以前このブログにコラムで書いたこと「開業医が見極めるべきこと」に追記していきたいと思います。


2007年 クリニックFを開業した年に撮影した写真です。懐かしいですね。
僕はレーザーの専門医であり、良いレーザー機器・光治療器については常にアンテナを張っています。
しかしながら、たとえどんなに良い機器であっても、このクリニックFには置いていないものがあります。
なぜでしょう?
その話に入る前に、まずはこちらからお話ししていきたいと思います。
いくつかの例外を除き、開業医というのは開業という「0」に始まって徐々に肉付けが進む「長編小説」を書くような作業ではなく、ざっと広げた風呂敷からいらないものを振り落とし、出来る限りのものをそぎ落とし、一言でそのクリニックを言いきる「キャッチコピー」を作る作業であり、それを守り、更新していくことによってこそ継続がある、と僕は思っています。
そんな中で、最近新たにわかったことがあります。
開業準備の過程で自分の中でかなり振り落とし、研ぎ澄ませたつもりで作ったキャッチコピーが、実はその削ぎ落しと客観性がまだ足りず、開業後患者さんとの治療の中でさらにフォーカスされたものになっていることがあるのです。
これを理解し、認めるのに時間が必要でした。
今はよくわかります。
客観的に自分の方向性、特異性を見極める上で、これらは非常に参考となりますし、先のキャリアを考える上でのヒントにもなりますね。


自分はレーザーの専門医である、世界で通用するレーザーの専門知識を常に持っていたい、という自負と気負いから、様々な国と地域で自分の目と足で稼いだ情報と勘を元に
「良いレーザーであればいくら借金してでも買わないと」
と思い込んでいた時期があります。





実際年に数回アメリカとヨーロッパ各地で開催される主要な学会で、新しい技術やコンセプトのレーザーがデビューする場に立ち合い、技術者を掴まえ、時にファクトリーまで出向き話を聞きデータを検証し、その中で「これは!」という一台に出逢った時のあの身震いするような感動を味わってしまうと、
これは絶対に欲しい・・・!
自分が一番に使いたい!
という思いで身も心も一杯になってしまうんですよね。
(これは今でも変わりませんが)


また、「レーザー専門クリニック」という看板を掲げる以上、これとあれとあれとこれは持っていないと・・・という「レーザー・スタンダードセット」のようなものも実際あるわけです。

僕はレーザージャーナリストやレーザー評論家/批評家では決してありませんが、その立場を求められればある程度自分自身の力でその場でまとめられるくらいのもの、コツコツ自分なりの「取材」をしてきたと思っています。
日々刻々と進化を遂げるテクノロジーを搭載した機器という側面からも、今日という日の段階で何が最も新しい技術であり情報であるかも、完全にリアルタイムで頭の中に整理されています。
それだけの情報を持っているのですが・・・

・・・ここからが「開業医」としての難しいところ、悩ましいところです・・・(苦笑)。
レーザー/光治療が最も得意としている治療のひとつに、例えば 皆さんよくご存じの「脱毛」があります。
最近は腋や脚、腕、背中といった部位だけでなく、Vライン、Oライン、Iラインといった部位の脱毛も注目を浴びているようです。
僕も展示会や学会、工場での見学・視察や治験などを通して、数ある脱毛レーザーの中で、この部位にはどのメーカーのどの機器が現在一番適しているのか、よくよく熟知しています。
が
実際僕が院長を務めるクリニックFに脱毛を求めてお越しになる患者さんがいるのか? と言えば・・・
これはほとんどおいでになりません。
腋や脚、ましてやVライン、Iラインといった脱毛を、僕に求める患者さんはいないからです。
医師が僕しかいない小さなクリニックでは、幸か不幸かそういった需要自体が限りなく‟0=ゼロ”に近いのですよね。
もちろん時々はこうした問い合わせやご希望も受けますが、時々しか受けない問い合わせのために部位別に専用の機器をずらりと揃えるわけにはいかない現実を、僕もさすがに認識しました。クリニックがつぶれます。
同様に、タトゥーを始めとした色の除去もそうです。
タトゥー除去はレーザーが背負う未来の一つであると思いますが、クリニックFにそれを求めて患者さんが続々と訪れる・・・ということはまずないでしょう。きっと客層が異なるのでしょうね。
この他にも、例えばニキビの治療、アトピーの治療といったものも挙げられます。
どちらもレーザー・光治療の使い方によって劇的な改善を望める疾患だと思います。
とはいえ、僕は皮膚科出身ではありませんし、クリニックで保険診療は行っていません。
皮膚疾患の治療には自ずと限界がありますので、それは行わないことを開業時に決めています。
そのため、いくらこうした疾患に有効な、技術的に魅力あるレーザーがあっても、ほとんど「宝の持ち腐れ」となってしまうことも時と共に明白となりました。
形成外科の出身でもないので、外科的措置や手術も行いませんから、そうした趣のある機器もここでは必要とされることがありません。
開業当初のコンセプトは、「レーザーマニアによるレーザー専門クリニック」であったわけですが、開けてみればこうして様々な機器が治療内容によって篩にかけられていきました。
思えばこれがクリニックFの「第二フェーズ」です。
今考えてみると、ここまでは、ある意味「想定内」でした。
その中には、それはそれは本当にもう、「清水の舞台を飛び降りるような」気持ちで購入した機器もありました(笑)。
それらが陽の目を見ることなく倉庫で静かに眠っている姿を見るのは本当に忍びないものがありましたし、泣くに泣けない気持ちでしたが
それでも身を切るような高い授業料を払って経営者として勉強をさせてもらったと、清々しく思えるものであったと思います。
しかし、この後まだ「第三フェーズ」が待っていました。
もっと機器を絞り込む必要に迫られるのです。
長くなりましたので、続きはまた次回に書きたいと思います。