療法に挑戦したその勇気に頭が下がりました。毎日消毒で痛い思いをしなくて良いし、患者さんの負担も楽。これこそ新しい医療です。

結局、傷が出来たら、48時間以内であれば、汚れを(放置すると外傷性の入れ墨になってしまいます。これはレーザーで治療できますが…。)水道水で洗い流し、ハイドロコイドなどの湿潤物質を上から乗せて、放置したほうが傷が綺麗に治るのです。消毒剤や減菌水ではなくて、普通の水道水でいいのです。

数年前に、顔に大きな擦り傷を作ってしまった女の子を診たことがあって、この治療法をおっかなびっくりやってみたのですが、結果はまさにグレイトジョブ!!。それから傷の治療には、この方法を利用するようになりました。毎日のガーゼの交換は痛いですし、傷を作り直しているようなもの。顔にそんなことをやったら色素沈着が起こりますよ。

実は数週間前、クリニックのスタッフが目の前の坂で転倒して、左の膝を大きく切ってしまったのです。膝なら傷が残ってしまうのはかわいそう。

縫うまでも無かったので、この湿潤治療法を採用することにして、早速実践に移したのですが、ガーゼはしない。消毒はしない。本当にこれで治るんですか?と散々詰め寄られ、最初は信じてもらえなくて、困りました。

でも、今は感謝してくれているようで…。

医師としての信頼が失墜しなくて良かったです(笑)。


ハーバード・コントロバーシー

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レーザーの国際学会に参加するため、サンディエゴに来ています。
Controversies & Conversations in Laser and Cosmetic Surgery通称ハーバード・コントロバーシーという学会なのですが、この学会は世界で多くあるレーザー学会の中では異色の存在です。

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通常の学会であれば、レーザー開発企業が援助し、大掛かりな発表会を兼ねるのですが、コントロバーシーで会話に入るのは、MD(医師)もしくはPHD(博士号を持つ他分野の研究者)のみで、純粋な臨床のみの検討が行われるのです。

つまり、いつもは企業の招待で、企業寄りの発表をする先生方の、いわば本音を聞ける貴重な学会なのです。

この学会では、通常は商品名を使用しません。たとえば、サーマクールはモノポーラーRF、オーロラはIPL+バイポーラRFもしくはELOS、フラクセルはFractional Reserfacing Divice となります。

今年は、フラクセルの後継機種がいくつか販売されましたので、そのあたりの本音の評価が聞けるのではと思っています。(笑)

写真はホテルからの風景です。


心筋梗塞はなぜ朝方に起こるのか?

心筋梗塞は寒いときの朝4-5時に起こりやすいといわれていますが、なぜだか、知っていますか?

これは体内の優位神経が副交感神経から、交感神経にバトンタッチされる時間とほぼ同じなのです。交感神経の影響で、急激に心臓冠血管がしまるので心筋梗塞や狭心症が起こるのです。

数日前に、自律神経のブログをかきましたが、
[関連した日記LOG]
人間の体のメカニズムは本当に複雑でよく出来ています。
病気というのは、その間隙を突いて、おこるのです。


どうしたら勉強ができるようになるのか?

医療分野以外での質問リストの最も上位に来るのが医者を長年やっていると、プライベートで、いろいろな質問をされます。

「どうやったら勉強が出来るようになるのか?」、そして「記憶力が上がるのか?」ということなのです。

もちろん、答えはあります。そして簡単なことです。

それは覚えるたびに”感動する”ことなのです。

脳が感動すると、短期記憶をつかさどる扁桃体を始めとした脳の大脳基底殻が活性化します。活性化すればするほど、脳の中で新しいニューロンができますので、より固定化した記憶に残ってゆくわけです。

脳は本当に複雑です。先月ぐらいから茂木 健一郎氏の著作にはまって、ようやく全冊(たぶん?)読破したのですが、写真の本は、お勧めです。1997年代に発行された彼の著作の中ではちょっと古い本ですが、脳という物理的世界に、なぜ心という精神世界が宿るのか?この難題をクオリア(質感)という概念を理解することで、答えを提示しようとしています。

医者が脳の本を書こうとすると、どうしても解剖学の知識に頼りがちなのですが、他の分野のサイエンティストの話を読むと、視点が変わって本当に新鮮です。


不眠症の秘密

子供のとき、”こども電話相談室”というラジオを好きで聞いていました。皆さん覚えていますか?

実はこの番組、いまでもNHKのラジオで”こども科学電話相談”という番組として残っているのだそうです。

昨日だったか、たまたま、それを聞いていた友人が、”眠くなるとき、足が温かくなるのはどうしてですか?”という質問があったと話してくれました。

子供の視点は的確です。実はこれは人間が眠るためにはとても重要な現象で、自律神経、つまり交感神経と副交感神経が深くかかわっているのです。

もう10年近く前ですが、僕が都立病院の勤務医だったときに、その横の研究所で自律神経の研究をしていたときがあり、英文論文 J Auton Nerv Syst. 1999 Feb 15;75(2-3):109-15. も書きました。痛みと密接な関係のある自律神経の分野は得意だったのです。

人間の臓器には交感神経という戦うための神経と、副交感神経というリラックスするための二つの神経支配を受けています。

交感神経が亢進すると、瞳孔や血管が縮み、脈拍や血圧が上がります。副腎からはストレスホルモン(コルチゾール)が出ます。この状態が続くと血球像では白血球が優位に立つため、癌を含む、炎症性の疾患の発症が多くなります。

反対に副交感神経が亢進すると、リラックスして手足などの末梢の血管が開くので手足が暖かくなります。脈も緩やかになり、眠ることができるのです。リラックスにかかわる神経ですので、ストレスも解消されます。ですが、この状態が続くと、血球像ではリンパ球優位になり、アレルギーや花粉症などが増えるといわれています。

 

電気のない時代は、夜暗くなると自然と副交感神経が活発化し、眠りについたものですが、24時間のコンビニや、テレビがある現代社会では、この交感神経(ON)と副交感神経(OFF)の切り替えが苦手な人が出てきているのです。不眠症が増えたのはこういったわけです。

実は副交感神経を優位にする薬はありません。しょうがないのでアルコールや、睡眠薬、鎮静剤などのトランキライザーを使って夜眠る人が多いですよね。西洋医学的なアプローチだと、薬で自律神経を抑える方法しかないわけです。

ではストレスが強い場合、何をするのか。僕はアロマセラピー等の自然療法を利用しています。ぐっすりと眠れますよ。


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