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「思い出しにくくなる」ことと「記憶力が落ちる」ことの違い

「思い出しにくくなる」ことと、「記憶力が落ちる」ことは、似ているようで別の現象です。

◉ ポイントを整理すると…
記憶力が落ちるとは?
→ 「覚える力(記銘)」が弱くなること。

新しいことが覚えられない
短期記憶が持続しない
一度読んだだけでは頭に残らない
思い出せなくなるとは?
→ 「引き出す力(想起)」が弱くなること。

名前が“のどまで出かかって”いるけど出てこない
昔のことはちゃんと記憶にあるのに、すぐに出てこない
きっかけ(ヒント)をもらうとすぐ思い出す
つまり、記憶自体は残っているのに、「どこにしまったか」がわからない状態です。
これは加齢にともなってよく起きることで、脳の検索エンジンの精度が少し鈍くなるようなものです。

◉ この違いはどうやって見分ける?
記憶力の低下(記銘障害)
ヒントがあれば思い出せる? ✕ 難しい
昔の話は覚えてる? ✕ 忘れていることが多い
新しいことを覚える力 ✕ 弱い
思い出せない(想起障害)
ヒントがあれば思い出せる? ○ 思い出せることが多い
昔の話は覚えてる? ○ よく覚えている
新しいことを覚える力 ○ 割と大丈夫

◉ なぜ加齢で“思い出しにくく”なるの?
脳の中で、想起に関わるのは前頭前野と側頭葉です。
加齢によってこの前頭前野の働きが少しずつ低下すると、検索・整理・切り替えの能力が落ちて、思い出すのに時間がかかるようになります。
でもこれは、認知症とは違うごく自然な老化現象です。

◉ 対処法はある?
はい、あります。ポイントは「きっかけを増やすこと」です。
写真を見る
音楽を聴く
香りを嗅ぐ
文字を書いておく
人と会話をする
こうした五感を使った記憶の呼び水が、思い出す力をサポートしてくれます。

◉ 一言まとめ
加齢で「思い出せない」のは、覚えていないのではなく、探し出すのがちょっと下手になっているだけ。
本棚のどこかに本はある。その“探し方”を工夫することが大切です。


人間の記憶ってどうやって保存されているの?

◉ 人間の記憶ってどうやって保存されているの?

● そもそも「記憶」って何?
私たちは日々、いろんなことを体験しています。
その体験や情報を覚えておき、必要なときに思い出す――これが「記憶」です。
記憶には3つの種類があります:
感覚記憶:見たり聞いたりしたことが、一瞬だけ頭に残る記憶(0.5秒くらい)
短期記憶:数秒から数分だけ覚えている記憶。たとえば電話番号を一時的に覚えるとき。
長期記憶:何日も、何年も残る記憶。人生の思い出や、勉強で覚えたことなど。

● 記憶は脳のどこにあるの?
私たちの脳には、記憶をつかさどるいろんな「場所」があります:
海馬(かいば):新しい記憶をつくったり、整理したりするところ。
大脳皮質:覚えた記憶を長く保管しておく“倉庫”みたいなところ。
扁桃体(へんとうたい):感情に関わる記憶、たとえば「怖かった」などの体験を残す場所です。

● 記憶はどうやって脳に残るの?
脳の中では、神経細胞(ニューロン)同士が「シナプス」という橋を通じて情報をやりとりしています。
よく使われる橋(シナプス)は強くなり、伝わりやすくなります。
この仕組みを「シナプスの可塑性(かそせい)」といいます。
「よく使う道は、踏み固められて歩きやすくなる」のと同じです。
また、長く使われたシナプスは**「LTP(長期増強)」**といって、しっかりと記憶が残りやすくなります。

● どうして記憶を忘れてしまうの?
年をとると、シナプスが弱くなって記憶しにくくなることがあります。
ストレスを受けすぎると、脳の中の「海馬」が傷んでしまうことも。
認知症などの病気では、記憶に関係する細胞が壊れていく場合もあります。

● 人間の記憶とAI(人工知能)の違い
AIは、データを「そのまま保存する」装置。
でも人間の記憶は、思い出すたびに少しずつ変化するのです。
これは「記憶の再構成」といって、私たちは事実そのものではなく、「意味」や「感情」を大事にして覚える傾向があるのです。

◉ 感情がからむ記憶は、なぜコントロールできないの?
強いストレスや恐怖体験など、心に深く残る記憶は扁桃体という場所に保存されます。
この扁桃体は“動物的な脳”ともいわれ、本能的に「これは危険だ!」と反応します。
だから、昔の嫌な体験を思い出すと、心拍数が上がったり、不安になったりすることがあるのです。
これがいわゆる「トラウマ記憶」です。

◉ じゃあどうやって落ち着かせればいいの?
キーワードは「大脳皮質」、とくに「前頭前野」という場所です。
ここは人間らしい理性や考える力をもっていて、扁桃体の暴走を“なだめる”役割をします。
その方法は?
言葉にすること:人に話す・ノートに書く・カウンセリングを受けるなど
五感を使うこと:好きな香りをかぐ、音楽を聴く、温かいものを飲むなど
→ これが自律神経のバランスを整えて、心を落ち着かせるのに役立ちます。

◎ おわりに
記憶とは、ただ“しまっておく”ものではなく、必要なときに“思い出し直す”ことで形を変えていくものです。
特に感情が深く関わる記憶は、言葉と感覚を使って再編集することで、心の重さが少しずつ軽くなるかもしれません。


「バイオエレクトリック・ナビゲーションによる次世代カテーテル追跡:熱延伸・レーザー加工電極カテーテルの開発」

医学と工学の連携で出てくる論文は、サーチをかけるようにしています。

個人的にかなり未来がありそうだと思った論文はこちら。

「バイオエレクトリック・ナビゲーションによる次世代カテーテル追跡:熱延伸・レーザー加工電極カテーテルの開発」

(Alex Ranne 他、2025年4月)

https://arxiv.org/pdf/2504.19326

血管内治療におけるカテーテルの正確な位置追跡は、依然として大きな課題です。従来の方法であるX線透視法(fluoroscopy)は、以下のような問題点があります
放射線被曝:術者の健康リスク(鉛ベストの着用が必須)
造影剤使用:急性腎障害のリスク
静的画像:デバイスとの相互作用で解剖が変化すると精度が低下

◉ 新技術:Bioelectric Navigation(バイオ電気ナビゲーション)
微弱な電流を用いて血管壁など周囲の解剖構造をセンシング
非透視型追跡モダリティとして、リアルタイムで解剖位置を感知可能にした。

◉ 本研究の主な成果
新型電極カテーテルの開発
熱延伸技術(Thermal Drawing)
レーザー微細加工
直径6Fr・16電極搭載カテーテル
評価内容
機械的特性(柔軟性・強度など)
電気的特性(導電性・信号感知精度)
模擬腹部大動脈瘤モデルでの追跡アルゴリズム検証
血管中心線に沿った追跡の正確性を実証
専門血管外科医による使用評価も実施

◉ 臨床応用の可能性
被曝ゼロの手術支援
造影剤不要な低侵襲化
複雑解剖への対応力強化

◉ 総括
この技術は、既存の臨床ワークフローに統合可能な次世代カテーテル追跡システムとして大きな可能性を示しており、特に慢性腎疾患患者や若年症例への適応が期待されます。


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