この人DR.フジ”ル”モトさんです。
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藤本幸弘オフィシャルブログ
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昭和100年史を振り返る会 第5回目の日程が決まりました。

9月8日月曜日19時から
場所は麹町の「ゴルフ医科学研究所」です。
参加ご希望の方はご連絡ください。
参加費は 30歳未満 無料 30歳以上 5000円
簡単な軽食とワインをはじめとしたお酒が付きます。
昭和50年から平成7年までの20年間。
冷戦の終盤からその終結、グローバル化の進展まで、まさに「昭和後期」の世界史を象徴するトピックが並びます。
1991年にはバブル崩壊
1995年(平成7年)は阪神・淡路大震災と東京地下鉄サリン事件が起こり、水と安全はタダであるという日本の価値観を大きく揺るがせた年でもありました。
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1970年代後半(1975-1979)
1. ベトナム戦争終結(1975年)
サイゴン陥落により南ベトナム政府が崩壊、ベトナムが社会主義国家として統一される。
2. ヘルシンキ宣言(1975年)
欧州安全保障協力会議(CSCE)において、冷戦下で東西融和を模索する重要な外交文書が調印。
3. ポル・ポト政権とカンボジア虐殺(1975-1979年)
クメール・ルージュによる大量虐殺で約170万人が死亡。
4. アップル社創業(1976年)
スティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックにより設立。パーソナルコンピュータの普及の端緒となる。
5. イラン革命(1979年)
パフラヴィー朝が倒れ、ホメイニ師を指導者とするイスラム共和国が成立。
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1980年代前半(1980-1984)
6. ソ連のアフガニスタン侵攻(1979-1989年)
1980年代初頭、米国やイスラム諸国がムジャヒディンを支援、冷戦の代理戦争化。
7. レーガン大統領の登場(1981年)
米国で新自由主義政策「レーガノミクス」が始動し、軍拡競争が再燃。
8. ポーランド「連帯」運動(1980年)
レフ・ワレサ率いる労働組合が共産体制に抵抗、後の東欧民主化の火種となる。
9. ファークランド紛争(1982年)
英国とアルゼンチンが領有権を巡って交戦、英国勝利でサッチャー政権が強化。
10. CD(コンパクトディスク)の発売(1982年)
音楽産業に革命をもたらし、デジタル時代の幕開けを象徴。
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1980年代後半(1985-1989)
11. ゴルバチョフのペレストロイカ(1985年以降)
ソ連の改革政策。グラスノスチ(情報公開)により民主化の波が広がる。
12. チェルノブイリ原発事故(1986年)
史上最悪の原発事故がソ連で発生、環境問題と冷戦体制への不信感が増大。
13. ベルリンの壁崩壊(1989年)
東西冷戦の象徴が崩れ、東欧諸国の民主化が一気に加速。
14. 天安門事件(1989年)
中国・北京で学生らの民主化運動が武力鎮圧され、数百〜数千人の犠牲。
15. 冷戦終結(1989年 マルタ会談)
米ソ首脳の会談で冷戦終結が公式に確認される。
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1990年代前半(1990-1995)
16. ドイツ再統一(1990年)
東西ドイツが統一、冷戦後ヨーロッパの新秩序が形成される。
17. 湾岸戦争(1991年)
イラクのクウェート侵攻を受け、多国籍軍が武力介入、短期間で終結。
18. ソビエト連邦崩壊(1991年)
15共和国が独立し、ロシア連邦が誕生。
19. ユーゴスラビア紛争(1991-1995年)
旧ユーゴ分裂に伴う内戦・民族浄化が激化、国際社会に深い衝撃。
20. 南アフリカのアパルトヘイト廃止(1994年)
ネルソン・マンデラが大統領に就任し、長年の人種隔離政策が終焉。
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この20件は、冷戦構造の解体、グローバル化の進展、技術革新、民族・宗教問題の噴出など、昭和後期を象徴する題材です。
日本抗加齢医学会誌NMNの特集号の、僕の依頼原稿誌が届きました。
今回は女性の毛髪に関する検証でした。

【新国際学会周遊記──“レーザー医療とNMN:細胞レベルで見えてきた“若返り”の共通言語”】
レーザー医療とNMN——一見、光学と分子栄養学という全く異なる領域のように見えますが、実は「細胞エネルギー代謝」「ミトコンドリア活性化」「酸化ストレス制御」という共通した生物学的基盤を共有しています。
◆ フォトバイオモデュレーション(PBM)の基盤
PBMは、波長600–1000nmの低出力レーザーやLED光が細胞内のシトクロムcオキシダーゼに吸収されることで、電子伝達系を促進し、ATP産生を増加させるとされています。
この作用は、活性酸素種(ROS)の一過性増加によるシグナル伝達を経て、抗酸化酵素(SODやカタラーゼ)の誘導や炎症性サイトカイン抑制にも繋がります。
◆ NMNとNAD⁺の補充
一方NMNは、NAD⁺(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)の前駆体として補給され、ミトコンドリア電子伝達系の補酵素を増やし、エネルギー代謝を高めます。また、NAD⁺依存性脱アセチル化酵素であるサーチュイン(SIRT1〜7)を活性化させ、DNA修復や抗炎症作用、細胞老化抑制に寄与することが示されています。
◆ 共通項:細胞代謝と酸化還元バランスの最適化
ここで見えてくる共通項は、「ミトコンドリアを中心とした細胞の酸化還元環境を整える」という点です。
PBM:光子が電子伝達系を直接ドライブ
NMN:補酵素供給で電子伝達効率を上げる
つまり、PBMが“光”というエネルギーで電子流を促進するアプローチであるのに対し、NMNは“分子燃料”としての補酵素供給によって同じ路を流れやすくするのです。
◆ 相乗効果の可能性
近年、PBMとNAD⁺補充を組み合わせた研究も出始めています。
例えばマウス実験で、PBM照射によりNAD⁺/NADH比が増加し、サーチュイン活性化がNMN投与群よりも早期に起きるという報告も。
光でミトコンドリアを“点火”し、NMNで“燃料補給”する──。
まるでエンジンの始動と給油を同時に行うようなこの組み合わせは、老化制御や組織修復医療において今後ますます注目されると考えています。


【新国際学会周遊記──“水にまつわる理論大全:科学からエセ科学まで”】
手元のグラスに注がれた水を眺めているとき、ふと「なぜ水だけがこんなにも特別なのか?」という問いが頭をよぎりました。科学者であれば誰もが一度は抱く疑問。H₂Oという単純な分子が、これほど複雑で独特な性質を示すのはなぜでしょうか。

◆ 水が示す“異常”ともいえる特性
一般的な分子に比べて、水は多くの点で異例の振る舞いをします。
融点・沸点の高さ
分子量18という軽さにもかかわらず、氷点は0℃、沸点は100℃と高温で液体を保つ。これは強い水素結合の存在によります。
固体の方が軽い(氷の浮遊)
水は凍ると体積が約9%膨張します。このため氷は水に浮き、地球の湖や海が表面から凍るという“生命に優しい”現象が起こるのです。
比熱と蒸発熱の高さ
水は比熱(4.2 J/g·K)が高く、温まりにくく冷めにくい性質を持ちます。これが地球の気候安定や体温維持に大きく寄与しています。
密度の異常:4℃で最大
多くの液体は冷えるほど密度が増しますが、水は4℃で最大密度を示し、それ以下では逆に膨張します。冬季に湖底が4℃で安定する理由もこれに由来します。
◆ 水と生体──“生命の溶媒”として
生物の体の60~70%は水分で構成されています。タンパク質の折り畳みや酵素反応、DNAの二重らせん構造の安定化に至るまで、水の極性と水素結合が欠かせません。
特に、生体膜の疎水性相互作用は水が“嫌う”性質を利用した現象であり、細胞構造そのものが水の特性に依存しているのです。
◆ “水の特異性”が示すもの
結局、水は「ありふれた分子でありながら、生命と地球環境に絶対的な条件を提供する存在」であるという事実に突き当たります。もし水がもう少し揮発しやすければ、地球は干上がり、もし氷が沈むならば海洋は氷結し、生命は存在できなかったでしょう。
水──それは地球生命の基盤であり、もっとも身近でありながら、未解明な部分も多い不思議な物質です。科学的な研究対象としての水は、物理化学、生理学、医学、地球科学など広い分野にまたがりますが、一方で「エセ科学」やスピリチュアルな解釈の対象にもなりやすい存在です。ここでは、科学的に確立した理論と、根拠の乏しい疑似科学的な説を並べて整理し、その背景にある魅力を俯瞰します。
一杯の水から学ぶ、教養
机の上に置かれた、透明な一杯の水。
一見、ただの水に過ぎないそれも、学問のフィルターを通すと無限の視点が浮かび上がります。
まずは学生がそれぞれの教科から「一杯の水」から学ぶことを並べてみましょう。
◆ 物理学
•水の分子構造(H₂O)と水素結合の性質
•液体の表面張力や毛細管現象
•水の三態変化(固体・液体・気体)と相転移エネルギー
◆ 化学
•水の極性分子としての性質と溶媒機能
•酸・塩基の概念(pH、水素イオン濃度)
•電解質の溶解とイオン化のメカニズム
◆ 生物学
•水が生命の溶媒である理由
•細胞内外での浸透圧と水の移動(アクアポリン)
•体液組成と恒常性(ホメオスタシス)
◆ 地学
•水循環(蒸発・降水・河川流入)と気候
•地球の水資源分布(海水97%、淡水3%)
•地球外惑星探査における「水の存在=生命可能性」の指標
◆ 環境科学
•水質汚染と浄化(重金属・マイクロプラスチック)
•持続可能な水資源管理
•気候変動による水不足問題
◆ 歴史・社会
•水と文明:ナイル・メソポタミア・インダスなど河川文明
•水道インフラと公衆衛生史
•水利権や水戦争など資源を巡る社会問題
◆ 倫理・哲学
•「一滴の水にも命が宿る」という自然観
•水の循環に見る無常と縁起
•ルネ・デカルトの「物質は延長」から考える物質存在論
◆ 文学
•松尾芭蕉の俳句「古池や蛙飛びこむ水の音」
•夏目漱石『草枕』における水景描写
•「澄んだ水」「濁った水」など比喩表現としての水
◆ 芸術
•ルネサンス絵画の水面反射描写(レオナルド・ダ・ヴィンチ)
•日本画の水墨における「にじみ」と余白の美
•水をテーマにした現代アート(杉本博司「海景」シリーズ)
◆ 数学
•水滴の球形における最小表面積問題
•流体力学におけるナビエ・ストークス方程式
•統計学での水消費量データ解析
◆ 体育・健康科学
•水泳の浮力と抵抗の科学
•水分補給と熱中症予防
•高地トレーニングと体液調節
まさに、一杯の水は「学問の縮図」。
理系・文系問わず、すべての知の入り口がこの透明な液体に映り込んでいます。
◆ 1. 科学的に認められた理論
● 水の分子構造と水素結合
H₂Oは極性分子で、酸素原子の電気陰性度が高いため、隣接する水分子との間に水素結合を形成します。これにより、水は液体でありながら高い表面張力や比熱容量を持ち、氷が水に浮くという密度逆転現象が起きます。この異常物性は生物圏を成立させる基盤であり、冬季に湖面が凍っても下層に液体水が保たれるのはそのおかげです。
● 液晶水(第4の水相)仮説
Gerald Pollackが提唱した理論で、細胞や血管壁などの疎水性表面近傍に水が規則構造を形成し、「第4の相」として存在するというもの。これは光散乱や電位差測定による間接的な観測で支持される部分もありますが、再現性や生理的意義については議論が続いています。細胞内での水の状態を説明する一助としては注目されており、ナノバイオ分野では一定の研究が進んでいます。
● 水の異常物性(Anomalous properties of water)
水は同じ分子量の液体に比べて高い沸点・融点を持ち、また溶媒として非常に優れています。この理由は水素結合ネットワークが絶えず切断・再形成を繰り返す「動的構造体」であるため。これが酵素反応やタンパク質のフォールディングに不可欠な水和構造を形成し、生命現象を支えると考えられています。
◆ 2. 医学・生理学での理論
● 浸透圧とアクアポリン
細胞膜は単なる脂質二重層ではなく、アクアポリン(AQP)という水専用チャネルを介して分子単位で水の移動が行われています。AQPの発見はノーベル賞に繋がり、浸透圧調整や脳浮腫・腎機能の理解が飛躍的に進みました。
● 体液恒常性(ホメオスタシス)
体内の水分は、血漿・組織液・細胞内液に分かれ、ホルモン(抗利尿ホルモンADHやレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系)によって厳密なフィードバック制御が行われています。わずかな水分変化が浸透圧や血圧に影響を及ぼし、体調や臓器機能に直結します。
◆ 3. エセ科学・疑似科学的な説
●クラスター仮説とエセ科学
水を巡っては「水分子クラスターが健康に影響する」といった科学的根拠の乏しい理論も流布しています。確かに水素結合は瞬間的にネットワークを作りますが、その寿命はフェムト秒単位(10⁻¹⁵秒)であり、安定した“クラスター”は常温常圧下では存在しません)。
● 「水の記憶」理論(ホメオパシー)
ホメオパシーでは、薬物を極限まで希釈しても「水が情報を記憶して作用を示す」と主張します。しかし、分子が存在しないほどの希釈液に効果があるとする物理化学的根拠はなく、再現性のある実験は皆無。Nature誌で一度報告されたものの、追試不能で撤回されています。
● 「水に言葉をかけると結晶が変わる」説
江本勝氏が提唱した理論。水に「ありがとう」や「愛」と語りかけると美しい結晶ができ、「ばかやろう」と言うと乱れるとする主張。写真選択や撮影条件の恣意性が大きく、科学的検証には耐えませんが、「意識が物質に影響する」という神秘的イメージとして話題になりました。
● 磁気水・πウォーター
「電気分解や磁気処理で水のクラスターが小さくなり、吸収が良くなる」「抗酸化作用がある」といった宣伝が見られますが、上記に書いた通り、分子レベルでの“クラスター縮小”は常温常圧下で数ピコ秒単位で変化するため固定化不可能です。健康効果もRCT(無作為化比較試験)での裏付けはありません。
◆ 4. 文化・哲学における水
•仏教:「水」は五大要素のひとつとして、柔軟性や流動性を象徴。
•老荘思想:「上善如水(水のように生きよ)」は、争わず自然に従う理想を説く言葉。
•文学:芭蕉の「古池や蛙飛びこむ水の音」など、感性や静寂を映す存在。
◆ 総括
科学的な水の研究は、分子構造・生理学・物性学と多岐に渡り、生命の成立や物質科学を理解する上で中心的役割を果たしています。
一方で、疑似科学やスピリチュアルな理論も人々の「水への神秘性」に支えられて広がり続けています。
水は単なるH₂O以上の意味を持ち、科学と神話の狭間に立つ“境界の物質”とも言えるでしょう。
【新国際学会周遊記──“塩のミネラルがもたらす健康効果”】
このところ、塩について話題に上がる事が増えました。見学に行ったがん治療クリニックだったり、テキーラマエストロ資格認定講座だったり、ちょうど先週行った昭和100年史で塩の話題に振ってくれた友人ドクターの講義だったり。
栄養学の本を書いたときも、塩辛い味が好きなのに長寿であった長野県について調べて、野沢菜漬けに含まれたカリウムが、ナトリウムを置換することから高血圧が減るのでは?という考察もしました。
「健康上は、食塩にはいろいろなミネラルが含まれた方がいいでしょう?」
この問いは非常に直感的ですが、実際の医学・栄養学の研究からも裏付けられています。
僕も塩にはこだわっていて、ナトリウムと塩素から工業的に作られる精製塩ではなくて、なるべく岩塩を取るようにしています。そちらの方が何より美味しいですよね。

◆ 精製塩(NaCl)と自然塩の違い
工業的に作られる精製塩(食卓塩)は、塩化ナトリウム(NaCl)の純度が高く、ほぼ100%に近い単成分結晶です。
一方、自然塩(海塩・岩塩)は、NaClのほかにマグネシウム(Mg)、カリウム(K)、カルシウム(Ca)など、数十種類の微量ミネラルを含みます。これらは血圧、神経伝達、骨代謝、酵素活性などに影響を及ぼすことが知られています。
◆ ミネラル含有塩の生理作用
マグネシウム(Mg)
血管拡張作用と関連し、血圧低下効果が報告されています。
カリウム(K)
ナトリウム排泄を促し、ナトリウム過剰摂取による高血圧を緩和。
カルシウム(Ca)
骨代謝に必須であり、塩中の微量摂取でも吸収効率向上に寄与。
◆ 海水の組成は、身体のどこに似ているのか?
これは生理学や進化学の講義でもよく出てくる問いです。結論から言うと、海水のミネラル組成は「血漿(血液の液体成分)」や「細胞外液」の組成に最も近いとされています。
◆ 進化の視点から
動物生理学では、「ヒトの体液は古代の海の名残」とされる説が知られています。
約30億年前、生命が誕生した原始海洋の組成は現在よりも薄い塩濃度だったと考えられ、そのミネラルバランスが体液内に保存されたまま進化してきた、という考え方です。
◆ 海水の主要イオン組成
海水の主な溶質は以下の通り(重量比、35‰塩分濃度の場合):
• Na⁺(ナトリウム):約10.8 g/L
• Cl⁻(塩化物):約19.4 g/L
• Mg²⁺(マグネシウム):約1.3 g/L
• SO₄²⁻(硫酸塩):約2.7 g/L
• Ca²⁺(カルシウム):約0.4 g/L
• K⁺(カリウム):約0.4 g/L
◆ 血漿・細胞外液の電解質組成
ヒト血漿(細胞外液)の主要イオン濃度(mEq/L)は以下の通り:
• Na⁺:135–145
• Cl⁻:98–106
• HCO₃⁻(重炭酸):22–28
• K⁺:3.5–5.0
• Ca²⁺(イオン型):1.1–1.3
◆ 共通点と相違点
共通点
Na⁺とCl⁻が主体で、いずれも「ナトリウム・塩化物系の塩水」である点が共通しています。そのため、生理食塩水(0.9% NaCl)は“血漿の浸透圧”に合わせて調製されています。
相違点
海水は血漿より約4倍高濃度で、マグネシウムや硫酸塩が多いのが特徴。そのまま飲用すれば高張性脱水(浸透圧性下痢や腎臓負荷)を引き起こします。したがって、海水は“血漿や細胞外液のミネラルプロファイル”に似ているが、濃度は高すぎる。
私たちの体液は、古代の海を内包したまま進化してきた“内なる海”とも言えるのです。
◆ 日本人の塩摂取の現状と課題
日本人は世界的に見ても塩分摂取量が高め(1日平均10g超)。
その大半は精製塩(NaCl)主体の加工食品由来であり、「ナトリウム過多・他ミネラル不足」が問題とされています。
◆ 自然塩は「減塩の味方」にもなる
面白いのは、ミネラルを多く含む自然塩は旨味が強く、少量で満足感が得やすいという報告がある点。
調味量を減らせば、結果的にナトリウム摂取量も減り、減塩が苦痛なく進むという臨床研究もあります
塩といえば海に囲まれた日本。なのに、なぜわざわざ遠くメキシコから輸入しているのか。そこには、意外な歴史と制度が隠れているのです。
◆ 「専売制度」が残した爪痕
戦後の日本では、塩は国の専売品でした(1905年の「塩専売法」に端を発し、1985年まで続いた)。
この制度下では、国内の塩田はほぼ廃止され、国が効率的に塩を供給するためにイオン交換膜法による工業的な製塩(高純度NaCl生産)に一本化されたのです。結果として、自然塩の伝統はほとんど失われ、ミネラルを多く含む「海塩」は市場から姿を消しました。
◆ 自由化と「輸入塩」の流入
1985年の専売廃止後、1997年の完全自由化を経て、海外からの輸入塩が一気に市場を席巻します。特にメキシコのゲレロネグロ塩田は世界最大規模で、太陽熱と乾燥した気候を利用して低コストで大量生産が可能でした。
コスト競争により、国内での伝統的な塩作りは価格面で太刀打ちできず、業務用や加工食品向けの塩は輸入に大きく依存するようになったのです。
◆ 「食卓塩=メキシコ産NaCl」の現実
現在、スーパーに並ぶ「食卓塩」や加工食品の多くは、このメキシコやオーストラリア産の塩が精製されて供給されています。一方で、伝統的な「にがりを含んだ海塩」や「藻塩」は高級品として扱われ、嗜好品化しました。
厚生労働省の統計によれば、日本の食用塩の約7割は輸入に依存しており、その多くがメキシコやオーストラリア産。つまり、「海に囲まれた日本は塩自給できるはず」という直感は、実は制度やコストの前に崩れてしまったのです。
◆ 科学的視点から見た塩の違い
工業製塩で精製されたNaClは純度が高い一方で、カリウムやマグネシウムといった微量ミネラルはほぼ除去されています。一方、伝統海塩はこれらを含むため、ナトリウム摂取量だけでなく、ミネラルバランスという観点からも議論が続いています。
結局、僕らの食卓にある「メキシコ産の塩」は、単なる物流の結果ではなく、100年以上続いた専売制度と自由化の歴史的産物なのです。