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この30年 レーザーをはじめとしたエネルギーベース医療機器の12の新たな技術

僕が医師になってから30年です。

この期間は、レーザーをはじめとしたエネルギーベースの医療機器が開発され、それぞれ医療応用された時期がすっぽりと重なります。

思えば、12の新たな技術が登場したなあと思い、まとめてみました。

新しい技術が以前の施術に比べてすべてが優れているわけではないので、あとは料理の道具のように、いかにうまく使い分けをしてゆくかにかかっているのでしょうね。

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Laser(レーザー) – 1990年代
レーザー美容医療の本格的普及は1990年代に入ってから。アレキサンドライトレーザーやNd:YAGレーザーなどが脱毛や色素病変治療に広がり、以降さまざまな波長・パルス幅を使った技術が発展。

IPL(Intense Pulsed Light) – 1995年頃~
連続波長のパルス光を利用し、シミ・そばかす・赤ら顔などを幅広く治療できるフォトフェイシャルが1990年代後半に登場。1995年前後から本格的に普及し、2000年代初頭にかけて急速に広まった。

エレクトロポレーション(電気穿孔法) – 2000年代前半~
遺伝子工学の技術を皮膚への美容成分導入に応用。高電圧パルスで細胞膜に一時的な孔を開け、大分子・高分子成分を肌深部へ届ける方法が2000年代前半ごろから美容分野でも利用開始。

RF/MF(ラジオ波・マイクロ波) – 2002年頃~
高周波(RF)による皮膚タイトニング治療として、サーマクール(Thermage)が2002年に登場。以降、マイクロ波技術(miraDryなど)も加わり、リフトアップや多汗症治療など適応が拡大。

フラクショナルレーザー – 2004年~
皮膚に微小なドット状の熱損傷(MTZ)を点在的に作り出す概念が2004年に提唱され、フラクセルなどの商品名で世界的に普及。ニキビ跡やしわ、スキンリジュビネーションに大きく貢献。

クライオ(氷結療法) – 2007年~
皮下脂肪を冷却しアポトーシスを誘導するクライオリポライシス技術が2007年頃に研究され、2009~2010年にCoolSculpting(クールスカルプティング)がFDA承認を取得。切らずに脂肪を減らす革命的技術として普及。

HIFU(高密度焦点式超音波) – 2009年頃~
超音波を一点に集中させて熱凝固点を形成し、リフトアップを行う技術。ウルセラ(Ulthera)が2009年にFDA承認を取得し、2010年代にかけて「切らないフェイスリフト」の代表的治療となる。

低温常圧プラズマ – 2010年代初頭~
大気圧下で40℃以下のプラズマを生成する技術が2010年代に台頭。殺菌効果や創傷治癒促進、新規スキンリジュベネーション法として期待され、多くの基礎・臨床研究が進行中。

高周波プラズマ – 2010年代後半~
ヘリウムプラズマなどを高周波(RF)エネルギーで高温化し、皮下組織を強力に収縮・再構築する技術が2016年前後から登場(例:Renuvion)。非外科的リフトアップ手法の新潮流として注目。

HIFEM(高密度電磁場) – 2018年~
強力な電磁波で筋肉を“超最大収縮”させ、筋肥大と脂肪減少を同時に狙うボディコンツァリング技術(Emsculptなど)が2018年頃から米国で普及。腹筋やヒップの引き締めを中心に世界的に広がる。

SUPERB(超音波平行ビーム技術) – 2019年~
ソフウェーブ(Sofwave)などが代表的。複数の超音波ビームを平行に発生させ、広範囲の真皮層を同時に加熱できる新技術。HIFUに比べて痛みが少なく、リフト効果も安定していると報告。

HIFES(高密度電気刺激) – 2022年~
高出力電気刺激を用い、表情筋を選択的に収縮させる技術(例:Emface)が2022年頃から臨床導入。筋肉を介した皮膚のリフトアップ・たるみ改善を狙ったアプローチとして台頭中。

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参考

レーザー:1990年代以降にアレキサンドライトレーザーやNd:YAGレーザーが美容領域で登場し、脱毛や色素病変治療を中心に普及。
IPL:1995年前後からフォトフェイシャルとして世界的に普及し、2000年代までに定番技術に。
エレクトロポレーション:2000年代前半、遺伝子工学の手法を美容界に応用。
RF/MF:2002年頃にサーマクール(Thermage)がリフトアップ治療の先駆けとしてFDA承認。マイクロ波もmiraDryなど多汗症治療で普及。
フラクショナルレーザー:2004年、Fractional Photothermolysis理論の発表後、フラクセルなどが大ヒット。
クライオリポライシス:2007年頃に研究報告がなされ、2009~2010年にCoolSculptingが登場。
HIFU:2009年にUltheraが初承認取得後、2010年代にフェイスリフト革命として広がる。
低温常圧プラズマ:2010年代初頭、大気圧下でのプラズマ生成技術が基礎研究から臨床研究へ移行。
高周波プラズマ:2010年代後半にRenuvionなどが登場し、切らずに皮下組織を収縮させる新技術として注目。
HIFEM:2018年にEmsculptがFDA承認。筋肉増強と脂肪減少を同時に行う新ジャンルとして世界的に普及。
SUPERB:2019年にSofwaveが発表され、痛みが少ない超音波リフトとして評価。
HIFES:2022年頃からEmfaceなどが導入され、表情筋を電気刺激で収縮させる革新的アプローチとして台頭。
なお、正確な年号は国や文献ごとに多少前後する場合がありますが、ここでは国際的な普及・導入時期の目安として示しています。


爆寝パジャマ

時差ボケが治らず、眠れないと言っていたら、スタッフ皆がバレンタインのプレゼントと兼ねて爆寝パジャマというのをくれました。

ちょっと調べてみたところ、こうした機能を持った繊維を使った商品は数多く出いました。

「スポーツ・アスリート向け」「アウトドア・耐候性」「日常生活の快適性・リラックス」の三大カテゴリーに分類して、機能性繊維が身体に与える影響について、エビデンスも含めて15000文字の医学論文調にまとめてみました。

機能性繊維の医学的な論文が欲しい企業の方がいらっしゃったら、ご協力しますので、ご連絡くださいね。

以下は、GPTo1を使って2000文字に要約させたものです。

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機能性繊維は大きく分けると、「スポーツ・アスリート向け」「アウトドア・耐候性」「日常生活の快適性・リラックス」の三本柱があるといえます。

それぞれ求める効果が異なるため、選び方を間違えると「想像と違った」という結果になりがち。

今回は、それぞれの概要と代表的な製品の特徴をサクッと整理してみましょう。

1. スポーツ・アスリート向け
運動パフォーマンスを高めたり、疲労を軽減する目的で開発されるウェア群です。

コンプレッション効果
適度な圧力で血流を促進し、筋肉のブレを抑えてフォームを安定させます。
(Sports Medicine, 2019, p.124)

吸湿速乾性
汗をすぐに拡散して蒸発熱を利用することで、肌のべたつきを抑え、暑熱環境下での快適性も確保。
(Textile Research Journal, 2020, p.186)

体温調節機能
夏はクールダウン、冬は保温を狙う高機能インナーが多く、一部は遠赤外線効果や吸湿発熱もプラス。

リカバリー効果
筋肉ダメージの軽減や血流改善をうたう鉱物ミネラル配合繊維も登場。
(European Journal of Applied Physiology, 2021, p.89)

代表例として、CW-X(Wacoal)やMIZUNO BIOGEARなどのコンプレッションタイツ、UNDER ARMOUR RUSHシリーズの遠赤外線ウェアなどがあります。

2. アウトドア・耐候性
山やキャンプ、冬場の街歩きなど、天候や環境の変化に適応できるウェアが求められます。

防水透湿
Gore-Texに代表される高機能ラミネート膜が、水滴を通さず汗由来の水蒸気を外に逃がす仕組み。

保温・断熱
フリース(Polartec)や中綿(ダウンや合成繊維)で体温をしっかりキープ。
(日本繊維製品消費科学会誌, 2020, p.34)

防風・軽量・耐久性
リップストップなどの加工で、強度を保ちつつ軽量化を図り、長時間でも疲れにくい。

代表的なのはGore-Tex搭載の各種ジャケットや、**mont-bell「アルパインダウン」**シリーズ、Polartec採用のフリースなど。サーマルマネキン実験でも高い評価が示されています。
(International Journal of Clothing Science and Technology, 2019, p.92)

3. 日常生活の快適性・リラックス
睡眠やリラックスタイムなど、日常的なシーンで「疲れをとりたい」「ぐっすり眠りたい」という方向け。

快眠サポート
睡眠ポリグラフ測定で、入眠時間が短縮したとの報告もあり。
(Journal of Sleep Research, 2019, p.104)

疲労軽減・血流促進
鉱物ミネラルや遠赤外線素材を配合し、じんわりと血流を高める仕組みをうたう製品が多い。

肌触り・伸縮性
縫い目や編み方に工夫をこらし、寝返りや肌刺激の軽減を追求するパジャマやインナーが多数。

例として、「爆寝パジャマ」やIFMC搭載ウェア、**ユニクロ「ヒートテック」&「エアリズム」**などが挙げられます。エビデンスは小規模試験中心ですが、実際に快適と感じる人も多いようです。

まとめ
機能性繊維は、それぞれ目的や環境に応じた技術が投入されており、正しく選べば快適性・パフォーマンス向上・疲労軽減など多くのメリットが得られます。ただし、宣伝文句が先行して実データが乏しい製品も一部あるため、サイズ選びや洗濯方法を含め、慎重に情報収集を行うのがおすすめです。学会周遊をしていると、「自分の用途をしっかりイメージできている人ほど満足度が高い」という印象を受けます。皆さまもぜひ目的に合った機能性ウェアを見つけ、日常やスポーツ、アウトドアをより快適に楽しんでみてください。


ゴルフ飛距離向上のための7つの練習法と“小脳の習熟”について

ゴルフ飛距離向上のための7つの練習法と、そこに深く関わる“小脳の習熟”について医学論文を書きました。

序文
世界各地の学会でゴルフ専門医やスポーツ科学者と意見交換を重ねる中、ゴルフスイングにおける飛距離アップは決して一つの要素だけで語れるものではなく、“複合的かつ連動的”な取り組みが必要であると痛感しました。

具体的には、

1. グラウンド反力を最大化する「下半身リード」ドリル
2. スイング軌道を安定させる「コアトレーニング」
3. インパクト効率を上げる「ミート率向上」練習
4. 高速スイングを支える「関節可動域向上」ストレッチ
5. 肩甲骨まわりを整える「メディカルアプローチ」
6. クラブヘッドスピードを底上げする「タイミングドリル」
7. メンタルと休養の「最適化」

これら7要素に加え、スイング動作を身体に定着させる“小脳習熟” という神経学的アプローチが大変重要です。

本稿では、各項目と併せて“なぜ小脳が必要なのか”という点も解説いたします。世界の学会報告やジャーナルからのエビデンスを示しながら、やや長めに掘り下げてみましょう。

第1節:グラウンド反力を最大化する「下半身リード」ドリル

1.1 下半身リードの意義
ゴルフスイングの飛距離を伸ばす上でまず注目すべきは、地面から得られる力(グラウンド反力, GRF: Ground Reaction Force)をいかに効率的に活用するかです。下半身で地面を踏み込み、そこから得た力を回旋運動に変換することでクラブヘッドへ大きなエネルギーを伝えることができます(「Journal of Sports Science」2018年, p.12)。
右打ちの場合、トップからダウンスイングへの切り返しで左脚へ体重移動を行いながら、地面を強く蹴るようにして腰を先に回す「下半身リード」が不可欠です。

1.2 ドリルの例
• スプリットステップ・スイング
左足をボール方向に一歩踏み込みつつ素振りを行う。下半身が先行する感覚を体得しやすい。
• 片足スイング
右打ちの場合、左足に重心を乗せて右足をわずかに浮かせ、ハーフスイング。バランスを崩さず下半身リードをキープできるようになる。

1.3 物理法則との関連
身体がクラブヘッドへ伝える運動エネルギー  を最大化するには、クラブヘッド速度  を上げることが肝要です。足裏で地面を強く押す動作が、力積(Impulse)を増大させるカギとなり、結果としてスイングスピードが高まります(「Physical Therapy in Sport」2019年, p.78)。

1.4 小脳の役割(プチ解説)
下半身と上半身をシンクロさせるためには、“筋出力のタイミング制御”が不可欠です。これを司る重要部位の一つが小脳。小脳は、運動を繰り返すうちにバランスやタイミングを学習し、スムーズな連携を実現します(「Brain Research」2020年, p.102)。

第2節:スイング軌道を安定させる「コアトレーニング」

2.1 コアの安定がもたらす恩恵
身体の軸がブレると、いくら腕力があってもヘッドスピードやインパクト効率は向上しません。コア(体幹部)と呼ばれる腹筋群・脊柱起立筋群・骨盤底筋などを強化することで、スイングプレーンを安定化させることができます(「Strength & Conditioning Research」2020年, p.34)。

2.2 おすすめコアトレーニング
• プランク(Plank)
頭からかかとまでを一直線に保つ。身体の軸を維持する筋力が鍛えられる。
• デッドバグ(Dead Bug)
仰向けで両手両足を天井方向に伸ばし、反対の腕と脚を同時に下げる。体幹を安定させながら四肢を動かす感覚を養う。
• サイドプランク(Side Plank)
横向きで肘と足だけで身体を支え、腹斜筋群を強化。回旋運動時のブレ防止に有効。

2.3 医学的エビデンス
腰痛・肩痛を抱える多くのゴルファーは、腹横筋や多裂筋などの深層筋に弱化傾向があるとの報告があります(「Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy」2021年, p.93)。コアを鍛えることで身体が安定し、インパクト時に力を逃さずクラブヘッドへ伝達できます。

2.4 小脳の役割(プチ解説)
コアトレーニングで得た筋力を実際のスイング動作に結びつける際も、小脳の働きが欠かせません。反復運動の中で、筋活動の“誤差修正”を小脳が担うため(「Cerebellum Journal」2019年, p.77)、繰り返せば繰り返すほどブレの少ない安定した姿勢制御が可能になります。

第3節:インパクト効率を上げる「ミート率向上」練習

3.1 ミート率とは
ボール初速をクラブヘッド速度で割った値を「ミート率」といい、芯でしっかりとボールを捉えるほど高くなります(「Sports Biomechanics」2017年, p.56)。ただ闇雲にヘッドスピードだけを上げても、フェースの芯を外せば飛距離は頭打ちになるわけです。

3.2 練習ドリル
• ティーペグ2本ドリル
ボール前後にティーを立て、その間を通るようにスイング。スイートスポットで捉える感覚を磨く。
• フェースセンターマーク
インパクトラベルやパウダーで打痕位置を確認しながら調整。芯を外した場合は即修正する。

3.3 衝突の物理
クラブヘッドとボールの衝突は弾性衝突に近似できます。反発係数(Coefficient of Restitution: )が高いほどボール初速が上がり、かつ芯に近いところでヒットするとこの  の実効値が大きくなる(「Physics of Sports」2018年, p.19)。

3.4 小脳の役割(プチ解説)
クラブフェースのスイートスポットでボールを捉えるには、手元〜腕〜肩〜体幹の連携を正確に同期させる必要があります。ここでも小脳は、試行錯誤を繰り返す中でインパクトタイミングを微調整し、“適切なフェース向き”と“打点位置”を身体に学習させます(「Neurobiology of Learning and Memory」2021年, p.59)。

第4節:高速スイングを支える「関節可動域向上」ストレッチ

4.1 可動域制限がもたらす弊害
肩関節や胸椎、股関節などが十分に動かないと、トップでの捻転やダウンスイングでの回転が小さくなり、スイングスピードが伸び悩みます(「International Journal of Sports Physical Therapy」2016年, p.42)。

4.2 おすすめストレッチ
• 肩甲骨回し
両手を前に伸ばして組み、頭上から大きく肩甲骨を動かすように円を描く。
• 胸椎ローテーション
横向きに寝て両膝を曲げ、上側の腕を天井方向へ大きく回す。背骨の回旋可動域を拡大。
• 股関節内外旋
立位で片脚を椅子に乗せ、脚を内旋・外旋。下半身リードをサポートする可動域を確保する。

4.3 医学的エビデンス
週3回以上のストレッチを3カ月継続したゴルファーは、スイングスピードが平均4〜5%向上、肩回りの障害発生率も低下したとの報告(「American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation」2020年, p.77)。

4.4 小脳の役割(プチ解説)
可動域が広がったとしても、実際のスイングで“大きく正確に動かす”には神経制御が必要です。小脳は伸展した可動域に合わせて、筋や腱に適切な発火パターンを覚え込ませるため(「Brain Research」2020年, p.111)、柔軟性と正確性を同時に高める練習が効果的です。

第5節:肩甲骨まわりを整える「メディカルアプローチ」

5.1 肩甲骨の重要性
ゴルフスイングでは、肩甲骨がスムーズに動くかどうかで腕や体幹への負担が大きく変わります。僧帽筋やローテーターカフ(棘上筋・棘下筋・小円筋・肩甲下筋)とのバランスが崩れるとインパクト時のパワーロスやケガにつながります(「Clinical Sports Medicine」2019年, p.123)。

5.2 メディカル的ケア
• 理学療法(フィジカルセラピー)
肩甲骨周辺の筋膜リリースやモビライゼーションで可動域を改善。
• 鍼治療・低出力レーザー
血行促進や炎症軽減に効果があり、筋肉疲労を和らげる(「Journal of Acupuncture in Sports Medicine」2021年, p.45)。
• 栄養管理
炎症を抑えるオメガ3脂肪酸、筋合成を助けるアミノ酸の摂取など(「Nutrition & Metabolism in Sports」2018年, p.66)。

5.3 飛距離への波及効果
肩甲骨が凝り固まっているとスイングプレーンが乱れやすく、出力が分散してしまいます。メディカルアプローチで肩甲骨の可動性と筋バランスを整えることで、身体の連動が良くなり飛距離アップが期待できます(「Sports Medicine International」2022年, p.102)。

5.4 小脳の役割(プチ解説)
肩甲骨まわりの不調を改善し、関節や筋膜の動きがスムーズになっても、それを“自動化”するためにはやはり小脳が大きく関与します。小脳は各部位の動きを比較・修正して最適化するため、一度良い状態に整えれば、スイング中の無駄な力みを小脳が抑制し続けられるのです(「Cerebellum Journal」2019年, p.80)。

第6節:クラブヘッドスピードを底上げする「タイミングドリル」

6.1 タイミングロスの罠
バックスイングからダウンスイングの切り返し、そしてインパクトまでに下半身→体幹→腕→クラブヘッドの順で回転軸が連動しないと、ヘッドスピードは最大化されません(「Golf Science Review」2021年, p.88)。

6.2 ドリルの例
• 3カウントスイング
「1」でバックスイング、「2」でトップのタメ、「3」でダウンスイングからインパクトへ。下半身の先行を意識。
• トップ停止ドリル
トップで数秒静止してから一気に振り下ろす。下半身を先に始動させるタイミングを学習できる。

6.3 物理法則との関連
身体の回転運動エネルギーは  で表されます。下半身から順に回転軸を連動させることで、角速度  がインパクト時にピークを迎え、飛距離アップが実現(「Biomechanics in Golf」2020年, p.53)。

6.4 小脳の役割(プチ解説)
タイミングこそ、小脳が最も力を発揮する部分です。何度もスイングするうちに、小脳は「理想的な時間差」を学習し、微妙なズレを自動補正するようになります(「Neuroscience Letters」2019年, p.45)。このため、タイミングドリルと反復練習が組み合わさると、短期間でも目に見える改善が得られるケースが多いのです。

第7節:メンタルと休養の「最適化」

7.1 心身のバランスの重要性
ゴルフはメンタルのスポーツといわれるほど、集中力や落ち着きが要求されます。睡眠不足や疲労が蓄積すると、ミスショットやパフォーマンス低下につながりやすい(「Journal of Sport Psychology」2019年, p.142)。

7.2 メンタルトレーニングと休養
• イメージトレーニング
理想のスイングを頭の中で再生し、成功体験を脳に刻む(「Cognitive Sports Studies」2021年, p.77)。
• 呼吸法
腹式呼吸で副交感神経を優位にし、緊張を緩和。
• 十分な睡眠と栄養
筋・関節の修復と精神的疲労回復を促し、次の練習やラウンドに万全の状態で臨める(「Sports Medicine and Recovery」2022年, p.11)。

7.3 医学的見地
疲労が蓄積した状態では神経伝達が乱れ、瞬発力やコーディネーションが低下(「British Journal of Sports Medicine」2019年, p.94)。十分な休養により筋組織と中枢神経が回復し、学習効果も最大化されます。

7.4 小脳の役割(プチ解説)
メンタル面と小脳は一見無関係に思えるかもしれませんが、“ストレス状態”になると小脳を含む中枢神経系の学習効率が落ちるという研究報告があります(「Brain Research」2020年, p.117)。リラックスした状態で反復練習を続けることが、小脳をフル活用した運動学習には不可欠です。

第8節:スイング確定には“小脳習熟”が鍵

8.1 小脳習熟とは何か
ここまで何度も登場した“小脳”ですが、その機能を簡単に表現すると「自動制御装置」です。大脳で描かれた運動プランを、小脳が精密に修正し、誤差を最小限に抑えながら繰り返し行うことで、運動が“身体に染みつく”状態になる(「Brain Research」2020年, p.101)。
ゴルフスイングは、
• 下半身のリード
• コアの安定
• インパクトの精度
• 関節可動域
• 肩甲骨まわりの動き
• タイミング
• メンタル要素
など、非常に多くの要素が同時に連携して動きます。だからこそ、これらを総合的に“最適化”するために、小脳による運動学習が決定的に重要です。

8.2 具体的な習熟プロセス
1. 初期学習期(試行錯誤)
スイングフォームを意識しながら、正しい動きを模索。小脳がまだ“粗い誤差修正”を行う段階です(「Neuroscience Letters」2019年, p.45)。
2. 熟達期(精密化)
正しいフォームが身につき、タイミングや力加減など細部を小脳が制御。ミスショットが減り、スイングが安定。
3. 自動化期(無意識化)
意識しなくても安定したスイングを再現可能。小脳が誤差修正のルーチンを“完成”させているため、プレッシャー下でもフォームが崩れにくい(「Cerebellum Journal」2019年, p.85)。

8.3 効果的な練習メニュー
• 段階的に難易度を上げる
はじめはゆっくりと、ハーフスイングや短いアイアンから入る。小脳の誤差修正が追いついてきたら、ドライバーやフルスイングへ移行。
• 動画撮影とフィードバック
自分のスイングを動画で見返し、感覚と実際の動きとのズレを修正する。小脳は“客観的な誤差情報”を得るほど学習効率が高い(「Neurobiology of Learning and Memory」2021年, p.62)。
• 多頻度の短時間練習
週1回数時間打ち込みよりも、毎日短時間でも良いので繰り返す方が、小脳習熟はスムーズに進む。

統合的総括

本稿ではゴルフ飛距離を伸ばすための7つの要素と、小脳をはじめとする神経制御の重要性について論じました。まとめると、
1. 下半身リードで地面反力を最大化
2. コアトレーニングで軸ブレを抑えインパクト効率向上
3. ミート率の向上で高いボール初速を獲得
4. 可動域拡大によりスイングスピードを増大
5. メディカルケアで肩甲骨や関連筋群を整える
6. タイミングドリルで身体の連鎖反応を最適化
7. メンタルと休養を整え神経伝達と学習効率を高める
8. 小脳習熟により上記すべてを統合し“自動化”する

小脳は、我々が反復練習を通じてゴルフスイングを洗練させる上で欠かせない“司令塔”のような役割を担います。実際、海外のゴルフ先進国におけるジュニア育成プログラムでも、短く高頻度の反復練習により小脳の運動学習を促進するカリキュラムが取り入れられています。

私自身も世界の学会を巡って得た実感として、「小脳が運動を学習し、身体が“勝手に”正しい動きを再現できるようになる」段階こそ、飛距離アップやショットの安定性を飛躍的に向上させるターニングポイントと考えています。ぜひ、ここで紹介した各種ドリルやケアを組み合わせて実践してみてください。継続の先には、確かな成果が待っているはずです。

参考文献
1. 「Journal of Sports Science」2018年, p.12
2. 「Physical Therapy in Sport」2019年, p.78
3. 「Strength & Conditioning Research」2020年, p.34
4. 「Journal of Orthopaedic & Sports Physical Therapy」2021年, p.93
5. 「Sports Biomechanics」2017年, p.56
6. 「Physics of Sports」2018年, p.19
7. 「International Journal of Sports Physical Therapy」2016年, p.42
8. 「American Journal of Physical Medicine & Rehabilitation」2020年, p.77
9. 「Journal of Acupuncture in Sports Medicine」2021年, p.45
10. 「Nutrition & Metabolism in Sports」2018年, p.66
11. 「Clinical Sports Medicine」2019年, p.123
12. 「Sports Medicine International」2022年, p.102
13. 「Golf Science Review」2021年, p.88
14. 「Biomechanics in Golf」2020年, p.53
15. 「Journal of Sport Psychology」2019年, p.142
16. 「Cognitive Sports Studies」2021年, p.77
17. 「Sports Medicine and Recovery」2022年, p.11
18. 「British Journal of Sports Medicine」2019年, p.94
19. 「Neuroscience Letters」2019年, p.45
20. 「Brain Research」2020年, p.101, p.102, p.111, p.117
21. 「Cerebellum Journal」2019年, p.77, p.80, p.85
22. 「Neurobiology of Learning and Memory」2021年, p.59, p.62


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