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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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■2013年5月ドイツ出張⑧1884年バイロイト通信 1903年「マイスタージンガー」楽譜 1913年「さまよえるオランダ人」楽譜

おはようございます。

おかげさまで、昨日5月26日でクリニックFも開院後丸6年が経ったことになります。

今日も朝からたくさんの患者さんにご予約を頂き、こうして今でもクリニックを存続できていることに感謝の気持ちで一杯です。

開院当初から応援してくださり、今でも定期的にご来院下さる方も多く、クリニックFは幸せ者です。ありがとうございます。

7年目も着実に、そして丁寧に一日一日を積み重ねていきたいと思いますので、今後とも何卒よろしくお願いいたします。

さて、今日は先週帰国したばかりのドイツで購入したものをご紹介しますね。

ドイツはバイロイトの街はずれにある、小さな路地で見つけた古本屋さん。

中に入ると、蔵書が一杯です。

実は、これらすべてがワーグナー関係の古本なのです。

宝物を掘り出す気持ちで3冊の本を見つけ出し、購入を決めました。

こちらのお店のご主人にお世話になりましたよ。

ひとつはこちらの1884年出版のバイロイト通信。

130年前に発行された大きな冊子ですが非常に丁寧に作られたらしく、いまだ綺麗なままです。

中はドイツ語ですが、挿絵も綺麗ですよ。

こちらはバイロイトにおけるワーグナーの住家であった「バーンフリート」。

この言葉はワーグナーの造語だそうですが、Wahn (情熱)と Friden(平和)からきているのではないかといわれています。

さらに、購入した1900年代の初頭の二つの楽譜。

左が1903年発行の「ニュルンベルグのマイスタージンガー」

右が1913年発行の「さまよえるオランダ人」。

こちら「マイスタージンガー」のスコアです。

110年前の楽譜はどんなものだろうと思っていたのですが、実際に観てみると、現在印刷されているものと全く変わらないですね。

しかも、ヨーロッパ大陸で、湿気のないところで保存されていたので、多少黄ばみはありますが、紙質も綺麗です。

ちょうど100年前の「さまよえるオランダ人」の方にも、魅力的な挿絵が。

しかもこちらは二色刷りです。

1913年といえば、日英同盟、日露戦争と帝国主義の国際社会に突入し、第一次世界大戦が始まる前年。

そんな年に出版されたのかと思うと感慨深いですよね。

こちらも、二つの世界大戦を経て、100年以上経っているとは思えない仕上がりです。

ドイツのライブティヒは活版印刷が発明された場所でもあります。

骨董品で高そうと思われるかもしれませんが、ドイツですので、3冊買って1万5千円ほど。

次にDVDを観るときには、このスコアを読みながら楽しんでみようと思います。


赤坂プリンスホテル

赤坂プリンスホテル。

比較写真です。

解体中の赤坂プリンスホテル。

上層階の作業場から少しづつ崩していく工法なのだそうです。


■2013年5月ドイツ出張⑦ 無事に帰国しました

本日朝8時半に無事帰国し、クリニックFで外来をしています。

一週間のお休みを頂いていましたので、朝から大忙しでしたが、ようやく一息つきました。

出張中はご迷惑をおかけしました。

今回のドイツ出張には、エールフランスを使いましたので、パリCDG空港経由。

航空機にディレイがあったものの、初めてのA380の機体に個人的には大満足でした。

国際学会周遊記のドイツ編は来週から書き始めようと思います。


■2013年5月ドイツ出張⑥パリ シャルル・ド・ゴール空港 ワーグナー生誕200周年記念式典を振り返って

ミュンヘンからのフライトで、パリ・シャルル・ド・ゴール空港にやってきました。

いよいよ帰国となります。

土曜日の朝より外来を再開いたしますので、またよろしくお願いいたします。

こちらはバイロイトで購入したリヒャルト・ワーグナー生誕200周年記念式典コンサートのパンフレットです。

シリアルナンバー付きでした。

僕も毎年かなりの数のパフォーマンスを観ていると思いますが、ワーグナーのオペラは格式といい、思想性といい、芸術性といい僕にとって特別なものです。

ワーグナーのオペラは平均4時間。

筋も難解で謎が多く、中でも「ニーベルングの指輪」の4部作は、音楽史上最大規模の作品です。

■序夜 「ラインの黄金」(Das Rheingold):2時間40分

■第1日 「ワルキューレ」(Die Walküre):3時間50分

■第2日 「ジークフリート」(Siegfried):4時間

■第3日 「神々の黄昏」(Götterdämmerung):4時間30分

簡単にあらすじをお話すると、手にした者は世界を支配できるという「ニーベルングの指環」を、小人族やヴァルハラの神々、巨人族、英雄ジークフリートなどが世代を超えて相争う物語なのですが、

特に楽曲中において、複雑に絡み合う登場人物の、特定の人物や状況などと結びつけられて繰り返し使われる短い曲想であるライトモチーフを多用し、この方式を広めました。

現在の映画やテレビでも使用されていますし、ハリウッドのダースべーダーのテーマなんてまさにライトモチーフにあたりますよね。

最終日にこちらのミュンヘン国立歌劇場で「椿姫」を観ました。

椿姫も大好きな演目なのですが、ワーグナーのオペラと比較してしまうと、さすがの椿姫も輝きを少々失ってしまいます。

1813年の同年生まれで今年同じく生誕200周年を秋に迎えるヴェルディも、晩年はワーグナーの芸術性の高さを脅威に感じていたようです。

ワーグナーは、19世紀という、先進国が宗教という概念を捨て、帝国主義と実利主義に向かう時代に、まさに思想的な補強として生まれ、さらに共感された芸術なのだと思います。

バイロイト音楽祭の参加が今年で6度目となる方とお話をする機会を得ました。

その方が

「舞台の上に正装のオーケストラが乗った事は、(バイロイト音楽祭では)過去に観た事が無いし、生の演奏を聴いてみると、毎年バイロイトに招集されるオーケストラの素晴らしさが分かる」

と言っていました。

今回の旅では毎晩ワーグナーの作品をドイツ語字幕で見ました。学生のときに習った懐かしいドイツ語を思い出しましたよ。

バイロイトのお土産に、古本屋に寄って、1913年の「さまよえるオランダ人」の楽譜と、1903年の「ニュルンベルグのマイスタージンガー」の楽譜、そして1883年出版の「バイロイト通信」を買ってきました。

僕にとっては本当のお宝。大切に保管しようと思います。

いよいよ搭乗時間が迫ってきました。

ではまた日本で。

 


■2013年5月ドイツ出張⑤ミュンヘン空港で。 近代芸術の始祖としてのワーグナー

一昨日バイロイト祝祭歌劇場で行なわれたワーグナー生誕200周年記念式典に出席し、パリ行きの飛行機に乗るため、ミュンヘンに移動してきました。

ミュンヘンは、ワーグナーを後援したフリードリッヒ2世の住居があった場所。

こちらの中央がフリードリッヒ2世。

手前の胸像がワーグナーです。

予定を詰め込みすぎて少々慌ただしかったドイツ出張でしたが、これから帰国です。

昨日記念祝典が行われたバイロイト祝祭劇場(Bayreuther Festspielhaus)は、ドイツ・バイロイトにある全館が木造のオペラハウスです。

このオペラハウスは、リヒャルト・ワーグナーが「ニーベルングの指環」全4話を始めとした自身の作品の上演を目的として計画・設計し、バイエルン王ルートヴィヒ2世の後援を得て1872年に着工、1876年に完成しました。

現在でもワーグナーの子孫達が経営する特別な場所として知られます。

こちらのお二人ですね。

7月から8月にかけて開催されるバイロイト音楽祭のチケットは、ドイツのワーグナー協会に入会しても、最低8年は待たされるというプラチナチケット。

僕も毎年ドイツに申し込みをしていますが、一度も通知が来た事はありません。

中学生のときにワーグナーを初めて聴き、衝撃を受けて以来、30余年の月日が経ちました。

いつかはこのバイロイト祝祭歌劇場の中で音楽を聴いてみたいと思っていたのですが、ついに生誕200周年という記念すべき年・記念すべき時にそれが叶いました。

ワーグナーは、音楽家として近代舞台芸術を完成させた人物であるとも言われています。

祝祭歌劇場の内部をよく観察するとわかるのですが、馬蹄形の欧州の劇場というよりは、むしろ現在の映画館に近い階段型の劇場。

さらに、通常は舞台目の前にあるオーケストラ•ピットが客席と舞台の下に配置されており、客席から見えないようになっているのです。

写真の舞台の前に、小さなピットの隙間が見えますか?

オーケストラのスタッフが私服で演奏するのも、舞台の脇役に徹しているからこそ。

裏方も演者も、そしてもちろん観客も、この場に集うすべての人間が舞台に集中する事が出来るように、という配慮が随所に込められていることが、ここに来るとよくわかります。

先に書いたように、この劇場はゼンパー案が元になっていると言われています。ワーグナーが「盗用した」という説もありますが、それでもワーグナーがいなければこの劇場が完成しなかったこともまた事実です。

テレビや映画館の原型のような歌劇場を、ワーグナーの設計で作り上げたという訳です。

ハリウッドの監督も、揃ってバイロイトに見学に来ると言います。

肝心の200周年特別記念演奏会の題目は

指揮 クリスティアン・ティーレマン

歌手 エヴァ・マリア・ヴェストブルック(ジークリンデ)

ヨハン・ボータ(ジークムント)(リエンツィ)

クワンチュル・ユン(フンディング)

曲目 楽劇「ワルキューレ」第一幕

休憩

楽劇「リエンツィ」序曲とリエンツィの祈り

楽劇「神々の黄昏」ライン川と葬送行進曲

楽劇「ニュルンベルグのマイスタージンガー」前奏曲

でしたよ。

ワーグナーは思想家としても著名であり

「神は死んだ(も同然だ)(God is as good as dead)」

というドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェに多大な影響を与えました。

イギリスのターナーに始まる風景画の画家は神と宗教から離れることで芸術を完成させ、モネなどの印象派の流れを作りますが、ワーグナーは宗教や神と乖離する事によって成熟した現代芸術の始祖とも言えるのです。

今回一緒に旅行したワグネリアンの研究者仲間の言葉を借りると

「ワーグナーの業績は、レオナルド・ダ・ヴィンチに匹敵する」

と。

ここまでファンを心酔させる作曲家という意味でも、ワーグナーは他に類を見ないのではないでしょうか。

ワーグナーのためにバイエルン王国の財政が傾き、そのためドイツ統一が加速した・・・と言う歴史家も少なくないそうですが、彼の作品にはそういう人を熱狂させ、時に狂わせてしまうものがあるんですよね。

そんなワーグナーは晩年に、13作目の最後のオペラで「パルジファル」という神についての舞台を書きました。

今回ワーグナー生誕の地ライプツィヒでパルジファルを観る事が出来ましたが、本当に夢のような素晴らしい体験でした。

パリ行きの飛行機の時間が来ましたので、続きはパリで書きたいと思います。


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