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BLOG 藤本幸弘オフィシャルブログ

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クリニックFの外来日

今日は海外出張を今週後半に控え、混雑したクリニックFの外来でした。

なかなか忙しかった。

今日はゴルフ医科研で「チェロ生演奏とワインの会」

明日は「第四回、昭和100年の歴史の会(1955-1975)」

どちらも19時からの開催です。

 


【新国際学会周遊記──皮膚バリアの地政学】

【新国際学会周遊記──皮膚バリアの地政学】

今月号の欧州皮膚科学会誌。表紙論文が興味深いです。

今回の図は、まさに「皮膚の地政学」を視覚化した一枚──といった印象です。

皮膚は全身に広がる臓器ですが、その機能は一様ではなく、“局所ごとの特色”を持っています。これを科学的に分類し、わかりやすく示したものが本図です。

3つの地域分類:

Sebaceous region(皮脂腺優位部位)
顔・上胸・背部に多い。Physical Barrier:薄い角層、緻密なCDSN/DSG発現。Microbiome:Cutibacterium(旧Propionibacterium)が優勢。Clinical Relevance:ニキビ・脂漏性皮膚炎の発症部位。

Dry region(乾燥部位)
四肢外側、体幹部に多い。Physical Barrier:角層が厚いが脂質含量が低い。Microbiome:低多様性、アクネ菌よりもStaphylococcus優位。Clinical Relevance:乾燥性湿疹やアトピー性皮膚炎が出やすい。

Moist region(湿潤部位)
関節屈側、鼠径、腋窩。Physical Barrier:汗腺・脂腺活動が強く角層が柔らかい。Microbiome:CorynebacteriumやStaphylococcus aureusの影響が強い。Clinical Relevance:間擦疹、感染症(カンジダ、黄色ブドウ球菌)の好発部位。

臨床応用の視点

1. スキンケア選択の個別化
乾燥部位には保湿重視、皮脂腺部位には抗炎症・抗菌アプローチ、湿潤部位には通気性確保──ターゲット部位ごとに製品設計が求められます。

2. マイクロバイオーム療法の未来
菌叢の組成も部位で異なるため、同じ「善玉菌」でも顔と足で効果は異なる可能性。部位特異的プロバイオティクスの開発が進むでしょう。

3. 疾患の局在性の理由
アトピーの肘膝屈側優位、脂漏性皮膚炎の顔面優位、尋常性乾癬の伸側優位──その理由が“バリアの地政学”で説明できます。

総じて、皮膚科学は“均質な一枚皮”という常識から、“生体最大の局所臓器”へとパラダイムシフトしていることが示されています。

この流れ、臨床家としては非常に実用的な視点です。

この図を見てふと思ったんですが、湿潤エリアに対する永久脱毛施術は、短期的には美しいけれど、長期的には問題が出てくるかもしれませんね。


【新国際学会周遊記──“万人向け栄養学”という幻想】

【新国際学会周遊記──“万人向け栄養学”という幻想】

「ディフェンシブ栄養学」や「オフェンシブ栄養学」など、自分も栄養学の本をいくつか書いてきて、いつも思うのです。

栄養学は“万人共通の正解”のように語られがちですが、それこそが最大の誤解だと感じます。

栄養は決して一つの方程式で語れない分野。

人それぞれ、まったく違うのが本来の姿です。

なぜなら私たちは──

・遺伝子型が違い
・腸内細菌叢が違い
・年齢、性別、活動量も違い
・文化や生活習慣も全く異なるからです。

必要な栄養素も、消化吸収の得意不得意も、食後の反応も、驚くほど個人差があります。

加えて重要なのは、成長期の子供や妊婦は別として、

「病気にならないための栄養」(ディフェンシブ栄養学)

「元気になるための栄養」(オフェンシブ栄養学)

はまったく別物だという視点です。

病気予防に必要な最低限の栄養素と、日々をエネルギッシュに過ごしパフォーマンスを高めるための栄養素は、量も質も目的も違います。

例えるなら、「ガス欠にならない給油」と「レーシングカーのチューニング」くらい違うのです。

健康診断で問題なくても、“元気”を感じられない人が多いのは、その違いが見落とされているからです。

だからこそ必要なのは「一般論」ではなく、“自分の身体の声”を聴く力です。

実際、食の好みや消化能力はこんな風に違います。

■ 肉の消化:欧州系ではタンパク質分解酵素が活発で肉食向き、一方で東アジア系は炭水化物に適応している人が多い。
■ 乳製品:乳糖の消化能力は民族で大きく異なり、乳製品が体質に合う人と合わない人がいる。
■ 野菜:苦味の感じ方も遺伝子次第で、好みも体感も人それぞれ。
■ 世の中には、固形食物を一切口にしない人や、土を食べて生きている人までいます。

結局のところ、最も信頼できるのは“自分の感覚と体の声”です。

世の中には情報が溢れていますが、何より大事なのは──

「食べたあと、心地よいか」

「エネルギーが湧き、パフォーマンスが上がるか」

この“感性”を研ぎ澄ませること。

これからの栄養学は、「知識や理論」よりも「感性を高めること」。学べば学ぶほど、行き着くのはそこだと、僕は確信しています。


【新国際学会周遊記──自己実現の軌跡とこれからの目標】

【新国際学会周遊記──自己実現の軌跡とこれからの目標】

ある本を読んでいて、興味深い言葉に出会いました──「社会的には成果が必要だけれど、個人的には自己実現を目標としたほうがいい」。この言葉に僕は強く共感しました。

僕自身、コロナ前まで年間20回、20年以上にわたり国際学会講演や企業訪問を重ねその数
400回。世界各地を飛び回る生活を続けてきました。それは間違いなく自己実現の一形態であり、達成感も大きなものでした。

しかし、いつしかシミ・しわ・たるみといったお決まりのテーマを、同じスライド、同じ話で繰り返している自分に気づき、少しずつ「達成感」より「消耗感」を感じ始めました。

40代以降、僕は二つ目、三つ目、四つ目の他分野の大学院に入り、専門性を多様化させました。その過程で、自分の自己実現の形も明らかに変化し始めたのです。今では、論文執筆や学術的アウトプットこそが、もっとも深い自己充実を与えてくれています。

人間は必ず変化し続ける生き物です。だからこそ僕は、「次に自分は何を目指すべきか」を考え、生成AIと壁打ちをしてみました。

心理学で有名なマズローの自己実現理論に加え、近年注目されている「キャリアの多段階モデル」を改めて見直しました。特に知的職業においては、次のような流れが王道です。

20〜30代は「自己の能力開発」。
資格取得、技術習得、臨床経験が主軸となる時期。

30〜40代は「社会的達成」。
地位を得て、ネットワークを広げ、経済的成功も視野に入ります。

40〜50代は「知的アウトプット」。
研究、論文、国際学会での発表、教育など、知識の発信が中心となります。

50〜60代は「レガシー構築」。
後進育成、思想発信、書籍出版など、次世代への橋渡しに軸足が移ります。

60代以降は「社会貢献・哲学的自己実現」。
文化貢献や地域活動など、より広い社会的インパクトが自己実現の柱となります。

このモデルが示しているのは、自己実現が「個人的達成」から「社会的影響力」、そして「思想・レガシー形成」へと外向きに広がっていくという事実です。

僕のキャリアを振り返ると、この段階モデルは実に納得感があります。20〜30代は知識と技術を磨き、国際学会や企業訪問を通して「世界とつながる医師」としての地位を築きました。

ただ、同じ内容を繰り返すルーティンに疲れを感じ始めた頃、40代からは学び直しと新たな専門性の獲得を通じて、より深い知的アウトプットへと自己実現のベクトルが移行しました。

人は変化し続けるからこそ、人生は豊かになる。

そして今、いつでも必要な知識をすぐさま提供してくれるAIの時代に本当に必要なのは、インプットの量ではなく、「そのアウトプット力」、特に「世の中の疑問点に対する質問力」だと思います。

最近の僕は、朝起きると、日々の生活の中でひとつの問いを立て、それについて考え、まとめるという習慣を取り入れました。

必ずしも毎日完璧にできているわけではありませんが、世の中への問いかけの感度は確実に上がったと感じています。

日常の小さな気づきを「問い」に変換し、それを「知的アウトプット」としてまとめていく──このプロセスが、次の自己実現への階段になると感じています。

これまで蓄積してきた知識や経験を、しっかりと言語化し、体系化し、社会へ還元する。単なる情報発信ではなく、次世代の知的財産となるようなアウトプットを目指したいですね。

短期的な成果ではなく、10年単位で「何を社会に残せるか」を考える。その結果、真の意味での自己実現──「知的充実」と「知の循環」──が得られると信じています。


富士山とお墓参り

連休は富士山観てのお墓参り。

この季節はあっという間に雑草だらけになってしまいますが、暑い中、沢山抜きました。

自然美にこだわる自分としては、お墓に除草剤や塩を撒くのもどうかなあと思いますが、皆さんどうしていますか?


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