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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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アムステルダム コンセルトヘボウ

ネットの状況があまり良くなくて、ブログをアップできませんでしたが、ヨーロッパ皮膚科学会(EADV)の開催されたスウェーデンのイェーテボリからアムステルダムに移動してきました。

昨晩は、クラシックファンなら誰でも憧れる音楽の殿堂、アムステルダム•コンセルトヘボウの演奏会に行ってきました。

アムステルダム滞在中に唯一時間の合った演奏会は、既に世界的ピアニストとして高い評価を得ている内田光子(というかMitsuko Uchida)さんのピアノ独奏でした。

ベートーヴェンのピアノソナタ27番と14番「月光」
そしてシューマンのダヴィット同盟舞曲集op.6

こうした世界的なホールで日本人の演奏を聴けるなんて、同じ日本人としてとても嬉しく思いましたよ。

聴衆は皆スタンディングオベーションで応え、アンコールはバッハとモーツァルトでした。

今日はもう帰国になります。夕方便なので、これからデンハーグとデルフトに行って、僕の好きな画家のフェルメールの絵を見てこようと思います。

また帰国してから写真とともにアップしますね。


行ってきます

今日からスウェーデンに出張です。

今回はオランダ・アムステルダム経由になります。

出国前は、書籍の最終校正で夜を徹しての作業となり、診療と相まってばたばたしてしまいました。

11月の初旬に無事発行の予定ですので、装丁含め出来上がったらこちらでご報告しますね。

クリニックの方は、僕の出張に伴い11日まで休診となります。12日はご予約のみの受付、診療再開は15日からとなります。

ご迷惑おかけして申し訳ありませんが、どうぞ宜しくお願いいたします。

現地での情報はネットの状況次第で出来る限りアップしていきます。

では、行ってきます!


祝 ノーベル化学賞の日本人受賞

今日は朝から何やら忙しく、ブログを書く時間が全くありませんでした。

クリニックFの休診日は木曜日と日曜日なのですが、明日の木曜日を臨時開院して、明後日からスウェーデンのイェーテボリで開催されるヨーロッパ皮膚科学会(EADV)に参加します。

今、同じスウェーデンのストックホルムでは、今年のノーベル賞受賞者が続々と発表されていますね。

先ほど、鈴木章・北海道大名誉教授、根岸英一・米パデュー大特別教授のお二人が受賞されることになって、今年の日本の科学会きっての明るいニュースになりました。

医学の分野での興味の対象は、やはり生理学医学賞になります。今年は体外受精の技術を確立したRobert G Edwards博士になりましたね。

再生医療のiPS細胞(万能細胞)の技術を世界で初めて樹立した京都大学の山中伸弥教授も有力候補と言われていたのです。

しかし、最近のノーベル賞は画期的な発表よりも、発表から20年ぐらい経過して、社会的価値が確定したものが受賞する可能性が高いのだそうです。受賞はもう少し先になるのでしょうか。

ちなみに、ノーベル医学生理学賞を決定している組織は、スウェーデンのストックホルムにあるカロリンスカ研究所という、世界最大の医科単科の大学研究所の中にあります。

今回スウェーデンでのヨーロッパ皮膚科学会開催ということで、是非とも訪問したかった先の1つなのですが、なぜか学会はストックホルムではなくて、スウェーデン第二の都市イェーテボリでの開催になりました。

考えてみれば、ちょうど10月のノーベル賞の発表もあり、ストックホルムでの開催は外されたのでしょう。世紀の研究者の祭典がどんな雰囲気なのか、この目で見てみたかった気もしますね。


痛みが見える最新診断機器

このブログで何度か書いていますが、僕は痛みの治療に興味があって、研修の初期に痛みの専門家である麻酔科を選択しました。

6年間で専門医を取得したのちに、レーザー皮膚科に転科して、10年間がたちました。

現在も日本ペインクリニック学会認定医の資格を持っていますが、初期に麻酔科を選択して良かったと思うのは、痛みに関する知識の深さだとおもいます。

痛みという概念と知識を、研究題目として個別に深く掘り下げることは、麻酔科以外の選択ではできなかったと思いますので、この知識は僕の財産の1つですね。

僕が所属している日本ペインクリニック学会からは定期的に学会誌が送られてきます。この雑誌は1995年に僕が最初に書いた医学論文が(1996年掲載)掲載された医学雑誌でもあります。

当時、病名の再編成が行われた「CRPS(複合性局所性疼痛症候群)」という病気の日本での第1報の報告をしたのです。

僕の指導教官の着眼点がとてもよかったのですよね。

今回送られてきた号の総説に「痛みの機能的画像診断」の最新知見の話が載っていて、とても興味深く読みました。

不快な感覚・情動を伴う主観的体験である痛みは人によってとらえ方が違うので、客観的に評価することは非常に難しく、これが痛みの治療を複雑・困難にしてきた原因の一つでもあります。

しかしながら近年、

ポジトロン放出断層撮影(PET)

機能的核磁気共鳴画像(fMRI)

核磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)

などの画像医学の進歩によって、痛みを感じる際に脳内のどの部位が活性化されるのか、さまざまな知見が明らかになって、痛みを客観的に評価できるようになってきたのです。

さらに、上記の機能的画像診断法に加えて、脳内の形態を立体的に診断する3D-MRIを応用した

voxel-based morphometry (VBM)

などによって、脳内組織の容積を直接測定し、慢性痛などの患者の場合、どのような脳内変化があるのかを調べられるようになりました。

これら脳の機能的、形態的画像診断法は、痛みに対する画期的な客観的判断材料になります。現在は高額医療検査だと思いますが、徐々にコストが落ちてくれば、治療の選択肢も広がるのではないかと、とても期待しています。

ところで、脳の動きが客観的に診断できるようになったことで、興味深い事がわかってきました。

それは、「心の痛み」や、「他者の痛み」を感じると、実際に肉体的な痛みを感じた場合と同じような変化が大脳辺縁系(旧脳)で起こるのです。

サイエンス誌(2003年)にも掲載されていますが、仲間はずれやいじめなどの「社会的な疎外(Social exclusion)」を受けている時には、身体的な痛みと同様な脳領域が活性化されるのです。

これは痛みが「感覚」ではなく、恐怖、嫌悪、怒りなどと同じようなネガティブな「感情」でもあるのだということを表しています。

「心の痛み」が実際の痛みに近い感覚があるのは経験的にわかっていたつもりですが、これが脳機能画像診断機器で証明されるなんて、興味深くありませんか?

今回執筆している本では、こんな話題についても触れています。


旧脳に作用する音楽とアロマセラピー②

前回のブログで、

「クリニックFは、痛くないレーザー治療を実践するために様々な工夫を凝らしている」

といったようなことを書きました。

そして、その工夫のひとつがこだわりのBGMであり、もうひとつがアロマセラピーの採用である、と。

「クリニックFでアロマセラピーを採用している理由は、スパ的なリラクゼーション効果を求めてではなく、アロマセラピー・・・香り/匂いが旧脳に及ぼす痛みへの作用を考慮してのことである」

とも書きました。

このあたりについて詳しく今日は書いていきたいと思いますが、まずそもそも「痛み」とは何か、ということをクリアにしていきましょう。

世界疼痛学会(IASP)で決定された、「痛みの定義」という ものがあります。それによると

「「痛み」とは、実質的、または潜在的な組織損傷に結びつく、あるいはそのような経験から表現される不快な感覚、または情動経験をいう。」

と定義されています。

「情動経験」・・・日常生活でなかなか聞きなれない言葉ですが、“情動”とは短時間で強く作用する脳とホルモンや免疫系、生体物質における興奮状態としての「生理反応」であり、わかりやすく定義すると「感情の動き」ということになります。

つまり、痛みとは「感覚」であると同時に、それに伴う「感情の動き」でもある、ということなのです。

この「情動」の部分に、音楽と香りが深く関わってきます。

感情の動き=「情動」を司っているのは、大脳辺縁系を中心とした旧脳です。

医学的に説明すると、人が外界を認識する感覚機能――いわゆる人間の「五感」――は①視覚・②聴覚・③嗅覚・④触覚・⑤味覚ですが

このうち①視覚、④触覚、⑤味覚は脳の「大脳皮質の連合野」と呼ばれる場所で、過去の記憶を含めた情報が補われることによって脚色・肉付けがなされ、初めて情報消化される感覚です。

一方で②聴覚と③嗅覚からの感覚は、情動を司る大脳辺縁系に直接刺激を与えます。

喜びや悲しみ、恐怖や感動などに対して、より強い影響を与えるのです。

日常の中で触れる音や匂いには様々なものがありますが、脳に心地よい音をリズムやハーモニーにしてつなぎ合わせ、旋律(メロディ)となったひとつの音楽として「音を楽
し」んだり、草花や樹木の香り、磯の匂い、懐かしい母親の味・・・など、深い呼吸と共に「香りを楽しむ」と、脳内の複雑な神経ネットワークに、さらに大きな刺激が与えられます。

この大きな刺激が、痛みの刺激を上回った場合。

つまり耳に入るリズムや旋律、鼻腔を刺激する香りにすっかり心奪われた場合。

痛みがその瞬間消えることがあるのです。

専門的な言葉で言うと、音楽や香りの刺激が痛みの刺激を上回って、痛みを「マスク(覆う)」してしまうのです。

音楽の旋律による聴覚刺激や、香りの刺激による嗅覚刺激に脳が集中したことで、痛みを含めた音楽以外の情報刺激に対して、脳が感じづらくなるというわけです。

クリニックFで痛みを緩和する目的で、音楽やアロマセラピーにこだわっている理由がお分かりになっていただけましたでしょうか?

エレベーターが開き、クリニックFの扉を開いた瞬間から、痛みを感じづらくなる仕組みと工夫が随所に施されているのです。


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