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【新国際学会周遊記──55歳からのおまけの人生】

新国際学会周遊記──55歳からのおまけの人生

昨晩のチェロの会には、高校時代の同級生、同い年の医師の友人、そして初対面のチェリストさんが偶然にも同じ学年で、55〜56歳が四人集いました。

つい先日も「磯野波平さんの年齢は54歳だった」と盛り上がったばかり。

昭和の時代は55歳定年、寿命は60歳。サラリーマン文化の年功序列の終着点として、定年前夜の波平さんが描かれていたのです。そうそう波平さんは双子なんですよね。

いまや波平を超えて生きている私たち。

そう思うと、この時間は「おまけの人生」だなと感じます。

言ってみれば──

「55歳は人類史上でいえば、すでにおまけの人生である。」

そう考えると、日々の景色は一段と鮮やかに映ってきます。

古代ローマでは50歳を超えれば「長老」とされ、江戸時代の日本では平均寿命は30歳台。50歳を過ぎることは、すでに人生の「余白」でした。私たちが手にしている55歳以降の時間は、歴史からの贈り物、まさにボーナスステージなのです。

◆加齢とは何か

私が考える「加齢」とは、単なる年輪の積み重ねではありません。
「加齢とは、全身の細胞間“通信”の障害である。」
細胞はサイトカイン、ホルモン、神経伝達物質、ギャップ結合、エクソソームなどを介して絶えず情報を交換しています。ところが年齢とともに、この通信は雑音が増え、帯域が狭まり、信号が届きにくくなっていくのです。
炎症性サイトカインの雑音(SASP)が通信環境を乱す
NAD⁺の低下で代謝と修復の信号が途切れる
細胞膜やギャップ結合の劣化で有線回線が断線する
エクソソームの荷物が変化し、炎症や線維化の情報が優先される
通信理論でいう「S/N比」をどう維持するか──それこそがアンチエイジングの核心です。このボーナスステージのために、以下は僕の実践している中からと外からのアプローチです。

◆内からのアプローチ

抗酸化物質(ビタミン・ミネラル):酸化ストレスを抑え、細胞信号の雑音を軽減する
必須脂肪酸:細胞膜を柔らかく保ち、受容体の感度を維持する
水:軽度の脱水でも情報処理は鈍る。普段の水の質が回線の安定性を決める
NMN:NAD⁺を補い、エネルギー代謝と修復系の信号を再活性化する

◆外からのアプローチ

レーザー治療:肌のターンオーバーとコラーゲン再生を誘導し、組織の“再配線”を助ける
エムフェイス(HIFES):表情筋を鍛え、脳と顔の双方向通信を回復させる
三本柱──食事・運動・睡眠
食事:抗酸化食材やオメガ3を取り入れ、腹八分目で臓器の負担を軽くする
運動:筋肉は全身にマイオカインという“放送電波”を送る発信局。動かすほどネットワークは活性化する
睡眠:脳の“配線クリーニング”の時間。老廃物を除去し、翌日の回線をクリアにする

◆若さを保つ心の姿勢

科学と技術を駆使して通信環境を整えつつ、最も大切なのは「誘われたらまずやってみる」という心の柔軟性です。
五感を豊かに、心を動かし、新しい学びに触れ、人とつながることで、細胞間ネットワークは絶えず再設計されていきます。
55歳からの人生は延長戦ではなく贈り物。
通信障害を修復し、回路を磨き直し、扉が開けば飛び込む。その積み重ねが、やがて振り返ったとき「もっとも輝いていたのはおまけの時間だった」と言える未来につながるのです。


ワインとチェロの夕べ 「ワインとバッハ+α」

ワインとチェロの夕べ 「ワインとバッハ+α」

バッハの無伴奏チェロ組曲1番から6番までのワインとのマリアージュの会。4周目に迎えた昨日の演奏会。

チェリスト金子鈴太郎さんの渾身の音色によって、第六番がゴルフ医科学研究所に響き渡りました。

https://www.facebook.com/1486146253/videos/pcb.10240264327974299/1542619490434425?__cft__[0]=AZWHcoyw_jeg-anHz8x0e7CVmP1wieWwS16WRiGltjLFq8kozCFaDNJ69cGqpQtf6nXwAmZiYgRLdvGuAyFQWMInedegqy94V-W-wzTnlQjrSk0qZH7pTOIuuUNthjV7BbaAlDkpDGVqNbgkNMu54db9-aB65eSbKKrUHA3pawvju9mZwfB5-GJGS4zcgi06PZ0&__tn__=*b2H-R

第六番は本来、5弦チェロのために書かれた作品。輝かしい舞曲風のリズムが交錯し、旋律そのものの美しさが際立ちます。随所に散りばめられたバッハの工夫に、あらためて驚かされました。

同じニ長調の組曲として対をなすように演奏されたのは、バッハから約250年後に作曲されたブリテンの無伴奏チェロ組曲第2番。なかなか生演奏に触れる機会の少ない名曲ですが、こちらも胸を打つ名演でした。

アンコールでは録画が許され、「ニュー・シネマ・パラダイス」の旋律が流れ出すと、会場は深い余韻に包まれました。

節目の第24回と、最終章へ

僕は主催者ではなくて、会場を提供しクラシック音楽の素晴らしさを伝えるために、医学的な効能をプレゼンする役目を担って来ました。海外出張でやむなく欠席した以外はほぼ皆勤でした。金子さんが地方交響楽団に就職されることとなり、残念ながらレギュラーでは次回が最終回で一区切り。

次回最終回は11月3日15時、休日の午後に、金子鈴太郎さんの留学先であったハンガリーの作曲家によるチェロの作品で締めくくりとなります。終演後には、ぜひ打ち上げを企画したいところです。

今後の展望

「ワインとチェロの会」はこれで終わりではありません。

今後は室内楽や声楽など、生演奏の幅を広げつつ、ワインとともに味わう時間を、音楽家をサポートしながら続けていければと思います。


【新国際学会周遊記──競争は悪か、それとも生命のエンジンか】

新国際学会周遊記──競争は悪か、それとも生命のエンジンか

僕も学生の時からモータースポーツが好きでした。モトクロスのレースやレーシングカートのレース。医師になってからはサーキット走行やラリー出場。喧嘩っぱやくて競争好きだったのは、テストステロンが高かったのかなあと今になってみるとそう思ってます。

◆テストステロンと挑戦心

テストステロンは単なる「男性ホルモン」ではなく、挑戦心・闘争心・達成欲求と密接に結びついたホルモンです。勝負に勝ったときには一時的に分泌が上昇し(「ウィナー効果」)、その経験がさらなる挑戦を誘発します。
一方で、過度に競争を避け、常に「平等」であることを求める環境では、このホルモンの健全なサイクルが働きません。その結果、社会全体が意欲の低下と「無害化された若者像」に収束してしまうのです。

◆教育における「勝ち癖」設計

日本の教育は長らく「落ちこぼれを作らない」方向に舵を切ってきました。しかし、全員を平均化させることが子供にとって本当に幸福でしょうか。
心理学の研究では、「小さな成功体験」を積み重ねた子供は、その後の学習・社会参加において高いモチベーションを維持できることが報告されています。
勝ち癖をつけるには、必ずしも学業トップである必要はありません。

• 走るのが早い
• ピアノの発表会で拍手をもらう
• 将棋で年上に勝つ

──こうした経験が「自己効力感」を育み、結果的にテストステロンを健全に循環させる装置になるのです。

◆社会構造としての競争

現代社会では「競争=ブラック」という短絡的なイメージが蔓延しています。しかし、競争を排除した社会は停滞し、活力を失います。
大切なのは「過酷な一元的競争」ではなく、多元的な競争です。
つまり、誰もが自分の土俵を持ち、それぞれの舞台で勝てるようにする。スポーツ、芸術、学問、ITスキル、料理──何でもよい。社会が多くの競争軸を認めることで、子供たちは必ずどこかで「勝てる場所」を見つけ出します。
ヨーロッパの教育現場では、こうした「多元的競争モデル」がすでに取り入れられており、結果として自己肯定感や起業率の高さに繋がっています。

◆歴史が示す「競争を失った社会」の行く末

〇古代ローマ帝国の末期
共和政時代には元老院や市民が互いに議論し、軍人も政治家も名誉と競争で動いていました。しかし帝政後期には「パンとサーカス」で市民は消費者化し、競争心を失った結果、軍事も経済も衰退。結局はゲルマン民族の台頭に飲み込まれていきます。

〇江戸後期の日本
戦国時代は武将たちが領地と名誉をかけて競争し、地方からも人材が輩出されました。ところが平和が続いた江戸後期には「安定」が優先され、武士は形骸化。農民の知恵や商人の活力に頼る社会構造となり、幕末に外圧に耐えきれず崩壊しました。

〇昭和後期から平成の日本
高度経済成長期はまさに「競争社会」の典型。学歴競争、企業競争、輸出競争で日本は世界を席巻しました。しかしバブル崩壊後、「平等」「ゆとり」の名のもとに競争を避ける風潮が広まり、結果として失われた30年へと繋がったのではないでしょうか。

◆日本に必要なのは「挑戦する文化」

結局のところ、日本に欠けているのは挑戦を称賛する文化です。
失敗すれば叩かれ、挑戦すれば「出る杭」として打たれる。これでは誰も戦おうとしません。
社会が「挑戦すること自体に価値がある」と認め、称えること。それがテストステロンを健全に発動させ、真の競争社会を再構築する第一歩になるでしょう。


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