新国際学会周遊記──医師の問題解決思考とキャリア理論
診察室に座るとき、医師は常に「未解決問題」と向き合っています。
頭痛の患者が来れば──脳腫瘍かもしれない、単なる緊張型頭痛かもしれない。
腹痛の患者なら──急性虫垂炎か、胃潰瘍か、あるいは心理的要因かもしれない。
この「わからない」状態からスタートし、情報を集め、仮説を立て、検証し、修正する──。
これは一種の 科学的実験の縮図 であり、同時に「人生の問題解決法」の訓練でもあります。

◆ 医師のキャリアと問題解決の重なり
僕が考えている「キャリア理論」でも、20代は技術習得、30代は社会的実績、40代は知的発信、50代以降はレガシー形成と位置づけています。
ふり返ってみれば、どの段階も実は「問題解決」によって開かれてきました。
20代──医学部での学び。問題解決の基礎訓練(PBL・臨床実習)。
30代──社会に出て臨床現場で未知のケースに出会い、毎日のように小さな問題を解決する。
40代──新しい治療法や研究テーマを切り拓き、学会で発信する。これは従来の問題設定に「別解」を提示する行為。
50代──自分の知を次世代に継承する。これは「他者の問題を解決できる力」を共有することにほかならない。
つまり、医師のキャリア形成そのものが「問題解決サイクルの拡大」と考えられるのです。
◆ 問題解決思考は「矜持」でもある
医学における問題解決思考は、単なる方法論ではなく「矜持」でもあります。
「まだ答えが出ていない課題があるなら、必ず道を見つける」
──この姿勢は臨床現場だけでなく、研究、経営、教育にまで広がっていきます。
実際、レーザー医療の分野でも「痛みを減らしながら治療効果を高める」という矛盾した課題をどう解決するか。その答えを探してきた過程は、まさに問題解決思考の応用そのものでした。
医師は「問題解決」に慣れているというよりも、本来であれば、問題解決を通じてしか生きられない職業人なのです。
そしてこの思考法は、医学の枠を超えて、人生設計やキャリア形成においても普遍的な武器となると思います。




