スイング速度を高めるには、筋トレの“質”が問われる
千代の富士の逸話に学ぶ「筋肉の使い方」と最新スポーツ医科学
ゴルフスイングにおいて筋肉はあればいい、というものではない
「筋トレ=筋肉を太くすること」と考えている方は、ゴルフのスイング速度を上げるうえで思わぬ落とし穴にはまっているかもしれません。実際に、かつて大横綱・千代の富士が持つ圧倒的な筋量にもかかわらず、ドライバーの飛距離は200ヤード前後だったというエピソードが知られています。
その理由は単純で、「速く動かすための筋肉」と「力を出すための筋肉」はトレーニング法も異なるということ。
筋肉を鍛えるという意味には3つの意味が含まれています。
「最大筋力」
「収縮速度」
「持続力(筋持久力)」
をそれぞれ高めるには、トレーニングの方法や刺激の種類が異なるため、目的に応じてメニューを組み分けることが重要です。
一瞬のスイングで飛距離が決まるゴルフには、収縮速度を上げることが極めて大切といえます。
以下に、それぞれの能力向上に特化したトレーニング方法を整理します。

1. 最大筋力(Maximum Strength)を上げたいとき
■ 目的:
重い物を持ち上げる力を強化
筋線維の動員率と神経系の効率向上
■ トレーニング内容:
高重量 × 低回数
レップ数:1〜5回
負荷:80〜100% 1RM(1回だけ持ち上げられる重さ)
セット数:3〜5セット
インターバル:2〜5分
■ 種目例:
バーベルスクワット
デッドリフト
ベンチプレス
アイソメトリック(等収縮)壁押しも有効
2. 収縮速度(Explosive Strength / Power)を上げたいとき
■ 目的:
スポーツ動作(ジャンプ、ダッシュ、スイング)を速く・鋭く
高速で力を出す能力の強化(速筋の動員)
■ トレーニング内容:
中〜高負荷 × 高速動作
レップ数:3〜6回
負荷:30〜70% 1RM
セット数:3〜5セット
インターバル:2〜3分
■ 種目例:
クリーン、スナッチなどのオリンピックリフティング
メディシンボールスロー
プライオメトリクス(ジャンプ系)
HIFEM(高頻度電磁刺激)などの他動的筋肉トレーニング
3. 筋持久力(Muscular Endurance)を上げたいとき
■ 目的:
長時間の反復動作に耐える能力(例:登山、マラソン、反復業務)
■ トレーニング内容:
軽重量 × 高回数
レップ数:15〜30回
負荷:30〜50% 1RM
セット数:2〜4セット
インターバル:30秒〜1分
■ 種目例:
自重スクワット
ロープトレーニング
ステップアップ
サーキットトレーニング(休憩を挟まず全身をまわす)
実際に僕も機器を使用したトレーニングを効率的に行って、50代になってからドライバーの飛距離を300ヤードまで伸ばすことができました。ただ、あまり飛ばすことに熱中すると、肩や首が痛くなってきて、言葉通り、身体が壊れてくるんですよね。苦笑。最近は飛距離を追うのはやめました。
1. 最大筋力強化に関する論文
Lum D, Barbosa TM, et al.
Title: Effects of isometric training on muscle strength and hypertrophy: A meta-analysis.
Journal: Sports Medicine
Year: 2019
Volume & Pages: 49(3):353–374
PMID: 30542957
→ 等尺性トレーニング(isometric training)が筋力向上に与える効果についてのメタ解析
2. 筋パワー・収縮速度向上に関する論文
Cormie P, McGuigan MR, Newton RU.
Title: Developing maximal neuromuscular power: Part 1—biological basis of maximal power production
Journal: Medicine & Science in Sports & Exercise
Year: 2011
Volume & Pages: 43(6):975–990
PMID: 21088601
→ 筋パワー(爆発的収縮力)を生理学的にどう高めるかについての総説
3. 筋持久力トレーニングに関する論文
Ratamess NA, et al. (for the NSCA – National Strength and Conditioning Association)
Title: Progression models in resistance training for healthy adults
Journal: Journal of Strength and Conditioning Research
Year: 2009
Supplement Issue: 23(Suppl 1):S60–S79
PMID: 19077769
→ レジスタンストレーニングの進行モデル。筋持久力向上に適した方法が記載
4. HIFEMによる筋刺激に関する論文
Kinney BM, Bernardy J, Jarošová R.
Title: Novel Technology for Facial Muscle Stimulation Combined With Synchronized Radiofrequency Induces Structural Changes in Muscle Tissue: Porcine Histology Study
Journal: Aesthetic Surgery Journal
Year: 2023
Volume & Pages: 43(8):920–927
PMID: 36910083
→ EMFACE(HIFES+RF)の基礎研究:ブタモデルで筋密度増加を示した研究







