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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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鉄分吸収について

WEBを見ていたら、鍋に入れると鉄分の吸収ができるという鉄の塊を売る広告がありました。うーん。どうなんだろう?

特に現代人は鉄が足りないと言われており、鉄分摂取は大事な事ですが、その体内吸収に関しては議論がありました。

日本では、近代医学と栄養学が共に発展したものの、1920年代以降に分離の兆しが現れました。とくに1934年、栄養学が日本医学会の分科会から独立し、専門学会を形成したことで、以後は医学と栄養学が別々の教育体系と知識体系を築くことになります。

この分離が生んだ最大のギャップのひとつが、「吸収率」への認識の違いです。栄養学では、鉄やカルシウム、ビタミンなどの吸収率は極めて重要な概念であり、どの食品からどれだけ体内に取り込まれるかを細かく計測・分析します。たとえば鉄なら、動物性食品に含まれるヘム鉄の吸収率は10〜20%で、植物性の非ヘム鉄は2〜5%。ビタミンAは油と一緒に摂らなければ吸収されず、カルシウムはビタミンDの有無で吸収率が大きく変わります。

言ってみれば医学的には消化管腸管内は体外であり、吸収されないと身体に取り込まれません。幾ら食材として物質を何g摂取しても、吸収率がゼロであれば意味がない事になります。

へム鉄と非ヘム鉄についても少し語れば

ヘム鉄とは?

動物性食品に含まれる鉄(例:赤身肉、レバー、魚など)
鉄がポルフィリン環に結合しており、吸収が良い
小腸の Heme carrier protein 1 (HCP1) によって吸収される
吸収率:約15〜35%

非ヘム鉄とは?

植物性食品やサプリメントに含まれる鉄(例:ほうれん草、豆類、鉄強化食品)
無機鉄イオンの形で存在(Fe³⁺ → Fe²⁺への還元が必要)
小腸での吸収に Divalent Metal Transporter 1 (DMT1) を介し、ビタミンCの助けが必要
吸収率:約2〜10%

よくある誤解としては、「非ヘム鉄は吸収されない」という表現は厳密には間違いで、吸収されにくいというのが正確です。ただし、ビタミンCや胃酸の補助があれば非ヘム鉄の吸収もある程度改善します。

臨床医学の現場では、栄養素の吸収率よりも血液検査の数値や薬剤効果といった目に見える「治療効果」が優先されがちです。医師は鉄欠乏性貧血に鉄剤を処方し、その効果が表れれば吸収の詳細には踏み込みません。また、医学部教育でも栄養学は一部の講義に含まれる程度で、体系的な学習の機会は少ないのが現実です。

吸収率の問題ですが幾つか事例を出しますね。

1. ほうれん草と鉄分
誤解:「ほうれん草は鉄分が豊富だから貧血に効く」
真実:確かに非ヘム鉄は多いが、吸収率は非常に低い(約1〜2%)。さらにシュウ酸が鉄の吸収を阻害。
対策:ビタミンC(例:レモン汁やピーマン)と一緒に摂ると吸収率UP。

2. カルシウムと小魚
誤解:「小魚を食べればカルシウムが豊富に摂れる」
真実:骨ごと食べられる小魚(しらすや煮干し)は良いが、吸収率は約30%以下。さらに、リン酸(加工食品などに多い)やシュウ酸(ほうれん草など)と一緒に摂ると吸収阻害される。
対策:ビタミンDやマグネシウムと合わせて摂取すると吸収効率UP。

3. 牛乳と鉄分
誤解:「牛乳は栄養価が高いので貧血にも良い」
真実:カルシウムとカゼインが鉄の吸収を阻害するため、鉄分補給には不向き。

4. 大豆製品とたんぱく質
誤解:「豆腐は高たんぱくだから筋肉に良い」
真実:大豆たんぱくは確かに良質だが、動物性たんぱくに比べ吸収率(生物価)はやや劣る(70〜75程度、動物性は90前後)。
対策:米や雑穀と一緒に摂るとアミノ酸スコアが改善。

5. にんじんとβカロテン(ビタミンA前駆体)
誤解:「にんじんを食べればビタミンAがしっかり摂れる」
真実:油脂と一緒に摂らないと吸収率が極端に低い(脂溶性のため)。
対策:サラダにオリーブオイルやごま油をかけると良い。

などなど。

詳しくは僕の過去の著書であるディフェンシブ栄養学やオフェンシブ栄養学をお読みください。


Honda×Red Bull Racing

ホンダがレッドブルをサポートするのは今年が最後。

ドライバーシートを取った角田を応援しようと、時計と帽子を変えました。

それにしてもサウジアラビアGPは不運でしたね。

日本中のF1ファンのため息が。


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